テレビで「デカ盛り」の飲食店特集をよく目にします。原価率が高いはずなのになぜ経営できているのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年8月24日 6時20分
テレビや雑誌・インターネットなどで「デカ盛りメニュー」の特集をしているのを見かけることがありますが、飲食店がどのように利益を出しているのか不思議に思う人もいるでしょう。 そもそも飲食店のもうけに大きく関係してくる「原価率」とはどのようなもので、どうすれば利益につながるのかを確認しておいた方がいいかもしれません。 本記事では、飲食店が提供する「デカ盛りメニュー」について解説するとともに、原価率が高いはずの「デカ盛りメニュー」でどのようにして利益を出せるのか、その仕組みについてご紹介します。
飲食店が提供する「デカ盛り」とはどのようなメニューなのか?
一般的に「デカ盛りメニュー」とは、通常よりも極端に多い量の料理を器からはみ出るくらいに盛り付けたメニューのことをいいます。「デカ盛り」以外にも「メガ盛り」「爆盛り」「激盛り」などの言葉が使われていることもあるようです。
デカ盛りメニューを提供する飲食店の狙いは、やはり「インパクト性」でしょう。いわゆる「インスタ映え」しそうなビジュアルはSNSでも話題になりやすく、集客効果が高いことで知られています。内容によってはマスメディアに取り上げられることもあり得るため、集客率が一気にアップすることも期待できるといわれています。
ただし、デカ盛りメニューは食材費が高くつくなど、飲食店にとってデメリットもあるようです。食材費の質を下げると料理の味が落ちて評判に影響するおそれがあるため、安く仕入れられる食材で作れるメニューのみをデカ盛りにするなど、戦略を考える必要があります。
飲食店における「原価率」とは?
飲食店で利益を出すためには、原価をおさえることが重要なポイントになります。原価とは「材料費」のことで、販売価格に対する原価の割合を「原価率」とよびます。
原価率は「売上原価÷売上高×100」で計算できるため、例えば、1200円で提供している料理の原価が500円の場合、原価率は約41.7%です。
金融庁の「業種別支援の着眼点」によると、飲食店では原価率の目安を30%弱~30%強としていますが、お店の業態やメニューによっては変わってくる場合もあります。
なぜ「デカ盛りメニュー」で利益を出せるのか?
デカ盛りメニューは通常のメニューに比べて食材費がかかります。口コミで話題になるように味にもこだわるお店が多いようなので、質のいい食材を使用することでさらに原価率が高くなることが予想されます。
それでも利益を出せるのは、デカ盛りメニューにリピーターを生み出す効果があることが理由の一つと考えられるでしょう。原価率が高くても、インパクトやお得感があるデカ盛りメニューを提供することで顧客の満足度を高められれば、リピーターの増加が期待できます。
加えて、もし原価率が高くても、その他の費用をおさえられると利益は出るはずです。
飲食店における売上高のうち、材料費と人件費をあわせたものを「FLコスト」といいます。金融庁の「業種別支援の着眼点」によると飲食店のFLコストは60%以下が目安となるようです。例えば、家族経営の場合はパートなどを雇う必要がなく、人件費を削減できるため、FLコストもおさえられるでしょう。
また、「FLコスト」以外の経費は売上高の30%ほどが目安のようです。例えば、自分が所有する建物で飲食店を経営していれば、家賃がかからないため、固定費をおさえられます。
このように、売り上げを増やすか原価以外の経費を抑えることで、利益を出していると考えられるでしょう。
「デカ盛りメニュー」を提供しても経営が成り立つのはお店にもメリットがあるため
通常よりも極端に量の多い「デカ盛りメニュー」を提供している飲食店がどのように利益を上げているのか、疑問に思っている人もいるでしょう。
デカ盛りメニューは通常の量のメニューに比べて食材費がかかるため、原価率が高くなるはずです。それでも利益を上げている飲食店があるのは、インパクトのあるデカ盛りメニューが口コミで話題になり、集客アップにつながっていることが理由の一つとして挙げられます。
また、口コミで評判が広がれば広告費をかけずに済むため、お店が経費の負担を減らせることも関係していると考えられます。
出典
金融庁 『業種別支援の着眼点』2023(令和5)年3月 飲食業( 31.32ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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