将来の年金額が夫婦で「月15万円」です。生活が厳しい場合“生活保護”は受けられますか? 退職金は「1000万円」出ますが、生活費が毎月20万円かかるので不安です
ファイナンシャルフィールド / 2024年8月12日 4時30分
老後2000万円問題などが叫ばれ、「老後に生活資金が不足するかもしれない」という不安を抱いている人は多いのではないでしょうか? 実際に自分が受け取る年金額を調べてみて「本当に年金だけで生活できるの? もし無理ならば生活保護を受け取ることはできるのだろうか?」などと考えたことがある人もいるかもしれません。 本記事では、老後に年金だけでは生活資金が不足する場合、生活保護を受けられるのかどうか、また生活保護が受けられなくても安心して老後生活を送れるように、現役時代からどの程度貯金しておくべきなのかについて紹介します。
年金受給者も生活保護は受けられるが受給額が、「最低生活費」未満であることが必要
日本には、自分や家族の加齢、障害、死亡などによって経済的に自立した生活ができなくなるリスクに備えて、若いときから保険料を納め、必要なときに金銭給付を受けられる年金制度があります。
受け取れる年金額は加入した期間や、年金の種類によって大きく異なるため、老後の生活に十分とはいえない金額しか受け取れない人もいるでしょう。
受給額が明らかに少ない場合、年金受給者も生活保護を受けることは可能です。ただし、受け取る年金の受給額が「最低生活費」を下回っていることが前提になります。
厚生労働省の最低生活費の算出方法を見ると、「1級地-1」の土地に住む65~69歳の2人世帯の最低生活費は、生活扶助基準第1類(4万6460円×2×逓減率0.87)と生活扶助基準第2類(3万8060円)、特例加算(1000円×2)、住宅扶助基準(5万3700円)の合計で、17万4600円です。
また、厚生労働省年金局によれば、厚生年金受給者の2022年度の年金平均月額は14万4982円、国民年金受給者の平均年金月額は5万6428円です。
平均的な元会社員の人であれば老齢厚生年金と老齢基礎年金で約15万円を受け取れます。今回のケースの「夫婦で受け取れる年金の見込額が月15万円」は、これよりも少ないことになります。
今の生活費(20万円)と比べて年金受給額が少ないため、赤字が続けば退職金の1000万円がいずれ底をつく可能性があります。その場合は生活保護を受けることはできるでしょう。
収入が老齢基礎年金だけであり、ほかに収入も貯蓄も資産もなく、働くこともできず親族にも頼れない人は、生活保護を受給できる可能性があります。
現役世代のうちから老後資金を貯金しておくことが大切になる
年金受給額によっては、生活保護に頼ることはできません。現役時代の生活水準を老後も落としたくないなら、現役のうちに老後資金として必要な金額を計算して貯金を進めることが不可欠です。
総務省の家計調査によれば、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の2023年の消費支出と非消費支出の合計は28万2497円です。一方、実収入は24万4580円で、毎月3万7917円の赤字です。
老後期間を65歳から90歳の25年間と仮定すると、「3万7917円×12ヶ月×25年=1137万5100円」が不足する計算です。退職金が1000万円あれば、不足額は約138万円で済みます。ただ、家計調査には介護費用などの金額は含まれていません。
生命保険文化センターによれば介護に要する平均期間は61.1ヶ月で、月平均8万3000円の介護費用がかかり、さらに一時的な費用として74万円が必要です。つまり介護が発生する場合、約581万円が必要になります。
生活費の不足額137万円と介護費用を合わせると、現役時代で貯蓄しておきたい金額は「137万円+581万円=718万円」となります。
40歳から65歳までの25年で老後資金を貯める場合、毎月2万4000円を貯金し続ければ最低限必要な老後資金に届くでしょう。また、家計調査の住居費は持ち家を含んでいるため、賃貸住まいならもっとかかることも考える必要があります。
まとめ
老後、平均的な年金額と1000万円の退職金を得られる家庭では、老後の生活費や介護費用の不足分をカバーするのに、最低でも40際から65歳までの25年間、毎月2万4000円の貯金をする必要がある、という試算結果でした。
実際に老後資金がいくら必要かは、老後のライフプランや想定している生活水準によっても異なります。自身の老後に必要な生活費や年金・退職金額を試算してみて、生活保護に頼らずに生活できるように現役時代から預貯金を進めていきましょう。
出典
厚生労働省 生活保護制度における生活扶助基準額の算出方法(令和5年10月)
厚生労働省 生活保護制度
厚生労働省年金局 令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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