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通知書を見て落ち込んでいます。「国民健康保険料」が年の途中で上がることってあるのでしょうか?間違いでしょうか?

ファイナンシャルフィールド / 2024年9月2日 21時0分

通知書を見て落ち込んでいます。「国民健康保険料」が年の途中で上がることってあるのでしょうか?間違いでしょうか?

毎年6月頃に、市町村から送られてくる国民健康保険(税)の通知書。見てみると、年の途中から保険料(税)が上がっていてびっくりすることがあります。   これは何かの間違いではないか、と動揺したり、憤慨したりする方もいらっしゃると思いますが、それには正当な理由がある場合がほとんどです。   そこで本記事では、国民健康保険料(税)が上がるよくある理由について解説します。

国民健康保険料(税)に関するよくある誤解

私たちが支払う国民健康保険料(税)がどのように決まるのか、について、筆者はたとえばこんな誤解を耳にします。
 
「今年は働いていないから、保険料はほとんどかからないはず」
 
国民健康保険料(税)は、その年の収入ではなく、前年の所得(会社員の場合、給与から一定の控除額を引いた額)によって決まります。たとえば、前年は会社勤務だった方が今年は無職になった場合、給与収入はない一方、多額の健康保険料(税)が請求される可能性があります。
   
「去年は病院にほとんどかかっていないから、保険料が上がるはずはない」
 
被保険者個人が支払う国民健康保険料(税)は、その方がどれだけ病院で治療費がかかったか、で変わるわけではありません(ただし、被保険者全体の医療費総額によっては変わります)。 
 
「前年から家族構成は何も変わっていないから、毎月の保険料は同じになるはず」
 
家族構成が変わらなくても、保険料が変わる場合があるので、注意が必要です。具体例は後述します。
 
このような多くの誤解がある保険料(税)ですが、その仕組みを理解しておけば、年の途中で保険料が変わっても、その理由を理解できます。
 
では、次に国民健康保険料が上がる主な例を見てみましょう。
 

10月に国民健康保険料が上がったケース

国民年金保険料(税)が年金から特別徴収※されている方に届いた税額決定通知書を見ると、10月からの保険料が上がっていることがあります。
 
※特別徴収とは、世帯主が国民健康保険料(税)を口座振替や納付書により納付する(普通徴収)のではなく、世帯主が受給している公的年金から、国民健康保険料(税)をあらかじめ差し引いて納付する仕組みです(※1)。
 

(出典:横浜市発行の国民健康保険料賦課決定通知書を元に筆者作成)
 
上記の例の場合、10月に保険料(税)が1万円上がっています。なぜでしょうか。
 
その理由は、4~8月までの保険料(税)が前年度の保険料(税)によって、10月から2月までは本年度分の所得と新たに決まった保険料率に基づいて徴収されるからです。
 
もう少し具体的にご説明します。
 
国民健康保険(税)は、原則毎年6月に、その年の保険料(税)が決まります。
 
しかし、保険料(税)はその前から賦課が始まるため、便宜上、4月~8月分は前年の保険料(税)を徴収します(これを仮徴収といいます)。10月以降に徴収される保険料(税)は、新たに決まった年間の保険料(税)から、すでに徴収した4~8月の仮徴収分を差し引いた額となります(これを本徴収といいます。)
 
この関係を図にすると、以下のとおりになります。
 
国民健康保険料(税):仮徴収と本徴収

(出典:坂出市ホームページ「国民健康保険料の年金からの特別徴収について」より筆者作成)(※2)
 
なお、10月からの保険料は、もし新たに決まった国民健康保険料(税)が昨年よりも上がった場合は上がり、下がった場合は下がります。
 

年内のある月から保険料(税)が上がったケース

通常、国民健康保険料(税)の賦課決定通知書は6月に届きますが、年の途中に再度通知書が届くことがあります。そこには、「変更前」と「変更後」の保険料が記載されていて、よく見ると、保険料が上がっていることがあります。

(出典:横浜市発行の国民健康保険料賦課決定通知書を元に筆者作成)
 
上記の例では、「変更後の額」における毎月の納付額が、1月より1万円上がっています。このような場合、「うちは何も変わっていないのに、いきなりなぜ保険料(税)が追加で徴収されるのか」と困惑される方が少なくありません。
 
国民健康保険料(税)は原則、毎年6月に決まる、ということは「ケース1」の項に書いたとおりですが、たとえば以下の理由により、年度の途中であっても保険料(税)が変わることがあります(※3)。

1. 国民健康保険に加入、または資格を喪失した場合
2. 新たに所得を申告したり、修正申告したりした場合
3. 他の市区町村から転入した場合
4. 介護保険の第2号被保険者に該当した場合
5. 世帯を分けたり、世帯を一緒にしたりした場合

この中で、(筆者の経験上)特に気付かないことが多いのが「4.介護保険の第2号被保険者に該当した場合」です。
 
介護保険とは、被保険者が保険料を納め、介護が必要と認定されたときから介護サービスを利用できる制度(※4)で、40歳以上65歳未満の医療保険加入者が加入する「第2号」と、65歳以上の方が加入する「第1号」があります。
 
この介護保険料は、第2号の場合、健康保険料(税)の一部として納めます。そのため、世帯の中で、国民健康保険に加入している方が40歳になった場合、その月から国民健康保険料(税)に含まれる介護保険料が賦課されます。
 
その結果、40歳になった方が誕生日を迎えると、新たな保険料が記載された通知書が届きます。
 
その他、「2. 新たに所得を申告したり、修正申告したりした場合」も注意が必要です。
 
たとえば、3月に出した確定申告書に、後から他の所得の申告漏れが見つかって、その所得を追加して修正申告したとします。すると、それに合わせて健康保険料(税)も変わります。その結果、新たな保険料(税)の通知書が届くことになります。
 

国民健康保険料(税)が決まる基本的な仕組みは覚えておきましょう

ここまで、年度の途中で国民健康保険料が上がったケースをご紹介しました。
 
年の途中で保険料が上がる理由には、本徴収が始まった、被保険者が40歳になった、修正申告を行った、などがあることをお分かりいただけたかと思います。
 
なお、本記事では年度の途中で上がったケースを取り上げましたが、年間を通じて国民健康保険料(税)が昨年比で大きく上がり、驚く方も多くいらっしゃると思います。その場合も、前年に不動産や株、投資信託などの金融商品を売却して利益が出て申告したことなどの理由が考えられます。
 
届いた保険料(税)の通知書の内容について、分からないことがあれば、お住まいの市区町村役場にたずねるのがよいのですが、保険料(税)が決まる仕組みなど、基本的な内容は事前に押さえておくことも、合わせておすすめします。
 

出典

(※1)横浜市 国民健康保険料の年金からの特別徴収について
(※2)坂出市 国民健康保険税が年金特別徴収のかたは,4月から令和6年度の仮徴収が始まります
(※3)藤沢市 国民健康保険料の変更が起こるとき
(※4)知るぽると 介護保険制度のしくみ
 
執筆者:酒井 乙
CFP認定者、米国公認会計士、MBA、米国Institute of Divorce FinancialAnalyst会員。  

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