【相続】7割の家庭が老後の財産の話し合いに苦戦!話し合い不足で起きるリスクは?実際に話せなかった人々のリアルな事情と解決策
ファイナンシャルフィールド / 2024年8月30日 7時51分
多くの方が直面する老後の財産管理。しかし、ほとんどの家庭で老後の資産管理が話題になっていない現状が浮き彫りとなっています。 本記事では、なぜこれほど多くの人が「話し合い」を避けているのか、その理由と話し合い不足がもたらすリスクやその対策を解説していきます。
7割が老後の財産管理について話せていない
ベンチャーサポート相続税理士法人が行った「老後の不安に関する調査」によると、「老後の財産管理について、家族や親族と話し合ったことはありますか?」という質問に対して、70%以上の方が「話し合ったことがない」と回答しました。
「定期的に話し合っている」と回答した方は全体の3.9%と最も低く、多くの方が老後の資産管理について話せていない現状が浮き彫りとなりました。
また70代でも、話し合ったことがない人は6割を超えるなど驚きの調査結果が出ました。ではなぜ“話し合い”ができないのでしょうか。その理由を解説していきます。
老後の財産管理について親族間で話せていない理由
割合 | 話せていない理由 |
---|---|
38.5% | 家族や親族との仲は良いが、財産の話はしづらい |
32.1% | どのように財産管理すればよいか分からないため |
8% | 家族や親族との仲が悪いため |
21.4% | その他 |
同調査によると、財産について話し合わない理由として最も多かったのは「家族や親族との仲は良いが、財産の話はしづらい」というもので、全体の38.5%がこの理由を挙げています。
次いで、32.1%が「どのように財産管理すればよいか分からないため」となっており、意外にも「家族や親族との仲が悪いため」ということが理由である割合は8%と低い結果でした。
多くの家庭が「老後の財産管理」についての話し合いに対して「お金=下世話な」というイメージを連想したり、「元気なうちに死に関する話は失礼」と思っていることが考えられます。また、財産管理の方法がわからないという場合もあり、これらはインターネットの活用や、専門家に頼むことでよりスムーズに行うことができます。
老後の財産管理について話し合わないことは、将来的に大きなトラブルを引き起こす可能性があります。話し合い不足がもたらす具体的なリスクについて確認してみましょう。
話し合い不足がもたらす3つリスク
ここでは「老後の財産管理についての話し合い」をしていないことで起こり得るリスクをいくつか紹介します。
●介護が必要となった際の問題
●亡くなった後の手続きの問題
●認知症になった際の問題
介護が必要となった際の問題
介護が必要になったとき、話し合いが不足していると様々な問題が生じます。まず、誰がどの役割を担うかが不明確なため、家族間で不和やストレスが増えます。特定の家族が介護の大部分を負担することで、不公平感が生じたり、負担が重くなったりすることもあります。
その結果、介護を担当する家族の心身の健康が悪化するリスクが高まります。
また、財産管理や資金計画が不十分だと、予想外の費用に対応できず、経済的な困難に直面する可能性があります。これにより、親族間の不信感が高まり、関係が悪化することもあります。
亡くなった後の手続きの問題
事前に話し合いをしていないと、亡くなった後に財産の分配で親族間にトラブルが起こる可能性があります。
特に遺言書がない場合、相続人同士で意見が分かれやすく、法定相続に従ってもスムーズに進まないことがあります。意見の対立が解決しないと、法的手続きに発展し、時間や費用がかかり、家族関係が悪化するリスクもあります。
さらに、これらの手続きは精神的なストレスも伴います。愛する人を失った悲しみの中で複雑な手続きを行うことは精神的な負担となり、故人を偲ぶ時間を持つことが難しくなる場合もあります。
認知症になった際の問題
認知症は記憶や判断力に影響を与え、日常生活に大きな影響を及ぼします。事前に話し合いをしていないと、誰が面倒を見るか、ヘルパーを雇う費用をどうするかが不明確になります。財産管理も特に深刻で、認知症になると金融取引や契約が難しくなり、詐欺や不正利用のリスクが高まります。
家族間で財産管理の意見が分かれ、患者が自分の意思を伝えられないため、財産管理や資産分配の決定が困難になり、家族間の争いや不信感が生じることもあります。最悪の場合、法的トラブルに発展することも考えられます。
また、不適切な財産管理によって生活費や医療費が不足し、家族が急遽資金を補填しなければならず、経済的負担が増大する可能性もあります。
多くの人は話し合いたいと思っている
同調査によると、家族や親族と「話し合ったことはない」と回答した人の53.9%は、「今後話し合いたいと思っている」と回答しています。
特に年代が上になるほど話し合いたいと思っている割合が増えており、70歳の年代では約7割が「話し合いたいと思っている」と回答しています。
昨今は、相続関連の法律は大きく変わっています。「相続登記の義務化」や、「生前贈与加算が3年から7年へ」など生前から話し合いや手続き、対策をしていなければ大きく損をしてしまう可能性が高まりつつあります。
話し合いのきっかけにおすすめなタイミングは?
