65歳で定年した後、90歳まで「毎月50万円」ずつ使って”プチ贅沢”したいです。定年までに貯蓄はいくら必要ですか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年8月20日 5時40分
「老後の生活設計を定年前にしっかり考えておきたい」と考える人は多いのではないでしょうか。定年後の収入源が年金しかない場合、悠々自適な暮らしをするには、一定の蓄えが必要でしょう。 今回のケースのように「毎月50万円」を使うとなると、貯金の一部を崩しながら生活していくことになるかもしれません。本記事では定年後の支出と収入を比較しながら、毎月50万円を使う場合に必要な貯蓄額をシミュレーションします。
標準的な年金額から見る必要な貯蓄額
今回のケースにおいては「夫婦2人の世帯が厚生年金を受け取りながら生活する」という前提でシミュレーションします。
厚生年金のみだと毎月約27万円不足する可能性がある
日本年金機構によると、令和6年度における厚生年金額(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な額)は月額「23万483円」とのことです。仮に毎月50万円を使う場合、収入が23万483円なら、毎月26万9517円の不足が生じる計算になります。
不足分をカバーするには約8100万円の貯蓄が必要
上記の不足額を踏まえて、65歳から90歳までの25年間(300ヶ月間)にかけての合計不足額を計算すると「8085万5100円」です。
したがって、65歳以降、夫婦2人が厚生年金の標準的な額を毎月受け取れると仮定すると、定年までに貯蓄しておくべき額は、少し余裕を見て約8100万円といえます。
個人の収入・支出によって必要貯蓄額は左右される
上記のシミュレーションにおける収入は、あくまで標準的な年金額に基づいたものであり、必要な貯蓄額は個人の状況により大きく異なります。
例えば独身で国民年金(老齢基礎年金満額)のみが定年後の収入源である場合、日本年金機構の令和6年度の年金額を参照すると、満額受給では月額で「6万8000円」です。
この額をベースにすると、月50万円の出費がある場合、43万2000円の不足が毎月生じます。この場合、65歳までに必要な貯蓄額は「1億2960万円」で前述の例よりも多くなります。
退職金の有無や額によっても、貯蓄額に影響が出ます。多額の退職金が出ると仮定すれば、通常の給与収入から貯蓄すべき額は相対的に減るでしょう。
また今回のケースでは「毎月50万円の出費」をベースに計算していますが、それほどの出費がない世帯も多いでしょう。実際、総務省統計局の「家計調査報告[家計収支編] 2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、夫婦のみの無職世帯(65歳以上)の平均消費支出額は1ヶ月あたり25万959円でした。
今回のケースと比べて25万円近く支出がおさえられているため、受け取る年金額にもよりますが、定年までの必要貯蓄額はもっと少なくなる可能性があります。
経済・社会状況によっても必要貯蓄額は変わる
個人の生活スタイルとは別に、経済情勢や社会状況などによっても必要貯蓄額は変わるでしょう。ここまでのシミュレーションでは、物価上昇や資産運用の利回りなどは考慮していません。
また医療費や介護費用の増加、公的年金の制度改正など、予期せぬ出費や収入減が発生する可能性も考えられます。そのため前述した「約8100万円」という額はあくまでひとつの目安として考え、もう少し余裕をもって貯金しておくか、支出を減らすことを考えるとよいかもしれません。
毎月50万円使うなら65歳までに必要な貯蓄額は約8100万円から1億円程度
毎月50万円ずつ90歳まで支出がある場合、標準的な額の厚生年金を夫婦2人で受け取ると仮定すると、定年までに必要な貯蓄額は約8100万円となる計算です。ただし退職金が加わる場合、定年までに必要な貯蓄額はもう少し低くなるでしょう。あるいは支出を減らせる場合も同様です。
その一方で、健康状態や年金制度の変化などにより予期せぬ出費や収入減が発生することもあり得るため、老後も50万円の支出が続くことが予想されるのであれば、余裕をもって1億円ほどの貯金ができないか検討してもよいかもしれません。詳細なライフプランニングをしたい場合は、専門家に相談することを考えてもよいでしょう。
出典
日本年金機構 令和6年4月分からの年金額等について
総務省統計局 家計調査報告[家計収支編] 2023年(令和5年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支 <参考4> 65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯) 図1 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の家計収支 -2023年-(18ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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