お札のデザインが変わるのはどのようなとき? 偽札対策になっているって本当?
ファイナンシャルフィールド / 2024年8月25日 2時30分
お札のデザインが変わることは、私たちの日常生活において時折見られますが、その理由について詳しく考えたことがあるでしょうか。実は、お札のデザインが刷新される背景には、重要な理由が隠されています。その主な目的の1つは、偽札の防止です。今回は、お札のデザインが変わる理由や、偽札対策の最新技術についてご紹介します。
お札のデザインが変わる理由
お札のデザインが変わる理由は、主に偽造防止と使いやすさの向上のためです。偽造されたお金が広く出回ると、国民はお金を信用できなくなり、場合によっては被害を受ける恐れがあります。このため、紙幣は概ね20年ごとに偽造防止技術やデザインを変更しています。
2004年の発行では、5000円札の肖像は「新渡戸稲造」から「樋口一葉」へ、1000札は「夏目漱石」から「野口英世」へ変更されました。ただし、1万円札の肖像は、40年間変わらず「福沢諭吉」です。
2004年から使われている紙幣は2024年で20年が経過します。その間に民間の印刷技術が大幅に進歩しています。また、目の不自由な方や外国人にも使いやすいユニバーサルデザインが世界的な潮流です。これらを踏まえ、1万円券、5000円券、1000円券のデザインを改訂することが2019年4月9日に発表されました。
2024年7月3日に新しいお札が発行され1万円札「渋沢栄一」、5000円札「津田梅子」、1000円札「北里柴三郎」が発行されました。500円硬貨も2000年の発行開始から約20年が経過しているため、紙幣のデザイン改訂に合わせて、偽造防止技術を強化するために改鋳されることとなっています。
偽札対策の最新技術
お金には偽造防止のため、以下の技術が使用されています。
すき入れ:光に透かすと、肖像などの図柄が浮かび上がります。
すき入れバーパターン:光に透かすと、3本の縦棒が見えます。
パールインキ:お札を傾けると、ピンク色を帯びたパール光沢のある半透明な模様が現れます。
マイクロ文字:コピーでは再現が難しい微細な文字が印刷されています。
深凹版印刷:インキが高く盛り上がっており、手で触るとザラザラした感触があります。
潜像模様:お札を傾けると、見る角度によって数字が見え隠れします。
ホログラム:傾けると、画像の色や模様が変化して見えます。
2024年7月から発行された新紙幣に採用されている高度な技術
2024年7月から発行された新紙幣では、従来の偽造防止技術を引き続き使用し、以下のような高度な技術も追加されています。
●高精細すき入れ
●3Dホログラム
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
高精細すき入れ
新しい紙幣には、最新の高精細すき入れ技術が採用されています。従来の紙幣では明るい場所で柄が浮かび上がる仕様でしたが、新しい紙幣は肖像の周囲に細かな模様が浮かび上がる仕様です。最新の技術により、偽造防止がさらに強化されています。
さらに、肖像の透かしに加えてすき入れバーパターンと呼ばれる縦の棒の透かしが追加されており、1万円札には3本・5000円札には2本、1000円札には1本の棒の透かしが入っています。
3Dホログラム
1万円札と5千円札には、肖像画が3Dで表現され、角度によって回転するストライプ型の3Dホログラムが導入されています。この技術が紙幣に採用されるのは世界初のことです。
日本のすかし技術は世界最高水準
現行の日本銀行券には、偽造防止策の一環として「すかし」が採用されています。日本銀行券の「すかし」は、1885年(明治18年)に発行された最初の日本銀行券である「旧10円券」(通称「大黒札」)から採用されているのです。
「すかし」には、紙の厚さを部分的に薄くする「白すかし」と部分的に厚くする「黒すかし」があり、日本銀行券ではこの二つを組み合わせた精巧な「白黒すかし」が使用されています。この技術は手抄き和紙の伝統技術に支えられており、濃淡のコントラストがシャープで立体感があるため、世界でも最高水準です。
お札のデザイン変更の主な理由は偽造防止
お札のデザインが変わる理由はいくつかありますが、主な理由は偽造防止です。お札のデザインを定期的に変更することで、偽造が難しくなり、偽札の流通を防ぐことができます。お札のデザイン変更は約20年ごとに行われることが多く、最新の技術を取り入れて偽造防止を強化しています。
出典
財務省 なぜ紙幣や貨幣のデザインを変えるのですか
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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