定年後は「働かず」穏やかに暮らしたいですが、周りに働き続ける人が多く不安です。定年後に働かないのは「少数派」なのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年9月17日 6時10分
定年まで働き続けた人の中には、退職後は仕事をせずゆっくり過ごしたいと考える人もいるでしょう。しかし、周りに働き続ける人が多いと、仕事をせず過ごして大丈夫なのか不安に感じる人もいるかもしれません。 本記事では、定年後の就業意向について紹介するとともに、定年後に働かなくてもよいための準備方法や注意点なども解説します。定年後の過ごし方で迷っている人はぜひ参考にしてください。
定年後の就業意向について
ディップ株式会社が行った「定年後の就業意向・就業実態調査」によると、55~64歳で定年後も働きたいと回答した人の割合は、約6割でした。この結果だけで考えると、定年後に働かない選択をするのは、少数派といえます。
また、内閣府が発表している「令和4年版高齢社会白書」によると、65歳以降の就業率は表1の通りです。
表1
男性 | 女性 | |
---|---|---|
65~69歳 | 60.4% | 40.9% |
70~74歳 | 41.1% | 25.1% |
75歳以上 | 16.1% | 7.0% |
※内閣府「令和4年版高齢社会白書」より筆者作成
近年、65歳を超えても就業している男性は、約6割もいます。男性に関しては、前述したディップ株式会社の調査結果と一致しているといえるでしょう。65~69歳の女性についても4割ほど就業しており、男女ともに定年後も働いている人が多いといえます。
定年後に働かないようにするための準備
定年後に働かなくても生活にゆとりが持てるようにするためには、定年後の収支を明確にしておくことが重要です。例えば、収入においては公的年金の受給額や退職金、支出においては生活費や固定費などです。予想される収入と支出の差額を計算し、どのくらいの差が発生するのかを確認しましょう。
年金の受給額は日本年金機構から送られてくるねんきん定期便、もしくは、日本年金機構の公式サイトにある年金ネットで確認可能です。定年前に確認を行い、月々の収支を把握しておきましょう。
次に、老後に必要な金額を計算します。予想される収入と支出の差額を算出したら、亡くなるまでにトータルでいくら資金が足りていないのかを確認します。65歳で仕事を辞めて100歳まで生きると仮定した場合、35年分の生活費が必要です。
毎月3万円の差額が発生している場合、1年で36万円、35年で1260万円が必要と考えられます。差額分を補うため、事前に資産を貯めておくのか、副業を続けて継続的に収入を得るのか、自分に合った方法で足りない生活費を準備しましょう。年金の受給額や毎月の支出額には個人差があります。そのため、定年を迎える前に必ず自分で予測を立てて計算し、不足分を確認することが大切です。
定年後の働き方で注意したいこと
定年後、働かずに過ごすと、自由に使える時間が増えるメリットがあります。しかし、定年後に仕事を辞めて過ごしていると、現役時代と比べて運動量が減り、人との交流も少なくなりがちです。人とコミュニケーションを取る機会が減ると、ふさぎ込みやすくなる人もおり、うつ病や認知症のリスクが高まるといわれています。
また、働いていた時とは違い、収入が入ってこないため、年金と貯金を切り崩して生活することになります。寿命が伸びている現在、形成した資産を切り崩しながら生活していくことを不安に感じてしまう人もいるでしょう。
定年後も働き続けることで、体の健康やメンタル面、定年後の収入などに関する不安が減る可能性があります。収入面を安定させたり人とのつながりを持ち続けたりしたいと考えている方は、定年後も働き続ける選択肢を取るのも一つの手段です。
定年後の働き方は将来の資産を考えて決めよう
定年後、そのまま仕事を続ける人もいれば、退職して働かずに余生を過ごす人もいます。仕事を辞めて暮らしたいと考えている方は、収入と支出のバランスを事前に確認し、不足する分の資産を準備しておくことが大切です。
定年後も働き続けることは、収入面の安定だけではなく、健康面や人とのつながりにおけるメリットもあります。定年後どのように過ごしたいのか考え、自分にあった暮らし方を選択できるようにしましょう。
出典
ディップ株式会社 定年後の就業意向・就業実態調査
内閣府 1 就業・所得|令和4年版高齢社会白書(全体版)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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