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最近「地面師たち」というドラマを観ているのですが、実際にある“詐欺”なのですか? 騙されてもお金は戻ってこないのでしょうか…?

ファイナンシャルフィールド / 2024年9月16日 5時0分

最近「地面師たち」というドラマを観ているのですが、実際にある“詐欺”なのですか? 騙されてもお金は戻ってこないのでしょうか…?

現在、動画配信サイトで人気となっているドラマ、『地面師たち』。配信で「地面師」という言葉を初めて耳にした人も多いのではないでしょうか。   本記事では、「地面師詐欺」とはどのような詐欺なのか解説し、実際に多額の金銭を騙し取られた事件ついても紹介します。

地面師とは? その手口を解説

「地面師詐欺」とは、日本の不動産詐欺の一種です。グループで土地や建物の所有者になりすまし、不動産を他人に売却して多額のお金を騙し取る詐欺で、古くから存在する手法です。その手法はとても巧妙で、被害者は詐欺に気づくのが難しいといわれています。
 
具体的には、土地や建物など不動産の所有者になりすました偽の所有者が、偽造の身分証明書や登記書類で通常の不動産取引に見せかけます。空き家や空き地など、所有者が滅多に現れない不動産を入念に選んで、偽の不動産売買を行うようです。例えば、高齢の地主の子や孫を装い、地主の土地を売却し、金銭を得るなどの例があります。
 
不動産バブルで土地取引が活発化した昭和から平成初期にかけて特に多く発生していました。地面師は、高額な土地を所有者になりすまして売却し、数億円など巨額の利益を得ていました。
 
偽の不動産売買を行うために、地面師は不動産業者や金融機関までも騙したり、登記簿を改ざんしたりします。これらの偽造を見抜くことは、その道のプロである司法書士でも難しいといわれています。また、仲介業者が地面師の一味であるケースでは、買主以外のほとんどの登場人物が地面師グループのため、被害者はより信じやすい状況に置かれます。
 
売主が地面師だったと気づくのは、代金を支払い、地面師がすでに行方をくらました後です。一般的に不動産取引の際は、買主による売買代金の振り込み後、売主が買主に「権利証」と「印鑑証明書」を預けます。その後、買主側が法務局で登記申請を行った際に、書類偽造のため申請が却下され詐欺に気づくケースが多いようです。代金の支払いから登記が却下されるまでのタイムラグは、地面師グループが逃げる時間を与えてしまいます。
 
このため、地面師詐欺に騙し取られた金銭が戻ってくるケースは少ないようです。
 

実際にあった大胆な詐欺

地面師による巨額の詐欺では、積水ハウス事件が有名です。2017年6月1日に発生しており、比較的最近行われた詐欺といえるでしょう。積水ハウスは地面師グループに騙され、約55億5900万円を損失しました。
 
この事件では、地面師グループが廃業旅館の建つ土地の売却を積水ハウスに持ちかけ、分譲マンション用地として購入を決めた積水ハウス側が売買契約を結び、代金を支払いました。しかし、その後法務局への登記申請が却下されたことで、事件が発覚。大企業で何重もの幹部決裁を通していても、気づかない巧妙さがありました。
 
この事件の際も、売主の身分証として多くの書類が提出されていました。

●パスポート
●国民健康保険被保険者証
●住民票
●改正原戸籍謄本
●戸籍謄本
●印鑑登録証明書
●納税証明書

事件後、ある報道機関では近隣住民への聞き込みで、偽造されたパスポートの顔写真の人物が地主とは別の人物であるとの証言を得たそうです。大きな金額が動く取引とあって、積水ハウス側も売買契約前に自主調査するなど、事前に詐欺に気づけた点もあったのではといわれています。
 

まとめ

地面師詐欺とは、偽の不動産所有者になりすまし、不動産取引によって多額の金銭を騙し取る詐欺です。日本に古くからある詐欺ですが、登記簿や戸籍などの個人情報がコンピューターで管理されるようになり、さらに巧妙化しています。
 
先の事件ほど多額の詐欺ではなくとも、地面師による被害は起きています。地面師詐欺に限らず、疑わしいときは一度立ち止まって、家族や専門家に相談し、1人で抱え込まないようにしましょう。
 

出典

積水ハウス 分譲マンション用地の取引事故に関する総括検証報告書の受領及び公表について
 
執筆者:古澤綾
FP2級

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