財産管理に関して話し合いをするタイミングも非常に重要です。なんとなく「まだ話すには早い」と感じてしまい先延ばしにしてしまいがちです。より自然な流れで話したい方は下記に紹介するタイミングがおすすめです。
●親族の病気・ケガ・入院したタイミング
●年末年始やお盆などの親族の集まるタイミング
●ライフステージの転換点を迎えるタイミング
●周りの家庭で相続が発生したタイミング
親族の病気・ケガ・入院したタイミング
親族が病気やケガをしたり、入院したりするタイミングは、相続や財産管理について話し合う良い機会です。こうした状況では、家族が集まりやすく、また財産管理や相続に対する意識が高まるからです。
特に、入院が長引く場合は、今後の介護や医療費の支払い方法、誰がどのようにサポートするかといった具体的な問題について話し合う必要が出てきます。
年末年始やお盆などの親族の集まるタイミング
これらのタイミングでは、普段遠方に住んでいる親族も帰省し、全員が顔を揃えることが多いため、話し合いがスムーズに進む可能性が高まります。
また、これらの時期は比較的穏やかな雰囲気で、話し合いの緊張感が和らぐため、建設的な議論が期待できます。
ライフステージの転換点を迎えるタイミング
例えば、子供が結婚する、孫が生まれる、定年を迎えるなどの節目は、家族の在り方や将来について考える良い機会です。
これらのタイミングで財産管理や相続について話し合うことで、自然な流れで準備を進めることができます。
周りの家庭で相続が発生したタイミング
他の家庭で相続が発生したときは、財産管理や相続について話し合う良いタイミングです。身近な人が相続問題に直面すると、自分たちの家庭でも同じような状況が起こり得ることを実感しやすくなります。
特に、相続手続きの煩雑さや親族間での意見の違いがトラブルを引き起こす様子を見て、「自分たちも早めに話し合っておかないといけない」と感じることが多いでしょう。
自然に財産管理に関して話す流れ
財産管理に関する話題を自然に持ち出すことは、特にデリケートな問題を含む場合、難しいと感じることが多いです。しかし、紹介する流れであればスムーズに話を進めることができる可能性があります。
STEP1.日常会話から始める
まず、話し合いのきっかけを探る際には、日常の会話や最近の出来事を活用すると良いでしょう。
例えば、親族や近しい友人が財産管理について話していたエピソードを共有することで、話の切り出しやすさが増します。「最近、○○さんが相続の話をしていたんだけど、私たちも考えておくべきかな?」といった形で話を始めると、相手も自然に耳を傾けやすくなります。
STEP2.共感しつつ伝えたいことを明確に伝える
次に、共感を示すことが重要です。財産管理に関しては、感情的な面も含まれるため、「誰もが重要だと感じているけど、なかなか話しづらいよね」といった言葉で相手の気持ちを尊重しつつ、自分の意見を伝えることで、対話のハードルを下げることができます。
また、話し合いの目的を明確にすることも大切です。財産管理の話題は、今後の親族間のためであることを強調し、「家族でトラブルを起こさないためにも、今のうちに話しておきたいと思っているんだ」といった説明を加えます。これにより、相手も話し合いの重要性を理解しやすくなります。
STEP3.具体的なシチュエーションで話す
さらに、具体的なシチュエーションを想定すると、話が進めやすくなります。
例えば、「もし私が突然入院することになったら、どうすればいいのか考えておきたい」といった具体例を挙げることで、話が現実味を帯び、相手も真剣に考えるようになります。
STEP4.段階的にひとつずつ話す
最後に、話し合いを一度で終わらせようとせず、段階的に進めることを心がけましょう。
初めての話し合いでは、全ての問題を解決するのは難しいため、まずは大まかな枠組みを決める程度で十分です。その後、定期的に話し合いの場を設けることで、徐々に詳細を詰めていくことが可能です。
まとめ
相続は多くの人が直面する問題です。生前対策の重要性を理解していても、実際には準備が進んでいない人も多いでしょう。相続対策において、まず何よりも大切なのは家族での話し合いです。
中には「自分が相続したときはなんとかなったから大丈夫」と思っている方もいるかもしれませんが、相続を取り巻く環境は年々変わっており、昔のやり方が今でも通用するとは限りません。
財産に関する話題をタブー視せず、日常の会話の中で少しずつ意見交換を始めることを心がけましょう。
出典
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