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定年後の安定収入のために「投資用のマンションを買う」と言う父。貯金を全額つぎ込もうとしていますが、大丈夫なのでしょうか?

ファイナンシャルフィールド / 2024年9月16日 4時10分

定年後の安定収入のために「投資用のマンションを買う」と言う父。貯金を全額つぎ込もうとしていますが、大丈夫なのでしょうか?

定年後の老後資金を用意する方法の一つに投資があります。なかには、退職金や貯金をマンション投資で運用して、年金のほかに収入を得たいと考える人もいるでしょう。しかし、定年後の安定収入のために父親が「投資用のマンションを買う」と言って貯金を全額つぎ込もうとしているとき、本当にうまくいくのか心配になるでしょう。   そこで今回は、貯金を全額つぎ込んだ後に老後生活で必要な資金を得るために、年金のほかにいくら必要になるかを調べてみました。臨時の支出に備える必要がある点についてもご紹介しますので、参考にしてみてください。

貯金を投資用マンションに全額つぎ込んだら……。老後生活の収支を予想

定年後の安定収入のために、マンション投資を検討している方もいるでしょう。もし、父親が投資用マンションに貯金を全額つぎ込んだら、毎月の生活費を賄うために年金のほかにどれだけの収入が必要になるのかについてご紹介します。
 
まず、高齢者世帯の家計収支について、総務省統計局の「家計調査報告〔家計収支編〕2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、夫婦高齢者無職世帯の平均的な支出は以下の通りです。

●消費支出:25万959円
●非消費支出:3万1538円
●支出合計:28万2497円

年金収入については、日本年金機構「令和6年4月分からの年金額等について」によると厚生年金の目安(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)は、令和6年度で月額23万483円であるとのことです。あくまでも平均的な収入を基にした給付水準ですが、見込み通りに年金を受け取ると仮定すると、老後の年金生活では収支に5万2014円の不足が生じることが分かります。
 

投資用マンションで年金生活の不足分は補える?

年金生活の不足分は、一般的に貯金を崩して補うことができますが、貯金を投資マンションにつぎ込んでしまうと、マンション投資の家賃収入で補うことになるでしょう。マンション投資による家賃収入の目安は以下の通りです。
 

・2200万円の中古ワンルーム

手取りの年間利回りを3.8%程度と仮定すると、家賃収入の目安は毎月6万~7万円であると予想されます。年金生活の不足分は十分補える収入になるでしょう。ワンルームマンションの戸数によって家賃収入は増えて、毎月の収入に余裕が出ることも考えられます。なお、マンションを買わずに2200万円を貯金しておく場合、年金生活の不足分を35年ほど補える計算です。
 
マンション投資は株やFXのように大きな収益にはつながらないものの、長期的・安定的に収益を上げられ、比較的リスクの少ない投資であるといわれています。しかし、利益に絶対はなく、空室・家賃下落・滞納・地震などのリスクがある点も理解しておく必要があります。
 

老後は臨時の支出への備えも大切

老後の生活が一般的な高齢者夫婦と変わらなければ、年金とマンション投資の家賃収入で生活費を賄えるかもしれません。しかし、十分な余裕がなくて収支がギリギリだと、以下のような臨時支出があった場合にやり繰りが厳しくなる点に注意が必要です。
 

・住宅のリフォーム

持ち家の場合、老後に入ってからリフォームが必要になることが考えられます。一般社団法人住宅リフォーム推進協議会の「2022年度住宅リフォームに関する消費者(検討者・実施者)実態調査」によると、リフォーム費用の平均は一戸建てで471万6000円、マンションで278万6000円です。リフォームに1000万円以上かかった人も、一戸建てでは10.8%、マンションでは4.4%いました。
 

・ボーナスからねん出していた支出項目

住宅ローンや車の維持費、旅行費用や家電などの大きな買い物など、今までボーナスからねん出していた支出は、老後の年金生活で臨時支出になります。生活費を計算する際は、これらの支出を月割りにして、毎月の生活費に加算するといいでしょう。
 
上記以外にも、長寿化により医療費や介護費用などがかかり、生活費の負担が増える可能性も考えられます。
 

投資用のマンションに貯金を全部つぎ込むと老後の年金生活の不足分を補えなくなる可能性あり! 収支をシミュレーションしたうえで対策も検討しよう

夫婦高齢者無職世帯の平均的な支出と、厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)の金額を比較したところ、老後の年金生活では収支に5万2014円の不足が生じることが分かりました。マンション投資では家賃収入が期待でき、年金と合わせれば毎月の不足分を賄える可能性はあります。
 
しかし、マンション投資には空室・家賃下落・滞納・地震などのリスクがある点に注意が必要です。また、老後生活では、住宅のリフォームやボーナスからねん出していた支出項目が、臨時支出として家計を圧迫する可能性があります。投資用マンションに貯金を全額つぎ込む前に、老後生活の家計収支をシミュレーションして、不足分を家賃収入で補えるか、また、臨時支出への対応についても確認しておく必要があるでしょう。
 

出典

総務省統計局 家計調査報告〔家計収支編〕2023年(令和5年)平均結果の概要(18ページ)
日本年金機構 令和6年4月分からの年金額等について
一般社団法人住宅リフォーム推進協議会 2022年度住宅リフォームに関する消費者(検討者・実施者)実態調査 結果報告書(9ページ)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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