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高齢の母の「介護」が必要になりました。介護休暇は「年5日」まで、介護休業制度も“使い勝手”が良くないように感じます。なにか良い方法はないのでしょうか…?

ファイナンシャルフィールド / 2024年9月9日 5時10分

高齢の母の「介護」が必要になりました。介護休暇は「年5日」まで、介護休業制度も“使い勝手”が良くないように感じます。なにか良い方法はないのでしょうか…?

介護休業や介護休暇の日数が少ないと感じている人もいるでしょう。確かに自分だけで両親の介護をする休業・休暇と考えれば不十分に感じますが、これらの制度は介護サービスの手続きをして介護の体制を構築したり、ケアマネジャーと打ち合わせたり、といったことも想定されており、実は仕事と介護の両立支援制度は充実したものになっています。   最近の法改正も含めてわかりやすく説明します。

介護離職が深刻な問題になっている

高齢者人口の増加とともに、介護が必要な人の数は増加しています。介護を担う人の多くは働き盛りの世代です。介護は育児と異なり突発的に問題が発生する上、介護の期間・方策も多種多様で、仕事と介護の両立が困難となることも考えられます。
 
総務省が実施した2022年の調査では、介護・看護のために過去1年間に離職した人は10万6000人にのぼります。
 
厚生労働省の介護離職ゼロポータルサイトによると、介護離職の理由として「仕事と介護の両立が難しい職場だった」「自身の心身の健康状態が悪化した」というものもありますが、中には「介護サービスの存在・内容を十分に知らなかった」というものも見受けられます。
 
一方、介護者(介護をしている人)629万人のうち、365万人が仕事をしています。ただし、状況次第で介護離職をする予備群になっている人もいると考えられます。仕事と介護の両立支援策を十分に把握し、有効に活用することが望まれます。
 

仕事と介護の両立のために様々な支援策が用意されている

仕事と介護の両立支援策は手厚く、最近の法改正でさらに充実しています。2025年4月から施行される介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度の全体像は図表1を参照してください。
 
図表1

厚生労働省 令和6年改正育児・介護休業法の概要
 

制度の対象者の要件

介護休業の対象者は「要介護状態の対象家族を介護する男女の労働者」(日々雇用は除く)とされています。正社員のみでなく有期雇用労働者も一定の要件を満たせば対象です。要件の概要は以下の通りです。
 

要介護状態の対象家族

対象家族は、負傷、疾病または身体上・精神上の障害で、2週間以上常時介護(歩行、排泄、食事等の日常生活に必要な便宜を供与すること)を必要とする状態にある家族です。その家族の範囲は、本人の「配偶者(内縁含む)」「父母(養父母含む)」「子(養子含む)」「配偶者の父母(養父母含む)」「祖父母」「兄弟姉妹」「孫」です。
 

有期雇用労働者(契約社員など)も対象

契約社員など有期雇用労働者も対象です。ただし、介護休業開始予定日から約9ヶ月の間に労働契約の満了が決まっている人は対象になりません。
 

支援策の内容、目的、使い方

支援策の内容、目的、使い方などの概要は以下の通りです。
 

介護休業制度

支給対象家族1人につき、通算93日を限度に3回に限り取得できます。
 
休業期間は、自分が介護を行うだけでなく「介護と仕事の両立体制を整える期間」です。例えば、介護保険サービスなどの利用体制を整える、そのため地域包括支援センターなどと相談し、ケアマネジャーに介護の体制を整えてもらう、といったことです。
 
また職場の中で、仕事と介護の両立体制を整えるため、管理職・同僚・部下、人事部などとの相談も必要でしょう。厚生労働省では企業向け・社員向けのサポートツールも用意されています。職場復帰までに仕事を継続できる体制を整えていくことが目的です。
 

介護休業給付

支給対象となる同じ家族について93日を限度に3回まで支給されます。給付額は「休業開始日賃金日額の67%」です(賃金支払いがあれば減額がありうる)。
 
休業開始時賃金日額は、介護休業開始前6ヶ月間の賞与を除く総支給額を180で割った額です。1支給単位期間の支給日数は原則30日(介護休業終了日を含む支給単位期間は介護休業終了日までの期間)となります。
 

介護休暇

対象家族1人の場合は年5日、2人以上の場合は年10日、1日または時間単位で取得できます。ケアマネジャーとの打ち合わせや通院に付き添う、といった使い方が想定されます。
 

所定外労働の免除(残業の免除)・時間外・深夜労働の制限

介護が終了するまで残業の免除があります。時間外労働は1か月24時間・年間150時間まで、深夜労働(午後10時から午前5時まで)も制限してもらえます。1回につき1か月以上1年以内(深夜労働は1か月以上6か月以内)で、介護終了まで何回でも請求できます。
 

短時間勤務等の「選択的措置義務」

会社は次のいずれかの措置をとることが義務付けられており、介護をする労働者は対象家族1人につき、連続する3年以上の期間で2回以上、措置を活用できます。

●短時間勤務制度
●フレックスタイム制
●時差出勤(始業・終業時刻の繰上げ・繰下げ)
●労働者が利用する介護サービス費用の助成

 

介護期間中のテレワーク(努力義務)

介護期の働き方としてテレワークができるようにすることが事業主の努力義務とされます。2025年4月施行予定です。
 

仕事と介護の両立のためにするべきこと

仕事と介護の両立についての国の支援策は非常に充実しています。
 
制度内容を理解するのが難しいときは、都道府県労働局雇用・環境均等部(室)に相談しましょう。会社とのトラブル解決の援助もしてくれます。また、高齢者の生活サポートのための相談・支援は、市区町村の「地域包括支援センター」で対応してくれます。
 
制度内容を知らないままに介護離職に至るようなことは、自身のためにも、介護の対象となる家族のためにもなりません。相談窓口を活用し、職場の人たちとも相談し、家族で支えあい、仕事と介護を両立させるよう尽くしてください。
 

出典

厚生労働省 仕事と介護の両立~介護離職を防ぐために~ポータルサイト
厚生労働省 介護離職ゼロ ポータルサイト
厚生労働省 Q&A~介護休業給付~
総務省 令和4年就業構造基本調査 結果の要約
 
執筆者:玉上信明
社会保険労務士、健康経営エキスパートアドバイザー

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