3月〜5月に残業すると手取りが減るけど、将来もらえる年金額が増えるって本当?
ファイナンシャルフィールド / 2024年9月11日 2時20分
残業をすると残業代が支払われるため、基本的には手取りが増加します。より多くの給料を稼ごうと考えて、普段から積極的に残業をする人もいるのではないでしょうか。しかし、3月〜5月に残業をした場合、手取りが減る可能性があるため注意が必要です。 本記事では3月〜5月に残業すると手取りが減る理由のほかに、3月~5月に残業するメリットについても解説します。手取りを増やすために残業を活用したい人は参考にしてください。
3月〜5月に残業すると手取りが減る?
毎月支払われる給与からは、大きく分けて税金と社会保険料の2種類が天引きされます。どちらも給与額によって支払うべき金額が決定されますが、税金は1年間の所得を参考にするため、特定の月の給与を気にする必要はありません。
ただし、社会保険料は4月〜6月の給与支給額の平均を基準に、1年間の保険料を決定しています。算出された平均額を標準報酬月額と呼び、この仕組みを定時決定といいます。
つまり、残業して4月~6月に支給される給与が多くなれば標準報酬月額が増加し、納めるべき社会保険料が増えるのです。結果的に給与から天引きされる金額が増えるため、手取りが減ることになります。
3月~5月の残業代が注目される理由は時間外手当、いわゆる残業代を残業した当月末に集計し、翌月に支給する会社が一般的だからです。
標準報酬月額を算出する場合に参照される給与は総支給額であり、時間外手当以外の諸手当を含みます。しかし、毎月変動する可能性があるのは時間外手当くらいのため、残業代が注目されています。
つまり、仮に残業時間を抑えて時間外手当を減らしても、それ以外の諸手当で4月〜6月の給与が増加すれば標準報酬月額も増えるため、手取りは減るといえるでしょう。
3月~5月に多く残業するメリット
3月~5月に多く残業して4月~6月に支払われる給与が増えると、標準報酬月額も上がって9月以降の手取りが減ります。そのため、一見するとデメリットしかないように思えますが、標準報酬月額が上がることで得られる恩恵もあります。
3月~5月に多く残業し、標準報酬月額が上がるメリットは以下の通りです。
●残業代が増えるため、単純に4月~6月分の手取りが増える
●傷病手当金が増える
●出産手当金が増える
●各種厚生年金の受取金額が増える
傷病手当金は病気や怪我などが理由で会社を休み、充分な報酬を受けられない場合に生活を保障するために支給されます。なお、支給期間は1年6ヶ月です。
出産手当金とは出産のために仕事を休む女性に向けて、生活費を保障するために支給されるものです。
傷病手当金と出産手当金は標準報酬月額が多いほど支給される金額も増えるため、3月~5月に多く残業することで得られるメリットといえます。ただし、全ての人が受け取るものではありません。病気や怪我で会社を休まず、出産の予定がない人にとってはメリットといえません。
対して、各種厚生年金は全ての人に関係があるものです。厚生年金も傷病手当金や出産手当金と同様に、標準報酬月額が多いほど支給される年金額も多く算出されます。つまり、端的にいえば将来受け取れる年金額が増加します。
3月~5月の残業にはメリットとデメリットがある
月々の給与から天引きされる社会保険料は4月~6月の給与額に応じて決定されるため、3月~5月に残業して4月~6月の給与が増えると、支払うべき社会保険料が増加します。つまり、結果的にその後の手取りが減るのは事実です。
収入が減るため3月~5月に残業するのはデメリットに感じますが、傷病手当金や出産手当金、将来受け取れる厚生年金の支給額が上がるメリットもあります。これらの支給額は4月~6月の給与支給額の平均、いわゆる標準報酬月額を基にして算出するからです。
手取りが減るため、目先の利益を考えると残業すべきではないように感じますが、長期的に考えればデメリットばかりではありません。
残業代によって4月~6月の給与も増えるため、そこまで意識して残業を避ける必要はないでしょう。
出典
全国健康保険協会 傷病手当金
全国健康保険協会 出産で会社を休んだとき
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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