お金の落とし物は、持ち主が見つからない場合見つけた人が受け取るって本当? 何割もらえるの?
ファイナンシャルフィールド / 2024年8月19日 2時20分
道端で財布や現金を拾い、最寄りの交番へ届け出た経験のある人もいると思います。 何気なく行っているこの「交番への届出」ですが、実は法律行為の一種であり、権利の取得について細かく法律に規定されています。「拾得者」に発生する権利なども定められており、この法律に基づいて警察は拾得物の権利を動かしているのです。 具体的にどのように権利が移転するのでしょうか。
お金の落とし物とは?法的な意味
お金を落とすといううっかりミスですが、落としたお金の取り扱い方は「遺失物法」という法律によって定められています。
同法第一章第二条によると、「遺失者」とは落としたお金を占有していた者を指しますが、所有者に限らない点がポイントです。例えば落としたお金が家族から頼まれて下ろしたお金であった場合、回復の請求(返して欲しい旨を警察等に届け出ること)は下ろした人もその家族もすることができます。
一方、同法による「拾得者」とは、「落としたお金を拾った人」のことを指します。
「拾得者」の法的義務
遺失物法第4条には、「拾得者は、速やかに、拾得をした物件を遺失者に返還し、又は警察署長に提出しなければならない。」とはっきりと書かれています。遺失物をそのまま自分の物としてしまういわゆる”ネコババ”は、遺失物等横領罪(刑法第254条)に当たる可能性があるため注意が必要です。
通報という手段もある
遺失物法第4条は続けて「ただし、法令の規定によりその所持が禁止されている物に該当する物件及び犯罪の犯人が占有していたと認められる物件は、速やかに、これを警察署長に提出しなければならない。」と定めています。
明らかに犯罪取引等に使用されたと考えられるお金の場合、無理して交番まで運搬しなくても、その場で通報する手段もあることを想定しているといえます。
届け出たお金をもらえるパターン
お金を拾得した場合、警察に届け出る義務があることがわかりました。それではどういった場合に届け出たお金をもらうことができるのでしょうか。
報労金としてもらえるケース
同じく遺失物法第28条には「物件(誤って占有した他人の物を除く。)の返還を受ける遺失者は、当該物件の価格(中略)の百分の五以上百分の二十以下に相当する額の報労金を拾得者に支払わなければならない。」とあります。
したがって、例えば10万円を警察に届け出た場合は、報労金として約5000円が貰える可能性があります。
ただし、お金を届け出る際に自身の氏名や住所、連絡先などを警察に提出する必要があるでしょう。この”報労金”は義務ではなくあくまで権利であって、放棄もできる点がポイントです。
3ヶ月以内に持ち主が現れないケース
民法240条では「遺失物は、遺失物法(平成十八年法律第七十三号)の定めるところに従い公告をした後三箇月以内にその所有者が判明しないときは、これを拾得した者がその所有権を取得する。」と規定されています。このケースが適用されればお金の所有権を取得することができます。
埋蔵金を発掘したケース
少々フィクションめいていますが、地中などから埋蔵金を発掘したケースでもお金を手に入れられる場合があります。民法241条では「埋蔵物は、遺失物法の定めるところに従い公告をした後六箇月以内にその所有者が判明しないときは、これを発見した者がその所有権を取得する。
ただし、他人の所有する物の中から発見された埋蔵物については、これを発見した者及びその他人が等しい割合でその所有権を取得する。」と規定されています。
警察に届け出ることによって、法的にも正式にお金が自分のものとなる
刑法第254条”遺失物等横領罪”では、「遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金若しくは科料に処する。」と定められています。
遺失物等横領罪で検挙されるのに怯えながら満額を使うより、報労金という一部を堂々と使うほうがストレスは少ないのではないでしょうか。警察から返還してもらうことによって、持ち主にも喜ばれます。
以上法律の観点を意識しつつ、これからもお金を拾った場合は警察に届け出るのはいかがでしょうか。
出典
e-Gov 法令検索 遺失物法
e-Gov 法令検索 民法第240条、第241条
e-Gov 法令検索 刑法第254条
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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