夫が65歳で定年退職。妻がまだ「50代」の場合、扶養から外れることになるの? 夫の定年が“妻に与える影響”を解説
ファイナンシャルフィールド / 2024年9月15日 4時40分
夫が定年退職して年金生活になれば、家計は大きく変化することでしょう。これまで夫の扶養に入っていた専業主婦やパートタイマーの主婦にとって、定年後の扶養の扱いがどう変わるのか心配な人もいるのではないでしょうか。 本記事では国民年金保険や健康保険など、いわゆる「社会保険」の扶養に入っていた妻が、夫の定年後にどのような影響を受けるのかを解説していきます。
50代の配偶者なら第1号被保険者に変わる
扶養という言葉は、主に2つのケースで使われます。
1つは社会保険での扶養です。これは、扶養に入っていれば国民年金保険料を本人が納める必要がなく、健康保険が適用されるものです。もう1つは所得税の扶養控除です。扶養する側(例えば夫)が配偶者控除などによって課税所得を減らすことができます。
ここでは、前者の社会保険に関する扶養について解説します。社会保険の扶養とは、国民年金の第3号被保険者であることを指します。第3号被保険者とは、国民年金の加入者のうち、厚生年金に加入している第2号被保険者(会社員や公務員など)に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者です。
年収などの条件がありますが、専業主婦やパートの主婦の人はこれに該当します。ただし、第1号被保険者(自営業者など)の妻の場合は第3号被保険者にはなれず、妻も第1号被保険者となります。
第3号被保険者の最大のメリットは、国民年金保険料を自分で納付しなくてよいことです。この保険料は配偶者が加入する厚生年金から拠出されています。
夫が65歳で定年退職し再就職もしないと、妻は第3号被保険者ではなくなり、扶養から外れます(夫も第2号被保険者ではなくなるので、扶養から外れるという表現は正しくないかもしれませんが)。この場合、第1号被保険者への種別変更手続きが必要になります。詳しくは居住の自治体で確認してください。
この場合、妻が60歳以上であれば、国民年金保険の支払いは終了していますが(例外的に終了していないケースもあります)、妻が50代であれば、国民年金保険料を支払う必要があります。
国民年金保険料は、令和6年度で1万6980円、令和7年度で1万7510円です。2年分前納すると、約1ヶ月分保険料が安くなるのでお得です。また、口座振替を使うと若干安くなります。
所得がなくて保険料の支払いに困るときは
夫の年金があるとはいえ、配偶者に所得がなく、自身の年金受給まで時間がある場合、国民年金保険料の支払いに困ることもあるかもしれません。そのようなときは、国民年金保険料の免除制度を検討してみるのも一つの手です。
これは、前年の所得が一定額以下で、保険料を納めるのが経済的に難しい場合に利用できます。申請書を提出し、承認されると保険料の納付が免除されます。
全額免除や一部免除などいくつかの段階が設定されており、免除となった場合でも、その期間は国民年金を納めた期間としてカウントされますが、年金の受給額は通常よりも減額されます。
夫の定年時、妻が60歳未満なら要注意
ここまで説明した通り、夫が定年となった時に妻が50代、もしくはそれ以下の場合は、国民年金保険料の支払いが発生するため注意が必要です。
なお、健康保険は状況により異なります。夫と一緒に国民健康保険に加入することもあれば、夫が働いていた会社の健康保険に任意継続する場合などはそのまま扶養に入ることができるケースもあります。
もしも自身の状況について不明な点や心配な点がある場合には、居住の自治体や社会保険労務士などの専門家に相談することをおすすめします。
出典
日本年金機構 国民年金保険料
日本年金機構 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度
執筆者:御手洗康之
CFP、行政書士
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