知人がそろって「ふるさと納税」を行っていますが、いまいち実態がわかりません。誰がどんな経緯でつくったシステムなのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年9月10日 3時50分
数年前からふるさと納税という言葉をニュースやCMでもよく耳にするようになりました。お得なイメージはあるものの、どのような制度で何がメリットなのかいまいちよく分からないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。 そこで本記事では、ふるさと納税の仕組みや制度の歴史について解説します。利用するメリットや注意点も紹介しているため、参考にしてみてください。
ふるさと納税とは?
ふるさと納税は、名称に納税とついていますが、正確には都道府県や市区町村への寄付制度です。通常は自治体に寄付して確定申告をすると、寄付金額の一部が所得税や住民税から控除されます。
しかし、自分の選んだ自治体に寄付するふるさと納税の場合は、一般的な寄付とは異なり、原則として自己負担額である2000円を除いた全額が控除の対象になります。
例えば、扶養家族が配偶者のみの年収700万円の給与所得者が、3万円ふるさと納税をすると、2000円を引いた2万8000円が所得税と住民税から控除されることになります。
ふるさと納税の歴史
ふるさと納税という制度が誕生したのはなぜでしょうか。ふるさと納税は2006年に当時の福井県知事が問題提起をしたことが、誕生のきっかけになっているといわれています。
多くの人が生まれ育った地方の自治体から教育や医療などのサービスを受けます。しかし進学や就職のタイミングで都会へ転居すると、納税先は今まで住民サービスを受けていた地方ではなく、現在住んでいる自治体になってしまうのです。
そうすると地方の自治体は税収が得られません。そのため、「今住んでいるところだけでなく、自分が生まれ育った故郷にも納税ができないのか」という問題が提起され、2008年にこのような制度が生まれました。
つまり、ふるさと納税は、自分で選んだ自治体に寄付できる制度ではありますが、本来は「自分が生まれ育った故郷への還元」が目的で誕生した制度なのです。
ふるさと納税のメリット
ふるさと納税は、地方自治体だけでなく寄付した人にもメリットがあります。
応援したい地方に寄付ができる
ふるさと納税は生まれ育った地方をはじめ、応援したい自治体を自分で選んで寄付ができる制度です。さらに、地方によっては子育てや復興支援、医療など何に利用するかを選択できる場合もあります。
税金の一部が戻る・控除される
手続きをすることで、所得税の一部が戻ってきたり、住民税が控除されたりします。手続き方法は後述の内容を参考にしてください。
返礼品がもらえる
寄付した自治体の名産品が、寄付金に応じて返礼品として後日届きます。返礼品は食品、工芸品などさまざまで、寄付する際に自分で選択可能です。
ふるさと納税の行いかた
ふるさと納税は、以下の手順で行います。まずはふるさと納税サイトを利用して、応援したい自治体を選びます。選んだ自治体に寄付すると、確定申告に必要な書類が送付されてくるため、大切に保管しておきましょう。
確定申告は、ふるさと納税を行った翌年の3月15日までに住所地の所轄の税務署で行ってください。確定申告には、寄付をした際に送付された寄付を証明する書類(受領書)の添付が必須です。
確定申告が無事完了すると、ふるさと納税をした年の所得税から控除されます。控除の方法は、所得税からの控除に加え、ふるさと納税をした翌年度分の住民税が減額される形が取られます。
確定申告が手間であるように感じられますが、確定申告の不要な給与所得者等で、寄付先が5団体以内であれば、ふるさと納税ワンストップ特例の申請で手続きを済ませることが可能です。
この場合は、ふるさと納税をする際にふるさと納税ワンストップ特例の申請書を提出します。また控除の方法が通常とは異なり、控除額の全額がふるさと納税をした翌年度の住民税の減額という形で控除されます。
ふるさと納税を理解して利用しよう
ふるさと納税は多くのメリットがある一方で、さまざまな問題も浮き彫りになってきています。例えば、本来の生まれ育った地域や応援したい地域への寄付というよりも、返礼品が豪華な自治体が選ばれる傾向にあることです。
このような課題に対する対策のため、少しずつ制度の見直しが行われていますが、寄付する側も制度の趣旨を理解したうえで、ふるさと納税を利用してみてはいかがでしょうか。
出典
総務省 よくわかる!ふるさと納税
総務省 ふるさと納税のしくみ ふるさと納税の概要
総務省 ふるさと納税のしくみ ふるさと納税の流れ
東京都主税局 ふるさと納税に対する東京都の見解
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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