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パートで「年収110万円」です。10月から「社会保険」に加入する必要があると聞きましたが、“手取り”はどれだけ減りますか? 働き控えすべきでしょうか…?

ファイナンシャルフィールド / 2024年8月23日 4時40分

パートで「年収110万円」です。10月から「社会保険」に加入する必要があると聞きましたが、“手取り”はどれだけ減りますか? 働き控えすべきでしょうか…?

2024年10月から社会保険の適用枠が拡大することになります。これにより、パートで働いている人などで、いままで社会保険に加入していなかった人も、10月からは加入が必須になる可能性があります。   特に年収が106万円を超えるような人は、現在の労働条件によっては社会保険への加入が必要になるため「年収の壁」を超えないような工夫が必要になるかもしれません。   本記事では「年収の壁」の基本的な概要と、10月からの変更点をみていきます。仮に社会保険に加入した場合に、どの程度の経済的負担になるかも試算するため、ぜひ参考にしてください。

年収の壁とは

まずは「年収の壁」とはどういった意味なのか簡単に解説します。
 
「年収の壁」とは、特定の年収基準を超えてしまうと、所得税や住民税のほか、社会保険(健康保険・厚生年金など)の加入義務と保険料の支払いが発生し、アルバイトやパートで働く労働者の手取り収入が減少する上限のことです。
 
税金に関連する年収の壁は100万円、103万円、150万円、201万円に設定されています。一方、社会保険における年収の壁は106万円または130万円とされています。2024年10月から変更されるのは、社会保険における年収の壁の部分です。
 
次項で具体的な変更点について詳しく解説します。
 

年収に壁の変更点

まずはこれまでの社会保険の加入条件をみていきます。次の5つに該当する人は社会保険への加入が必要です。
 

・週の所定労働時間が20時間以上
・賃金が月額8万8000円以上
・2ヶ月を超える雇用の見込みがある
・学生でないこと
・従業員101人以上の企業

 
これらにすべて該当する人は社会保険への加入が必須となり、自身で社会保険料(厚生年金・健康保険)を納める必要があります。
 
2024年10月からは「従業員101人以上の企業」の要件が、「従業員51人以上の企業」に変更されます。これにより、これまで社会保険への加入義務がなかった人でも、10月からは社会保険への加入が必須になる可能性がでてきます。
 
図表1

図表1

厚生労働省 社会保険適用拡大特設サイト 社会保険適用拡大対象となる事業所・従業員について
 
例えば、年収110万円(月額約9万1660円)で、従業員が80人の子業で働いている場合、これまでは社会保険料を支払う必要はありませんでした。しかし、10月からは従業員が51人以上の企業の場合にも社会保険への加入が必須となるため、社会保険に加入し、自身で社会保険料を納める必要が生じます。
 

社会保険加入の場合の手取り額はどうなる

では、社会保険に加入した場合、どの程度の保険料負担になるのか試算していきます。
 
例えば、年齢38歳、年収110万円(月額約9万1660円)の人が社会保険に加入し、厚生年金と健康保険を自身で払うとしましょう。その際に図表2の標準報酬月額を参考に保険料を算出します。
 
図表2

図表2

全国健康保険協会 令和6年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京都)
 
月の賃金が約9万1660円は、報酬月額8万3000円~9万3000円の範囲に収まります。つまり、標準報酬月額は等級4の8万8000円に該当するため、健康保険料は月額4391円、厚生年金については8052円となります。
 
合わせると毎月1万2443円の社会保険料負担となり、年間では約15万円の負担増です。
 

社会保険に加入するメリット

社会保険(厚生年金・健康保険)に加入することで毎月の経済的負担は増加します。しかし、加入することによって次のようなメリットもあります。
 

・将来の年金が増える
・傷病手当金や出産手当金を受けられる

 
日本の公的年金制度は、2階建て構造となっています。これまで、配偶者の扶養に入っていた人は、1階部分にあたる国民年金に加入していたことになります。
 
しかし、自身で社会保険に加入することで、2階部分にあたる厚生年金にも加入することになり、将来受け取れる年金額が増加します。加えて、要件を満たせば「障害厚生年金」や「遺族厚生年金」も受け取れるでしょう。
 
図表3

図表3

日本年金機構 公的年金制度の種類と加入する制度
 
さらに、健康保険に加入することで、病気やけが、出産や子育てで働けない際にも「傷病手当金」や「出産手当金」として賃金の3分の2程度の給付が受けられます。このように、社会保険への加入は、毎月の経済的負担の増加になりますが、一方で社会保障が充実し、万一の際にも手厚い保障が受けられます。
 

自身に見合った働き方を選択しよう!

2024年10月から社会保険の適用枠が、「従業員101人以上の企業」の要件が、「従業員51人以上の企業」に変更されます。変更後の社会保険の加入要件は次のとおりです。
 

・週の所定労働時間が20時間以上
・賃金が月額8万8000円以上
・2ヶ月を超える雇用の見込みがある
・学生でないこと
・従業員51人以上の企業

 
これにより、これまで社会保険への加入義務がなかった人でも、10月からは社会保険への加入が必須になる可能性が生じます。
 
しかし、社会保険への加入は毎月の経済的負担の増加になりますが、一方で加入することで「将来の年金が増える」ことや「傷病手当金や出産手当金を受けられる」などのメリットが得られます。
 
そのため、必ずしも社会保険の加入が生活にマイナスとは一概にはいえず、自身のライフスタイルや将来の計画に基づいて、最適な働き方を選択することが重要になるでしょう。
 

出典

厚生労働省 社会保険適用拡大特設サイト 社会保険適用拡大対象となる事業所・従業員について
全国健康保険協会 令和6年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京都)
 
執筆者:辻本剛士
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士、宅地建物取引士、証券外務員2種

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