来年定年を迎える父の貯金が「300万円」しかないことが発覚…!働くよう促すべきでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年9月8日 2時10分
「老後は年金だけで生活できない」「老後2000万円問題」などの言葉を聞くことがある昨今、現役時代にできるだけ貯金をして、老後資金を準備している世帯も多いのではないでしょうか。しかし中には「定年を迎える親の貯金が300万円しかない」といったケースも。 そこで今回は、60代の平均貯蓄額や老後生活で必要な金額の目安について調べてみました。年金だけで生活することが難しい場合に子どもができる援助についてもご紹介しますので、参考にしてください。
定年を迎える父の貯金は300万円……60代の平均貯蓄額はどれくらい?
金融広報中央委員会「知るぽると」の「家計の金融行動に関する世論調査(令和5年)」によると、60代単身世帯の平均貯蓄額は1468万円、二人以上の世帯は2026万円です。また、貯蓄のない60代単身世帯の割合は33.3%、二人以上の世帯は21.0%です。
60代で貯蓄額300万円以下の世帯の割合をまとめると以下の通りです。
●単身世帯:49.3%
●二人以上の世帯:35.7%
老後生活を年金だけで送ることは難しいといわれることのある昨今、現役時代に老後資金を貯めるようにしている人もいますが、中には貯金がほとんどないといったケースも考えられます。「定年を迎える父の貯金が300万円しかない」ことは決して珍しいことではないでしょう。
年金だけで生活できる? 老後の生活で必要な金額の目安
定年を迎える父親に貯金がほとんどない場合、老後生活が心配になるでしょう。総務省統計局の「家計調査年報(家計収支編)2023年(令和5年)結果の概要」によると、65歳以上の無職世帯における1ヶ月の平均的な家計収支は以下の通りです。
・高齢単身無職世帯
65歳以上の単身無職世帯の実収入は12万6905円で、消費支出(14万5430円)と非消費支出(1万2243円)を合わせると15万7673円となり、毎月3万768円の不足分が発生することが分かります。
・夫婦高齢者無職世帯
65歳以上の夫婦のみ無職世帯の実収入は24万4580円で、消費支出(25万959円)と非消費支出(3万1538円)を合わせると28万2497円となり、毎月3万7916円の不足分が発生することが分かります。
同調査から、多くの高齢者世帯では年金だけで老後生活を送ることは困難で、貯蓄を崩しながら生活費を賄う必要があることが分かります。貯金300万円の場合は、仮に毎月3万円を崩していくと、約8年4ヶ月でなくなってしまいます。
また上記はあくまでも平均的な数値で、年金が満額支給されない人や、国民年金だけの人もいることから、高額の不足分が生じて年金だけでは生活が困難になる可能性も考えられるでしょう。
生活が厳しい親に対して子どもができる援助
親の貯金が少なくて、年金だけでは老後生活が難しい場合、子どもは以下のような方法で援助できるかもしれません。
・家計の見直しを手伝う
まずできることとして、親の収支を把握することが挙げられます。収入と支出を把握してから、無駄な支出があれば減らせるかもしれません。
特に毎月一定必要になる通信費・居住費など固定費を減らせるなら、大きな節約につながります。食費・交際費などの流動費も見直せますが、生活にメリハリがなくなってしまう可能性も考えて、優先順位を決めて無理のない範囲で行うことが大切です。
・定年後も働くことをすすめる
定年後も健康で意欲があれば、仕事を続けることをすすめられるでしょう。今の職場で再雇用制度があれば、労働環境を大きく変えることなく仕事が続けられます。
特技や趣味を生かして収入を得たり、健康維持のために体を動かす仕事に就いたりもできるでしょう。
・仕送りをする
自分自身に経済的な余裕があれば、毎月の不足分を仕送りで援助できるでしょう。仕送りが負担にならないように、家計の見直しを行ったうえで適切な金額を決めます。
・公的制度の活用を検討する
仕送りをする経済的な余裕がない場合は、公的制度の活用も検討できるでしょう。
例えば生活福祉資金貸付制度は、高齢者や所得の低い世帯の生活を経済的に支えるための制度で、厚生労働省によれば、貸付利率は無利子から最大で年1.5%です。
収入が厚生労働大臣の定める最低生活費に満たない場合は、生活保護制度を活用することも検討できるかもしれません。
貯金の少ない親の老後は家計の見直しから始めよう! 仕送りや公的制度の活用を検討するのもあり
65歳以上の高齢者無職世帯では、家計収支で平均3万768円から3万7916円の不足分が生じることが分かりました。年金だけでは生活が難しい可能性があるため、貯金を崩す世帯が多くなることが想定できますが、貯金が300万円しかない場合は8年4ヶ月を過ぎると貯金が底をついてしまいます。
子どもとしては、まず親の家計の見直しを手伝い、収支を把握したうえで働くことをすすめたり、仕送りをしたりして援助できます。自分自身に経済的な余裕がない場合は、公的制度の活用も検討できるでしょう。
出典
金融広報中央委員会 知るぽると 家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](平成19年以降) 各種分類別データ(令和5年) 統計表の番号4 金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)
金融広報中央委員会 知るぽると 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年以降) 各種分類別データ(令和5年) 統計表の番号4 金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)
総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2023年(令和5年)結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支 <参考4> 65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯)(18ページ)
厚生労働省 生活福祉資金貸付制度
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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