【退職金の受け取り方によって損得があるって聞いた】これって本当?嘘?
ファイナンシャルフィールド / 2018年12月29日 10時30分
![【退職金の受け取り方によって損得があるって聞いた】これって本当?嘘?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_31998_0-small.jpg)
退職に際して、退職金や最近話題の確定拠出年金を受け取る時、一括受取をすると税金がいくらかかるのかは必ず計算してみるものです。全額を一括で受け取ると税金がかかるので、残りは年金で受け取るなどの検討をします。 しかし、そこには大きな盲点が隠れている場合もあります。年金で受け取った場合の所得税・住民税・健康保険料などは、一度計算してみる必要があります。ここでは、退職金の一括受取と年金受取の損得を比較してみましょう。
比較するモデルケース
退職金の一括受取と年金受取の違いや、メリット・デメリットはすでに多くのサイトで比較されておりますが、具体的な事例で比較することにします。
![](https://financial-field.com/wp/wp-content/uploads/2018/12/75e53d4448e1e2458319d198b7c42715-26.jpg)
このモデルは、団塊世代の退職者の代表的なケースと考えられます。
このケースの退職金の非課税限度額は (800+(37-20)×70=1990万円) ※となり、ほぼ
全額非課税となります。
では、年金受取の場合はどうなるのでしょうか。
年金受取は、毎月安定的に年金を受け取ることができる点が、生活設計をするうえで何より安心です。しかし、そのような理由で年金受取を選択することは、間違っていないのでしょうか。
※20年以上勤続の非課税限度額=(20年以上基本額800万円+(勤続年数—20年)×70万円
受け取る運用利息と税金・健康保険・介護保険料を含めた計算
上の事例を当てはめてみると以下のようになります。計算過程を入れるとかえって複雑になりますので、結果のみ記載します。
●一括受取の場合の65歳~85歳までの税金・健康保険料・介護保険料
この期間に本人・配偶者に他の収入がないとすると次のようになります。
![](https://financial-field.com/wp/wp-content/uploads/2018/12/b21aa6e7a5229bdbdbdb6524b66d20f0-20.jpg)
●年金受取の場合の所得税・社会保険料
年額所得税・住民税:13.2万円
健康保険料:25万円
介護保険料:10万円
受取運用利息:330万円
20念合計税・保険料:964万円((13.2+25+10))×330万円(受取利息)=634万円
運用利息分控除後の税・保険料は634万円
●税・保険料の差引比較
一括受取 432万円 対 年金受取 634万円 差引 202万円
結果は一括受取が有利ということになります。一括受取の場合の資金運用は検討されていないのですが、プラス運用ができた場合は、さらに一括受取が有利となります。
しかし、現在の金融情勢の中で1%以上の運用リターンを安定的に確保するのは、一定のスキルや環境が必要です。そのため、今回のシミュレーションにはあえて含めませんでした。
年金期間が終身か定期か
上記のシミュレーションは、比較的想定されることが多いケースを取り上げてみましたが、退職金額、配偶者の収入状況などの変数は種々考えられます。
特に、年金が終身か定期(20年、15年など)かによっては大きく変わります。定期年金の場合は80歳以降の収入が激減するので、税金や健康保険料の負担額に注意が必要ですが、終身年金の場合は少し状況が異なります。
終身年金の場合は、税金・健康保険・介護保険の負担を含めても、年金受取であまり問題はないでしょう。
年金の運用利回り
年金の運用利回りも大事な検討の材料です。
1%の運用利回りの差は、20年間では大きな受取額の差になります。計算式は少々複雑で算出は面倒ですが、総受取額-(マイナス)年金預入額=運用利息分ですから、誰にでも計算は可能です。
事例の場合は、退職金額2000万円・受取年数20年・運用利息1.5%とすると、年間受取額は約116.5万円で総受取額(20年)は2330万円ですから、運用利息分は330万円になります。
事例の場合は 退職金2000万円 受取年数20年 運用利息1.5%とすると、年間受取額約116.5万円で、総受取額(20年)は2330万円ですから運用利息分は330万円になります。
ここまで、退職金の一括受取と年金受取について、事例を見ながら解説をしてきましたが、計算が苦手な方は、リタイア後のライフプランとマネープランについて専門のファイナンシャルプランナーに相談するのもひとつの方法です。
Text:植田英三郎(うえだ えいざぶろう)
ファイナンシャルプランナー CFP
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