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会社が倒産。社長が雲隠れしたら、未払いの給与は諦めるしかないの?

ファイナンシャルフィールド / 2018年12月25日 23時0分

会社が倒産。社長が雲隠れしたら、未払いの給与は諦めるしかないの?

現政権になってから景気が回復し仕事が増えている一方、人材の確保が難しく、仕事を受けられず、中小企業の「人手不足倒産」が年々増えています。   倒産する会社は、給料の遅配や未払いが続き、いきなり店舗等が閉鎖され、社長や役員との連絡もつかなくなるというケースが多いと思います。このような場合、未払いの給与は諦めなければならないのでしょうか。  

未払賃金立替払事業の現状

会社が倒産して、賃金が支払われないまま退職を余儀なくされた労働者に対して、未払い賃金立替払事業があります。これは、未払いとなっている賃金の一部を事業主に代り、立替えて支払うもので、独立行政法人労働者健康安全機構が支払等の業務を行っています。
 
厚生労働省の資料によると、平成29年度の立替払状況は、企業数1,979件、支給者数22,458人、立替払額86億6,445万円、受給者一人当たりの平均立替払額は39万6,000円となっています。
 
企業規模別の立替払状況をみると、企業数は、労働者30人未満の企業が最も多く、全体の90%となっています。業種別の立替払状況をみると、企業数は、商業が全体の22.9%と最も高く、次いで製造業、建設業の順となっています。
 

未払賃金立替払制度の要件

立替払いを受けるには、次の要件を満たす必要があります。
 
(1)会社が1年以上事業活動を行っていたこと
(2)倒産(法律上の倒産・事実上の倒産)したこと
(3)破産手続開始等の申立て(事実上の倒産の認定申請)の6か月前の日から2年間に退職
(4)未払賃金額等について、法律上の倒産の場合には、破産管財人等が証明(事実上の倒産の場合には、労働基準監督署長が確認)
(5)破産手続開始の決定等(事実上の倒産の認定)の日の翌日から2年以内に立替払請求
 
立替払を受けることができるのは、正社員だけではなく、パート・アルバイトも含まれます。なお、代表権を有する会社役員等は対象にはなりません。
 

 

立替払の対象となる未払賃金

立替払の対象となる未払賃金は、労働者が退職した日の6か月前から立替払請求日の前日までに支払期日が到来している毎月定期に支払われる給与(基本給と各種手当)と退職金のうち、未払となっているものです。いわゆるボーナスは立替払の対象とはなりません。また、未払賃金の総額が2万円未満の場合も対象とはなりません。
 
立替払をする額は、未払賃金の額の8割(限度あり)です。ただし、退職時の年齢に応じて88万円~296万円の範囲で上限が設けられています。
 
例えば、退職日の年齢が35歳の場合、未払賃金総額の限度額は220万円になります。この人の未払賃金が200万円の場合は、立替払額160万円、未払賃金が300万円の場合は、立替払額176万円となります。
 

 

まとめ

未払賃金の立替払制度は、会社が倒産したときに未払いとなっている給与の8割を立替えてくれる制度ですので、直接、会社と交渉しなくていいというメリットがあります。パートもアルバイトも対象となります。
 
受け取った立替払金は退職所得として扱われます。請求は倒産後2年以内にしなければならないので留意しましょう。
 
参考:独立行政法人労働者健康安全機構「未払賃金の立替払制度のご案内」
 
Text:新美 昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。

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