10月から「火災保険料」が13%も値上げって本当ですか? 昨年マンションを購入したばかりなのですが、なぜこんなに“値上げ”されるのでしょうか…?
ファイナンシャルフィールド / 2024年9月16日 6時0分
賃貸物件にせよ持ち家にせよ、多くの世帯が火災保険に加入しています。火災保険料は固定的にかかる家計の出費の1つですが、2024年10月から値上げが予想されています。 本記事では、火災保険料の想定される値上げ幅、値上げにいたった背景などについて解説します。現在加入中の保険料が上がるのかについても解説しますので、これから加入を考えている人だけでなく、加入中の人もぜひ最後までお読みください。
火災保険料は2つの要素で決まっている
火災保険料は大きく分けて下記の2つの要素で決まります。
純保険料
純保険料とは、実際に補償の対象となる事象が発生したときに、被保険者に支払われる保険金に該当するものです。純保険料の算出のために保険会社が参考にする数値が「参考純率」と呼ばれるもので、損害保険料算出機構が発表しています。参考純率をそのまま使用するかどうかは、各保険会社がそれぞれ判断します。
付加保険料
付加保険料とは、保険会社が事業を営むためにかかる経費などに該当するものです。経費の具体的な中身は、新規保険契約を募集するための費用や、保険料の徴収や支払いにかかる費用などで、こちらも各保険会社が独自に算出しています。
火災保険料が値上げされる要因は参考純率の改定と水災リスクの細分化
今回の火災保険料値上げの要因は下記の通り2つあります。
参考純率の改定
先ほど紹介した参考純率が、2023年6月に平均で13.0%引き上げられたことによるものです。この数値を保険料にどう反映するかは各保険会社の判断によるので、必ずしも保険料が一律13%上がる訳ではありません。
水災に関する料率の地域細分化
現行の参考純率において、補償の一部である水災に関する料率が、全国一律から地域ごとの水災リスクに応じて5つに区分されることによるものです。こちらは地域によっては純保険料が改定前より下がる地域もあり、一概に上がるだけではありません。
具体的に火災保険料はどれくらい上がるのか
具体的にどれくらい保険料が上がるのかは、加入している保険会社や居住の市区町村によって異なります。ここでは損害保険料率算出機構が発表している各都道府県の平均的な改定率(図表1)を目安として紹介します。
●保険金額:建物2000万円、家財1000万円
●築年数:築10年以上
●物件構造:M構造は耐火構造(鉄筋コンクリート造等)の共同住宅、T構造はM構造を除く耐火・準耐火構造(鉄骨造等)の建物、H構造はそれ以外(木造等)の建物
図表1
損害保険料率算出機構 火災保険参考純率改定のご案内
参考純率が改定される背景
参考純率が改定される背景は、大きく分けて下記の3つです。
自然災害の増加
地球温暖化などの気候変動の影響により、近年は大きな被害を発生させる強い台風が多く発生し、日本へ接近・上陸することが増えました。このような自然災害におけるリスクが高まっている環境が、参考純率に反映されるようになりました。
住宅の老朽化の進展
築年数が古く、電気や給排水設備の老朽化した住宅の割合が増加傾向にあります。台風や大雪などによる建物の損壊に加え、インフラ設備の老朽化で火災や水漏れのリスクが相対的に高まっています。
修理費の高騰
建物の修理についても、使用する資材や人件費などの労務コストは上昇傾向となっており、参考純率を改定しなければコスト上昇を吸収できない状況となっています。
現在加入中の火災保険料は満期まで上がらない
火災保険に現在加入している人は保険料が上がるのか気になるかと思います。加入中の火災保険については、満期まで契約時の保険料が適用されるため、2024年10月からすぐさま保険料が上がることはありません。
一方で、今回の改定で水災に関する料率が地域で細分化されるため、居住の地域によっては保険料が値下げになる可能性もあります。これを機に加入している火災保険を見直すのも良いでしょう。
契約中の保険会社に見積もりをとって正確な金額を確認しよう
火災保険料算出のベースとなる参考純率の改定によって、2024年10月から火災保険料が値上げになる可能性があります。一方で、上がり幅は全国一律ではなく、居住の地域や各保険会社の判断によって異なります。火災保険料が気になる人は、保険会社に見積もりを依頼して確認しましょう。
出典
損害保険料率算出機構 火災保険参考純率改定のご案内
国土交通省 建設工事デフレーター
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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