「遺族年金」は「いつからいつまで」もらえる? 「年金のみ」で暮らしていくことはできる?
ファイナンシャルフィールド / 2024年9月4日 2時10分
大切な人を亡くした辛さを想像できる方は多いでしょうが、生計を維持していた人を亡くした場合の生活再建まで想像できる方は少ないでしょう。遺族年金は、そのような困難に見舞われた方を支えるために設けられた制度です。 本記事では、いつからいつまで支給されるのか、遺族年金だけで生活していくことは可能かなどを解説します。
遺族年金は2種類ある
遺族年金とは、国民年金や厚生年金保険に加入していた方が死亡した際に、その方の遺族が代わりに年金を受給できる制度のことで、遺族基礎年金と遺族厚生年金の2種類があります。
遺族年金の受給期間
それぞれの遺族年金の受給期間は以下の通りです。
遺族基礎年金
遺族基礎年金の支給は、亡くなった日の翌月から、子どもが18歳になる年度の3月31日までです。ただし、子どもが障害等級1級または2級の場合は、20歳まで継続されます。なお子どものいない遺族の場合、遺族基礎年金を受け取ることはできず、代わりに寡婦年金または死亡一時金を受け取れます。
遺族厚生年金
遺族厚生年金の支給も、被保険者が亡くなった翌月からです。ただし、終了時期は受給者によって異なります。
・妻が受給する場合
子がいる妻、または被保険者の死亡時に30歳以上の妻は、翌月から基本的に一生涯受給可能です。
一方、30歳未満で子がいない妻は、翌月から5年間受給できます。
・夫・父母・祖父母が受給する場合
被保険者の夫・父母・祖父母が受給する場合は、被保険者が亡くなった時点で受給者が55歳以上であれば、60歳から一生涯受給可能です。ただし、遺族基礎年金を受給できる子がいる夫は子に支給されます。
・子・孫が受給する場合
被保険者の子・孫が受給する場合は、翌月から18歳の年度末まで(障害等級1級・2級の場合は20歳まで)受給可能です。
遺族年金の受給金額
遺族年金の受給金額について説明します。
遺族基礎年金
日本年金機構によると、子のある配偶者が受け取るときの遺族基礎年金は、年額で「816,000円 + 子の加算額」です。また、子が受け取るときの年額は、「816,000円+2人目以降の子の加算額」を子の数で割った額が1人あたりの額になるとしています。
なお、子の加算額は「1人目および2人目の子の加算額 各234,800円」「3人目以降の子の加算額 各78,300円」です。
遺族厚生年金
日本年金機構によると、遺族厚生年金の年金額は「死亡した方の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3の額」となります。報酬比例部分とは、在職中の給与や賞与の金額、加入期間に応じて決まる年金額の計算の基礎となるものです。
遺族年金だけでは収入が大きく激減
遺族年金の支給状況を基にした平均月額は、妻が遺族基礎年金と遺族厚生年金を受け取っている場合の12~14万円を除けば、おおむね8~10万円です。
遺族年金は多くの遺族にとって重要な生活収入源ですが、十分な額とは言えない場合が多く、60歳未満の遺族年金受給者の8割は遺族年金に加えて就業することで生活を維持しているようです。
遺族年金生活者支援給付金
遺族年金生活者支援給付金とは、遺族基礎年金を受け取っている方の前年の所得額が一定額以下である場合に受け取れるものです。
支給要件は、遺族基礎年金を受けていること、前年の所得額が「472万1000円+扶養親族の数×38万円」以下であることです。給付額は月額5310円です。ただし、2人以上の子が遺族基礎年金を受給している場合は、5310円を子の数で割った金額がそれぞれに支払われます。
遺族厚生年金の見直しへ
厚生労働省は、遺族厚生年金の見直しを進めています。現役世代で子どもがいない場合、受給期間を男女共に5年間とする案が2024年7月30日に開かれた審議会で提示されました。これは、共働き世帯の増加に対応するためのものです。
男女間の就労環境には依然として差があるため、妻の受給期間の短縮は段階的に20年以上かけて実施される予定で、現に受給中の人や40代以上の女性には影響がないとされています。
遺族年金だけでは生活は厳しい
遺族年金だけで生活できるかどうかは、受給額以外にも、生活費や居住地域、ライフスタイルにもよるため一概にはいえません。遺族年金は、亡くなった方によって生計を維持されていた遺族の生活の一部を補う制度ですが、遺族年金だけでは生活が厳しい場合は、生活保護制度などを受けられる可能性もあるので、利用を検討しましょう。
出典
日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
厚生労働省 遺族年金制度
日本年金機構 遺族年金生活者支援給付金の概要
厚生労働省 遺族年金制度等の見直しについて
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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