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ファミレス店長ですが、常連さんで「特定の女性店員」に長々と話しかける方がいます。先日「ストレスになっている」と相談されたのですが、どうすれば良いでしょうか? 暴言はないですが「カスハラ」になりますか?

ファイナンシャルフィールド / 2024年8月24日 5時0分

ファミレス店長ですが、常連さんで「特定の女性店員」に長々と話しかける方がいます。先日「ストレスになっている」と相談されたのですが、どうすれば良いでしょうか? 暴言はないですが「カスハラ」になりますか?

客が特定の店員に長々と話しかける光景はよく見られます。暴言を吐いていなかったとしても、あまりに長時間続くと業務の妨げになり、店員の精神的な負担も大きくなってしまいます。   話している内容によっては「カスタマーハラスメント(カスハラ)」や、ある種のストーカー行為になる可能性も考えられるので、警察に相談するなどして、速やかな解決を図るべきです。   本記事では、実際の事例も含めて、効果的な解決策をご紹介します。

店員から訴えてくるのは深刻な事態と考えること

タイトルの事例のように、店員から「ストレスでつらい」と店長に相談があったのであれば、真摯に受け止める必要があります。店長としては、まず本人の話にしっかり耳を傾け、具体的な事実関係を把握する必要があります。店長や同僚の目に留まる場面以外のところでも問題が起こっているかもしれません。
 
安易に「お客様だから……」と店員に我慢を強いることは、あってはなりません。
 

職場の管理者は従業員を守る義務がある

職場の管理者は従業員への安全配慮義務を負っています(労働契約法第5条)。労働契約(雇用契約)上の労働者のみでなく、派遣社員や業務委託契約を結んで働いている人を含め、安全に配慮することは義務の一環です。
 
けがや病気を防ぐだけが「配慮」なのではなく、職場環境にも注意を払う必要があり、ハラスメント対策もその一つです。対応を誤って、店員がストレスで体調を崩すようなことがあれば、管理者として安全配慮義務違反を問われ、損害賠償請求を受けることもあり得ます。
 
2018年に裁判所が下した判決では、保護者に対し謝罪するよう教員に強制したとして、市立小学校校長の行為をパワハラと認定し、市と県に対して約300万円の損害賠償の支払いを命じています。
 
何と言っても、大切な従業員が体調を崩し退職するようなことがあれば、店にとっては大きな損失です。
 

迷惑行為はただちにやめてもらうこと

事例に話を戻すと、常連のシニア男性が特定の女性店員に長々と話しかける行為を、単に話し相手を求めて軽い気持ちで話しかけているだけ、と安易に考えない方がよいでしょう。
 
現実に女性店員が大きなストレスを抱えている以上、早急に手を打つ必要があります。カスタマーハラスメントの定義に該当するか、などと悩むよりも、とにかく、女性店員の心身の安全を最優先し、長々と話しかける行為をやめさせることを考えましょう。
 
まずは店長として、客に「特定の店員に長々話しかけられるのは迷惑です。おやめください」とはっきり言うことをおすすめします。客にはっきりと指摘しなければ、さらに深刻な事態に発展する可能性もあります。店長が客に退去を求めたにもかかわらず、退去せず不退去罪となると、3年以下の懲役または10万円未満の罰金が科される可能性があります。
 
また、状況によっては業務妨害罪が適用され、3年以下の懲役または30万円以下の罰金が科されます。
 

ストーカーなどの最悪の事態を考えて行動すること

客が店員に長々と話しかける状況を放置すると、客が「店員が自分に好意を寄せている」と勝手に思い込む場合すらあり得ます。
 
このような心理に陥ると、妄想がどんどん膨らみ、付きまとい行為や暴力行為に発展することさえあります。
 
大げさなように思うかもしれませんが、不安があれば警察と相談することも検討しましょう。
 
「警察沙汰にするのは……」と考える方が多いかもしれませんが、警察は困った人への対応に手慣れたプロフェッショナルです。
 
筆者の実体験ですが、以前の職場で同様のことが起こり、警察に相談したことがあります。
 
そのとき、警察はすぐに対応してくれ、「このような、客から店員への付きまといはよくあることです。その客を呼んで、複数の管理者で対応してください。『あなたの行為は迷惑です。やめてください』ときっぱり言ってください。必要があれば警察官を近くに待機させます」とアドバイスを受けました。
 
アドバイスに従って当該客にきっぱり告げたところ、付きまとい行為は、すぐにやみました。
 

警察への相談に制約はない

なお、ストーカー規制法そのものは、付きまといその他の深刻な行為に刑事罰を科して規制する法律であって、対象となる行為は限定されていますが、厳罰が想定されます。ストーカー行為に対する罰則は1年以下の懲役または100万円以下の罰金です。
 
また、警察からの禁止命令等に違反し、つきまとい等の行為をはたらくと、2年以下の懲役または200万円以下の罰金が科されます。
 
ただし、厳密なストーカー行為に該当しなくても警察は相談に乗ってくれます。
 
警視庁は「生活安全警察の仕事」を次のように表しています。
 
「ストーカー被害、配偶者からの暴力、児童虐待といった人身の安全に関わる相談をはじめ、『近隣住民と騒音トラブルになっている』や『怪しいメールが届いた』といった生活に密着する様々な相談を受理し、事件として捜査をしたり、関係機関への引き継ぎや助言を行ったりすることにより解決に導いています」
 
「これぐらいで警察なんて……」とためらわず、必要を感じたら警察の力を借りましょう。
 

必要に応じてプロの力を借りること

店長には、店員らスタッフの安全を守る義務があります。とは言え、自分の力だけで解決しようとせず、必要に応じて警察などプロフェッショナルの力をためらわずに借りましょう。
 
カスタマーハラスメント対策について、さまざまなマニュアルも出ていますが、店員を守るためであればマニュアルに過度にこだわる必要はないでしょう。規程のマニュアルだけでなく、本当に困ったとき、「まず誰に相談をするのか」をまとめて、共有しておくことも大切です。地元の警察はその有力な選択肢となってくれるのではないでしょうか。
 

出典

e-Gov法令検索 労働契約法
令和6年度警視庁採用サイト 職種紹介 生活安全警察
政府広報オンライン ストーカーは犯罪です! 被害を受けたらすぐ警察に相談を
 
執筆者:玉上信明
社会保険労務士、健康経営エキスパートアドバイザー

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