退職金を「1000万円」受け取りました。貯金は別で「500万円」ほどあるので、妻と2人暮らしなら老後資金は足りますよね?
ファイナンシャルフィールド / 2024年9月14日 5時10分
退職金と貯金で計1500万円用意できれば短期的には安心感がありますが、老後を見据えるとリスクも考えられます。老後の生活費や突発的な支出を考慮したうえでの資金計画をシミュレーションし、安心して暮らすために必要な準備や対策を解説します。
老後に必要な生活費は?
統計局がまとめた「家計調査報告書(家計収支編)2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の1ヶ月の消費支出は「25万959円」という結果が報告されています。
退職後でも年金などの「実収入」だけで生活できるのではなく、税金や社会保険料などの「非消費支出」が必要です。定年後に年金を受給している場合は「所得税」と「住民税」、住宅を所有している場合には「固定資産税」がかかります。
これら非消費支出を差し引いた額で、いわゆる手取り収入である「可処分所得」は、65~69歳の世帯は25万3273円、70~74歳の世帯は23万2550円、75歳以上の世帯は20万9882円でした。
減っていく貯金額
同資料より、65歳以上の夫婦のみの世帯の可処分所得から消費支出を差し引いた額である黒字は、「マイナス3万7916円」です。これは収入から支出を払いきれておらず、毎月3万7916円が貯蓄から減っていくことを意味しています。
1年間で45万4992円が貯蓄から消えていく計算になるため、老後に向けた資金を用意しておく必要があります。「人生100年時代」ともいわれているように100歳まで生きることを想定した場合、65歳から100歳までの35年間では「1592万4720円」が不足するでしょう。
退職金1000万円と貯金500万円という金額は、決して十分とはいえないことが分かります。
老後の費用
持ち家に暮らしている場合、大きな支出としてリフォーム費用の支払いが必要になるケースがあります。たとえば30歳で新築住宅を購入した場合、65歳になると築35年迎えるため、住宅リフォームの検討が必要になるでしょう。
一般社団法人住宅リフォーム推進協議会「2022年度住宅リフォームに関する消費者(検討者・実施者)実態調査」によると、築後30年以上の実施者では5割以上が住宅構造部の劣化がきっかけと解答しています。
リフォームを実施した住宅の築年数も25年以上~30年未満が17.6%、30年以上が31.8%と合計49.4%を占め、築25年以上の割合が増加しています。
同様に世帯主のリフォーム契約時の年齢も60代が全体の16.1%、70代が25.6%、80代以上が1.6%と全体の43.3%が老後にリフォームを実施しています。
築30年以上の住宅リフォームを実施した人のリフォーム費用平均額は368万2000円となっており、リフォーム費用も別途用意しておく必要があります。
医療・介護費用
統計局がまとめた「家計調査報告書[家計収支編]2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の月平均医療費は1万6879円となっています。
高額療養費制度により医療費の自己負担額が一定額に抑えられるため、日頃から予算としてとっておくことで想定よりも費用をかけずに医療を受けることが可能です。
また、介護費用も公的介護保険により、介護サービスを限度額の範囲内で自己負担1~3割で利用できるようです。必要となることを念頭に、事前に医療費や介護費を支出に組み込んでおきましょう。
突発的な支出に備えておこう
生活費だけであれば夫婦で老後暮らしていく分には少し節約することで暮らせるでしょう。しかし、リフォーム費用など突発的な費用が発生する可能性もあります。
また、年金額によっては十分な人もいれば不足する人もいるため、しっかりと自分の年金額を確認しておきましょう。
出典
総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2023年(令和5年)平均結果の概要(17,19ページ)
一般社団法人住宅リフォーム推進協議会 2022年度住宅リフォームに関する消費者(検討者・実施者)実態調査(9,10,14ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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