70歳で退職します。まだ元気なので働こうと思いますが「失業手当」をもらうことはできますか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年8月17日 2時10分
高年齢者雇用安定法の改正で70歳までの就業機会の確保が事業主の努力義務とされています。今後、65歳以降も働く方は増えるでしょう。65歳以上の労働者についても、「高年齢被保険者」として雇用保険の適用の対象となります。どのような給付が受けられるのか解説します。
高年齢求職者給付金とは
65歳以上の雇用保険の被保険者(高年齢被保険者)が失業した場合、離職の日以前1年間に被保険者期間が通算して6カ月以上あり、失業の状態にあるときは、高年齢求職者給付金が支給されます。
通常の失業保険の給付金は20歳以上65歳未満を対象としており、失業手当(基本手当)は、失業している日数に対応して支給されます。一方、高年齢求職者給付金は、失業の認定の日に失業の状態にあれば一時金が給付されます。
高年齢求職者給付金を受けるには、離職後に住居地を管轄するハローワークで求職の申し込みをしたうえで、受給資格の決定を受ける必要があります。その後、ハローワークから指定された失業の認定日にハローワークに行き、失業の認定を受けることで、被保険者であった期間に応じた金額が支給されます。
なお、高年齢受給資格者に対しては、基本手当、各種延長給付(訓練延長給付、広域延長給付および全国延長給付)、技能習得手当、寄宿手当および傷病手当の支給、就職促進給付(就業促進手当、移転費および広域求職活動費)は支給されません。
高年齢求職者給付金を受給できないケース
以下の方は、就職する意思・能力がない(失業状態ではない)と見なされ、高年齢求職者給付金を受給できません。
(1) 家事に専念している方
(2) 昼間学生、または昼間学生と同様の状態であると認められるなど、学業に専念している方
(3) 家業に従事している、かつ職業に就くことができない方
(4) 自営を開始した、または自営準備に専念している方(求職活動中に創業の準備・検討を行う方は支給可能な場合がある)
(5) 次の就職がすでに決まっている方
(6) 雇用保険の被保険者とならない、短時間就労のみを希望している方
(7) 自分の名義で事業を営んでいる方
(8) 会社の役員などに就いている方(就任予定であったり、名義だけの役員だったりするケース含む)
(9) 就職・就労中の方(試用期間を含む)
(10) パート、アルバイト中の方(労働時間が週あたり20時間未満の場合は、支給を受けることが可能な場合があります)
(11) 同一事業所で就職や離職を繰り返していて、再び同一事業所に就職する予定がある方
(出典:厚生労働省 離職されたみなさまへ<高年齢求職者給付金のご案内>)
高年齢求職者給付金の支給金額
高年齢求職者給付金は、被保険者であった期間が1年以上のときは基本手当日額の50日分、被保険者であった期間が1年未満のときは基本手当日額の30日分に相当する金額が支給されます。
基本手当日額は、離職前6カ月の賃金総額(賞与を除く)を180で割った額のおよそ50~80%(6~64歳については45~80%)です。賃金の低い方ほど高い給付率となっています。
基本手当日額については、離職時の年齢が 29 歳以下の方の下表と同じです。支給を受けることができる期限は、離職日の翌日から1年間ですので、早めに求職の申し込みを行いましょう。
なお、給付金は非課税です。また、給付金を受給しても老齢厚生年金は全額受給できます。給付金を受給後再就職して一定の要件を満たせば再度給付金を受給できます。受給回数の制限はありません。
まとめ
65歳以上で雇用されている方(高年齢被保険者)が失業した場合には基本手当に代えて、高年齢求職者給付金が一時金として支給されます。受給期限が1年間と短いので早めに求職の申し込みをしましょう。
なお、一般的に、65歳以降に退職して「高年齢求職者給付金」を受給するよりも、64歳以下で退職して「失業手当(基本手当)」を受け取ったほうが受給額は大きくなりますので留意しましょう。
出典
厚生労働省 離職されたみなさまへ<高年齢求職者給付金のご案内>
厚生労働省 雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー
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