実家は70代の両親の2人暮らしで、食事は「スーパーの弁当」が多いそうです。「自炊よりラクで安い」とのことですが、栄養面が心配です。和食なら問題ないでしょうか…?
ファイナンシャルフィールド / 2024年9月12日 5時0分
高齢の両親が、毎日の食事をスーパーの弁当で済ませることに不安を感じる人は少なくないでしょう。健康面や費用面での心配も不安です。 本記事では、スーパーの弁当の栄養面での特徴や費用対効果、また、高齢者がスーパーの弁当を利用するメリットについても解説します。
スーパーの弁当は栄養バランスに難あり?
スーパーのお弁当のコーナーには、からあげ弁当やかつ丼、幕の内弁当などさまざまな種類があります。一般的に幕の内弁当は、お米と野菜やお肉などがバランスよく入っていますが、栄養面では注意が必要です。
塩分が過剰になりがち
スーパーのお弁当には、塩分が多いおかずや味付けが濃いおかずが入っている場合が多くあります。弁当を1つ全部食べると、塩分の過剰摂取につながりかねません。
漬物や佃煮、梅干しなどは塩分濃度が高く、これらをたくさん食べると1日に必要な塩分量を超えてしまう可能性があります。付属の醤油も、おかず自体に味付けがしっかり付いていれば使用しないなどの工夫が必要でしょう。
野菜が少ないお弁当が多い
スーパーのお弁当を見ると、お弁当の半分がお米、半分がお肉や魚、余ったスペースに野菜が入っていることが多いと思います。
主食、主菜、副菜のバランスが3:1:2のお弁当が理想と言われているようです。
お弁当を選ぶ際には、できるだけ野菜が多く、揚げ物が少ないものを選ぶことをおすすめします。また、お弁当だけでは野菜を補えない場合には、サラダやお総菜などを組み合わせて、野菜をプラスすることを意識するとよいでしょう。
スーパーの弁当はお金がかかる?
自炊とスーパーの弁当では、食費はどう違うのでしょうか。2食を弁当、1食を白米と総菜を買う場合、月にいくらかかるのか、平均的な食費と比較してみましょう。
お弁当と総菜の食費
総務省が公表している小売物価統計調査によると、幕の内弁当は600円前後、からあげ弁当は500円前後が多いようなので、お弁当は1つ550円、総菜は200円として計算します。この場合、1日1300円かかるため、30日分で3万9000円、2人分で7万8000円必要になります。
自炊をした場合の食費
総務省統計局が2023年に行った「家計調査報告(家計収支編)」によると、2人世帯以上の1か月の食費は図表1のとおり、8万1738円です。ここから、自炊に関係ない「菓子類」「飲料」「酒類」「外食」の費用を差し引くと5万3053円になりました。
お弁当の費用7万8000円との差は2万4947円もあり、お弁当は自炊の1.47倍もの出費になります。
図表1
食費 | 自炊分の食費 | |
---|---|---|
穀類 | 6551円 | 6551円 |
魚介類 | 5996円 | 5996円 |
肉類 | 8041円 | 8041円 |
乳卵類 | 4313円 | 4313円 |
野菜・海藻 | 8860円 | 8860円 |
果物 | 3093円 | 3093円 |
油脂・調味料 | 3892円 | 3892円 |
菓子類 | 7122円 | - |
調理食品 | 1万2307円 | 1万2307円 |
飲料 | 5277円 | - |
酒類 | 3633円 | - |
外食 | 1万2653円 | - |
合計 | 8万1738円 | 5万3053円 |
総務省統計局 家計調査報告(家計収支編)2023年を基に筆者作成
「作るより買う」時代? 高齢者がスーパーの弁当を買うメリット
栄養面や費用面においては、自炊をするほうがメリットは多いですが、高齢の親がスーパーの弁当を買うメリットもあります。
高齢になると、料理をする手間や火の使用に対するリスクが増えます。また、少人数の家庭では、食材を買って調理すると使い切れず腐らせてしまう可能性もあり、弁当や総菜を買ったほうが経済的である場合もあります。
また、買い物に出かけること自体が外出や軽い運動となり、高齢者の生活において重要な要素となることもあります。お弁当や総菜は買い置きできないため、頻繁にスーパーに行き、食事を調達する必要があります。社会との接点を持つ一つの手段でもあり、孤立を防ぐ役割を果たすこともあるでしょう。
まとめ
スーパーの弁当や総菜に頼る生活には、栄養面でのリスクや費用面での負担が伴う一方で、高齢者にとってはコスト面や生活の安全性、日々の外出の機会といったメリットもあります。親世代の食生活を見直し、健康を維持しつつ、無理のない範囲での食事スタイルを提案していくことが大切です。
出典
総務省統計局 小売物価統計調査(動向編)2024年 7月
総務省統計局 家計調査報告(家計収支編)2023年(令和5年)
執筆者:渡邉志帆
FP2級
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