夫がNISAで投資しているのですが、「株価の大暴落」で借金を作らないか心配です。8月は“追加の支払い”が必要な人が出たと聞きましたが、本当に大丈夫なのでしょうか…?
ファイナンシャルフィールド / 2024年8月24日 5時0分
日経平均株価は、2024年8月5日に過去最大の下落幅を記録する歴史的な大暴落に見舞われました。NISAなどで資産運用をしている人はもちろん、株取引を一切していない人にとっても衝撃的なニュースだったのではないでしょうか。 SNSではさまざまな意見や情報が飛び交いましたが、その中でも「今回の大暴落で追証(おいしょう)の支払いを求められた」という投稿を目にし、「株価が大暴落するとお金を支払わないといけないの?」「家族がNISAで投資を始めたけど、借金していないか心配」と不安になる人もいるかもしれません。 本記事では、株価の大暴落で追加の支払いが発生する仕組みや、NISAで借金する可能性があるのかについて解説します。
追証は信用取引などで発生する
信用取引とは、保証金として現金や株式を担保に入れることで、証券会社からお金を借りて行う株取引を指します。日本の証券会社における信用取引では、保証金30万円あれば100万円までの取引ができるといった具合に、約3.3倍の額の株取引ができるのが一般的です。
信用取引は保証金以上の損失を被る可能性がある
信用取引では、担保に入れている保証金の金額以上の損失が出る可能性があり、これが「株取引で借金する恐れがある」につながるわけです。
例えば、300万円の保証金で約1000万円分の株式を購入したとします。この1000万円の株式が何らかの理由で大暴落し、200万円まで値下がりした場合、800万円の損失が発生しますが、保証金は300万円しかありません。ここで足りない500万円の追加支払いが発生するのです。
ここまで大きな致命的な損失とならないように、証券会社はある程度の損失が発生したタイミングで次の措置を行います。
・損失が一定水準に達したタイミングで追加の保証金(追証)を求める
・保証金が払えないなら強制的に決済(売却)を行い損失がさらに増えないようにする
しかし、急激な暴落があった場合は、この仕組みでも損失を防ぎきれません。前記したような大きな追加支払いが発生するリスクが、信用取引にはあることを知っておきましょう。
NISAで追加の支払いを求められることはない
家族がNISAで投資をしているのであれば、前記したような借金をすることはないので安心してください。
NISAでは信用取引はできず、1000万円の株式を買う場合には手元に1000万円のお金が必要です。
仮に1000万円の株式が大暴落で200万円に値下がりしても、元々自分のお金で行なった取引なので、自分のお金が800万円減ることにはなりますが、新たな支払いが発生することはありません。
NISAで投資しているときに大暴落が来たら?
NISAで投資しているときに大暴落に見舞われたら、どうすればいいのでしょうか。どういった投資をしているかによりますが、長期保有を前提に広く分散された投資信託を積立しているのであれば、暴落でも慌てる必要はありません。最も避けたい行動は「暴落のニュースを聞いて、焦って売却すること」です。
実際に、株価は8月5日に大暴落したものの、翌日8月6日には大きく回復しています。つまり8月5日に売った人が最も大きな損失を被る結果となったのです。
また、2008年に起こったリーマンショックで下がった株価も、5年後の2013年には回復しています。数十年後に使うお金として資産運用しているのであれば、「数年後には株価が戻るから大丈夫、むしろここからしばらく安い価格で積立ができる」と落ち着いた気持ちで積立を続けることが大切です。
「株価大暴落で借金」はNISAではありえない! 大暴落でも慌てないことが大切
信用取引は、株価が大暴落すると自分の持っているお金以上の損失が発生するリスクがありますが、NISAでは信用取引ができないため「借金」の心配はありません。
大暴落があっても数年後には株価は回復し、さらに数年で大きく成長することは歴史が証明しています。「投資していることを忘れた人が最ももうかる」と言われることもあるくらい、大暴落時も動じないことが大切なのです。
NISAで長期分散投資をしているのであれば、大暴落に見舞われても慌てず、これまで通りコツコツ積立を続けましょう。
執筆者:浜崎遥翔
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
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