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「2000万円問題」が話題になりましたが、本当に2000万円で足りるのでしょうか?定年前の60代夫婦ですが出費が多く、老後の貯金が不安です…

ファイナンシャルフィールド / 2024年8月21日 10時0分

「2000万円問題」が話題になりましたが、本当に2000万円で足りるのでしょうか?定年前の60代夫婦ですが出費が多く、老後の貯金が不安です…

60代になり定年退職が近づくと、老後の資金について気になる方もいるでしょう。令和元(2019)年に金融審議会から発表された「2000万円問題」が話題になりました。   発表からも分かるように、2000万円の貯金があれば老後の生活に備えられると考えられます。しかし、出費が多いなら2000万円の貯金以外で収入を増やしたり出費を減らしたりする対策が必要です。今回は、2000万円問題の概要や2000万円で本当に足りるのかなどについてご紹介します。

2000万円問題とは

2000万円問題は、令和元年6月3日に金融庁金融審議会の市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」内で言及された、「老後30年間で約2000万円が必要になる」試算を指します。
 
同報告書において、夫が65歳以上、妻が60歳以上の夫婦のみで無職世帯の実収入平均は月20万9198円でした。対して、同条件の実支出平均は月26万3718円であるため、毎月5万4520円足りません。1年に換算すると65万4240円、20年で1308万4800円、30年で1962万7200円不足する計算となり、30年で約2000万円が必要という試算になっています。
 
金融審議会のこの発表により、老後の主な収入である年金だけでは生活費として足りないという認識が広まりました。
 

本当に2000万円で足りる?

2000万円問題で話題になったのは平成29(2017)年の総務省「家計調査」を基にした不足額です。令和5(2023)年度の平均収入と平均支出から、不足金額を計算しましょう。
 
総務省統計局の「家計調査報告 家計収支編」によると、令和5年度における高齢者夫婦無職世帯の平均収入は月に24万4580円でした。一方、平均支出は消費支出と非消費支出を合計して月28万2497円です。支出と収入を比較すると、毎月3万7916円足りません。
 
1年に換算すると45万4992円、20年で909万9840円、30年で1364万9760円の不足です。金融審議会の報告書内の試算よりも不足金額は減っていますが、老後に30年過ごすためには約1400万円必要になります。2000万円あれば不足金額は補えるといえるでしょう。
 

出費が多いなら節約できる部分を考える

老後の貯金に不安を覚える場合、30代や40代からであれば資産形成をして貯金を増やす方法もありますが、定年退職間際だと貯金がなかなか貯まりにくいケースもあるでしょう。特に、出費が多く貯金ができなかった場合は、節約できる項目がないか見直しが必要です。
 
前述した総務省統計局の調査によると、平均消費支出25万959円のうち「食料」が29.1%と最も多い割合を占めています。そのため、まずは食費で無駄な出費がないかチェックしてみましょう。外食が多いなら、外食回数を減らすだけで節約できる可能性があります。
 

2000万円の貯金ができているなら年金の繰下げ受給を検討する

2000万円の貯金があれば、令和5年度の平均金額なら不足分を補えます。しかし、それでも不安を感じる場合は年金の繰下げ受給を検討しましょう。
 
年金の繰下げ受給では、通常65歳に受け取る年金の受給開始時期を遅らせた月数に応じて、0.7%ずつ増額した金額を受け取れるようになります。日本年金機構によれば最大75歳まで繰り下げられ、75歳で受け取り始めると受け取れる年金は84%増額した金額です。
 
例えば、同じく日本年金機構によると令和6(2024)年度の老齢基礎年金と老齢厚生年金を合計した夫婦の標準的な受給額は月23万483円です。夫婦ともに75歳まで繰り下げると「23万483円×184%」で月に約42万4089円受け取れるようになります。
 
必ずしも最大まで繰り下げる必要はないので、繰下げ受給は老後のライフプランも考慮して決めましょう。
 

2000万円あれば平均額には足りている

2000万円問題は平成29年の不足額を基にした試算のため、令和5年度の平均支出と収入に照らし合わせると必要な金額は異なります。令和5年度では不足金額が年に45万4992円のため、貯金が2000万円できていれば30年の不足分にも足りる計算です。
 
しかし、普段から出費が多かったり万が一に備えたかったりするため、2000万円では不安に思う方もいます。少しでも費用負担をおさえたい方は、節約できる部分の見直しや年金の繰下げ受給も検討してみましょう。
 

出典

金融庁 金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書 「高齢社会における資産形成・管理」 1.現状整理(高齢社会を取り巻く環境変化) (2)収入・支出の状況 ア.平均的収入・支出(10ページ)、(3)金融資産の保有状況(16ページ)
総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2023年(令和5年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支 <参考4> 65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯) 図1 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の家計収支 -2023年-(18ページ)
日本年金機構 老齢年金の制度 年金の繰下げ受給
日本年金機構 令和6年4月分からの年金額等について
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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