もうすぐ定年です。運転に自信がなくなってきたので「運転免許証を自主返納」したいのですが、60代でも「自主返納」ってできるのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年8月20日 0時0分
加齢にともなう身体機能の衰えや認知機能の低下などによって、運転に自信がなくなった方のなかには、運転免許証の自主返納を検討されている方もいらっしゃるでしょう。 本記事では、運転免許証の自主返納の手続きについて考えてみます。
運転免許証の自主返納で気を付けなければならないこと
運転免許証の自主返納についての話題になると、冒頭に述べたような「加齢にともない……」と、高齢者向けのテーマのように聞こえることが多いでしょう。しかし、運転免許証の自主返納には、年齢の制限はありません。何歳だろうと運転免許証が不要になった方は、運転免許証の自主返納の手続きを行うことができるのです。
ここで、運転免許証の自主返納の手続きを検討する前に、留意しなくてはならないことがあります。運転免許証の自主返納の手続きを行ってしまうと、以後、車のハンドルを握ることができなくなることです。つまり、運転免許証の自主返納の手続きを行って以降は無免許の状態になってしまう、ということなのです。
もし、運転免許証の自主返納の後で、もし再びハンドルを握りたい、運転したいという気持ちが生じた場合、運転免許証を取り直さなくてはなりません。これには一部免除等の特例はなく、適性試験・学科試験・技能試験のすべてにパスすることが必要です。
そして、身体や認知機能がまだまだ十分という方が、運転免許証の自主返納の手続きを検討する場合には、今後、本当に無免許の状態になってしまってもよいのか、十分に考える必要があります。
ちなみに、警察庁によると、令和5年の運転経歴証明書の交付件数は29万1071人ですが、そのうち75歳未満の方は9万3578人と、75歳未満の方が3割強を占めています。
身分証明書にもなる運転免許証を返納した後は?
運転免許証の自主返納した方は、身分証明書として利用することができる運転経歴証明書を発行してもらうことができます。運転経歴証明書は赤文字で「(自動車等の運転はできません)」と書かれてはいるものの、サイズや写真の配置など、見た目は運転免許証にそっくりです。
運転免許証の自主返納手続きはどこで?
運転免許証の自主返納の手続きは、運転免許試験場、運転免許更新センター、警察署のいずれかで行うことができます。運転免許証の自主返納と同時に運転経歴証明書の交付申請手続きを行うこともできます。
自主返納と同時に運転経歴証明書の交付申請手続きを行う場合には、留意点があります。運転免許証の自主返納の手続きは無料ですが、運転経歴証明書の交付申請手続きは1100円の交付手数料がかかります。
また、時間はかかりますが、運転免許試験場の場合は運転経歴証明書を即日発行できます。しかし、運転免許更新センターや警察署で運転経歴証明書の交付申請手続きを行う場合で、後日郵送での交付を希望する場合には、返信用封筒としてレターパックライトを持っていく必要があります。
運転免許証の自主返納ができない人、運転経歴証明書の申請ができない人
以下のいずれかに該当する人は、運転免許証の自主返納の手続きができません。
・運転免許の取消基準に該当している
・運転免許の停止中
・運転免許の停止の基準に該当している
・初心運転者制度における再試験の基準に該当している方
いわゆる免許停止の人でも、違反者講習の対象となり受講を済ませた方は、運転免許証の自主返納手続きができます。
また、運転免許証の自主返納手続きを行った後5年を経過してしまうと、運転経歴証明書の交付申請手続きができません。しかし、運転免許証の有効期限が切れて失効し、失効後5年以内であれば運転経歴証明書の交付申請の手続きを行うことができます。
まとめ
運転はしなくても、身分証明書として使える運転免許証です。運転免許証の自主返納手続きを検討している方は、以後運転する必要がないかどうかも含めて判断しましょう。
なお、運転免許証の自主返納手続きを済ませた方が「運転経歴証明書」による特典を受けられるのは、「65歳以上」の方が対象になっています。こうした点からも、高齢者に該当しない方が運転免許証を自主返納するのは、慎重に検討したほうがよさそうです。
出典
警察庁 運転免許証の自主返納について
警察庁 運転免許の申請取消(自主返納)件数と運転経歴証明書交付件数の推移
警視庁 運転免許証の自主返納と同時に運転経歴証明書の交付申請をする方
警察庁 運転免許証の自主返納・運転経歴証明書について
警視庁 運転免許証の自主返納を5年以内にしていて、新たに運転経歴証明書の交付申請をする方
警視庁 運転免許証を5年以内に失効していて、運転経歴証明書の交付申請をする方
警視庁 高齢者運転免許自主返納サポート協議会加盟企業・団体の特典一覧
執筆者:大泉稔
株式会社fpANSWER代表取締役
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