会社で「財形貯蓄制度」をすすめられました。自分で貯蓄するのと何が違うんですか?メリットはあるのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年9月3日 2時10分
財形貯蓄制度と自分でする貯蓄との違いを紹介します。財政貯蓄制度のメリット・デメリットはもとより、利息や税制優遇について解説しますので、参考にしてください。
財形貯蓄制度とは
財形貯蓄制度とは、会社が従業員の給与から天引きして貯蓄をする制度です。
財形貯蓄制度には老後資金や住宅資金など目的を明確にした「財形年金貯蓄」「財形住宅貯蓄」と、目的を問わずに自由に一部引き出しや解約などができる「一般財形貯蓄」の3種類があります。詳しくは表1の通りです。
表1
種類 | 目的 | 積立期間 | 契約要件 | 税制優遇 | 契約数 |
---|---|---|---|---|---|
一般財形貯蓄 | 自由 | 3年以上 | 年齢制限なし | なし | 複数可 |
財形年金貯蓄 | 年金として受取(満60歳以上) | 5年以上 | 55歳未満 | 財形住宅と合算して550万円まで利子非課税 | 1人1契約 |
財形住宅貯蓄 | 住宅の取得・増改築の費用に充当 | 財形年金と合算して550万円まで利子非課税 | 1人1契約 |
出典:厚生労働省「財形貯蓄制度」を基に筆者作成
「一般財形貯蓄」は預入限度額がない元本保証された預金保険の対象の貯蓄です。1年たてば払い戻せます。契約時の年齢制限はなく複数契約もできますが、税制優遇はありません。
「財形住宅貯蓄」は、住宅購入や75万円以上のリフォーム・増改築を目的とした貯蓄です。財形年金貯蓄との合計で元利合計550万円まで非課税扱いとなりますが、床面積など適用条件があるようです。
「財形年金貯蓄」は、退職後の年金受け取りを目的とした貯蓄です。住宅財形貯蓄との合計で元利合計550万円まで非課税扱いとなり、年金の支払が完了するまで非課税措置が継続されます。
財形貯蓄制度のメリット・デメリット
財形貯蓄制度は給与から一定額を会社が天引きをして貯蓄するため、手間もなく着実に貯蓄可能である点がメリットです。「財形住宅貯蓄」と「財形年金貯蓄」は元利合計550万円まで非課税扱いとなる点が大きなメリットといえるでしょう。
財形貯蓄制度を1年以上利用し、残高が50万円以上ある場合は「財形持家融資制度」を利用できます。
デメリットは、制度の利用中に急にお金が必要になった場合、解約には所定の書類を準備しなければならず、手間と時間がかかる点です。
企業が受ける財形貯蓄制度のメリット・デメリット
企業にも導入メリットがあります。福利厚生の充実により人材確保につながる、会社は大きな負担もなく社内の福利厚生制度や社内融資制度の充実を図ることができるなど、求職者へ福利厚生の充実をアピールできるでしょう。
貯蓄意識を喚起できるため、従業員の勤労意欲も高まり、生産性の向上に期待できます。
一方、財形貯蓄の積立金を給料から天引きするためには、労使協定が必要です。
労働基準法第24条において、「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、賃金の一部を控除して支払うことができる(一部抜粋)」と定められています。
財形貯蓄の運営に関する社内規程や、就業規則の整備など、導入には準備が必要です。
財形住宅貯蓄制度以外で貯蓄する方法
財形貯蓄制度と似ている国地が推進する貯蓄方法として、NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)があります。
NISAも投資した金融商品から得られる利益は非課税ですが、年間投資額や非課税保有限度額が決まっているのが異なる点です。
iDeCoは掛け金や運用益、給付を受け取るときに税制上の優遇措置が講じられています。掛金を運用するには自分で運用方法を選択して申し込み、掛け金を拠出します。ただし、60歳になるまでは受給できない点に注意が必要です。
NISAとiDeCoの元本変動型はどちらも「投資信託」に投資するため、元本保証はありません。確実に貯蓄したい場合には、財形貯蓄制度が安心です。
貯蓄の目的に沿って選ぼう
財形貯蓄制度は、1000円からスタートできる会社が天引きで貯蓄してくれる制度です。税制優遇もあるため、銀行口座に普通に貯蓄しているよりはメリットがあります。
ただし、すぐに引き出したりするのは難しく、目的外の場合は課税されてしまうため、使い方には注意が必要です。目的に沿った貯蓄制度をうまく活用し、しっかりとお金を貯めましょう。
出典
厚生労働省 財形貯蓄制度
デジタル庁 e-GOV 労働基準法 (昭和二十二年法律第四十九号) 第二十四条
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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