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5万円が入った財布を拾ったのに「お礼」がない! 遺失物のお礼は“義務”と聞いたけど、裁判したら謝礼をもらえる?

ファイナンシャルフィールド / 2024年8月23日 2時20分

5万円が入った財布を拾ったのに「お礼」がない! 遺失物のお礼は“義務”と聞いたけど、裁判したら謝礼をもらえる?

日本は世界各国に比べ、落とし物が拾われて戻ってくる可能性が高いといわれます。拾い主の多くは「落とし主が困っているだろう」という親切心からこのような行動をとっているのでしょう。   拾い主は、自分の行動に対し、落とし主から感謝の気持ちを形にしてもらえたら、たとえ些細なものでも心が温かくなるものではないでしょうか。実際、遺失物法で「落とし主は拾い主に相当額を支払う」と定められています。   しかし、落とし主が「お礼はしたくない」と拒否することもあります。このような場合、拾い主は裁判を行ってまで謝礼を請求すべきなのでしょうか。本記事では「落とし物のお礼」について解説します。

落とし物を拾ったら

まずは「拾い主(拾得者)」の義務から確認します。刑法では「遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金若しくは科料に処する」とあり、さらに遺失物法では「拾得の日から一週間以内に提出をしなかった」場合は所得権を取得する権利を主張できないとなっています。
 
つまり、落とし物を拾い、いわゆる「ネコババ」をしたら罪に問われることになり、懲役刑または罰金刑に科せられます。また、落とし物を拾った場合、7日を過ぎるとたとえ警察署に届け出ても拾得者としての権利を失うことになってしまいます。施設内に管理者がいるときは24時間以内に管理者に届け出なければ同様に権利を失います。
 
これらの法律は「いかに早く落とし物を持ち主に返却するか」という、落とし主の利益を守るために定められています。法律の規定にかかわらず、落とし物を拾ったらできるだけ早く、警察署や施設の管理者に届け出るようにしましょう。
 

落とし物の謝礼の相場は5~20%

次に「落とし主(遺失者)」の義務を見ていきます。遺失物法では、落とし主は拾ってくれた人に対し、報労金として、落としたものの代金の5~20%に相当する額を支払わなければならないと定められています。拾って届け出てくれたことへのお礼の意味合いです。
 
この報労金は、拾い主が落とし主へ請求することができ、拾得場所が施設内であった場合は、拾い主と施設とで折半した額を落とし主へ請求できます。今回の5万円が入った財布であれば、2500円~1万円の報労金を受け取ることができます(施設で拾った場合は半額の1250円~5000円)。
 
また、落とし物が持ち主に返却されてから1ヶ月を超えると請求できなくなるので、報労金の受け取りを希望する場合は、その旨を落とし主に意思表示しましょう。
 

裁判したら勝てるの?

遺失物法では、落とし主が拾い主に対して報労金を支払うことが義務とされていますが、実は、これを反故にしたからといって罰則はなく、債務不履行を理由に逮捕されることもありません。再三の訴えにもかかわらず落とし主が要求に応じない場合は、民事訴訟法で訴訟を起こすことになります。
 
過去には報労金の未払いを理由に訴訟が起き、和解が成立し謝礼を支払ったという事例もあります。しかし、訴訟となると原告も被告も労力・費用がかかるだけでなく、お互いに心にしこりが残る結果となってしまうかもしれません。
 

「親切」と「感謝」は形で示そう

せっかく親切心で落とし物を拾っても、落とし主からお礼の支払いを拒否されると、親切心がむげにされたようなもやもやした気持ちになるかもしれません。
 
「お礼目当て」で落とし物を届けるという気持ちは、「親切心」と比べるとよこしまに感じられるかもしれませんが、拾い主の気持ちはどうであれ、やはり落とし主は、拾い主の行動に対して感謝を形で伝えるべきではないでしょうか。
 
もちろん謝礼金だけでなく、心からの感謝の言葉も忘れずに伝えたいものです。
 

出典

e-Gov法令検索 刑法
e-Gov法令検索 遺失物法
 
執筆者:渡辺あい
ファイナンシャルプランナー2級

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