老後の年金額は「今の65歳の人」より、「今年30歳になる人」のほうが多い!? 最新の“財政検証”をもとに解説
ファイナンシャルフィールド / 2024年9月18日 2時30分
年金財政は、少なくとも5年ごとに財政の現況及び見通しを作成し、年金制度がおおむね100年にわたって維持できるかどうかを検証しています。 最新の検証は本年実施され、2024年7月に結果が発表されました。検証内容をみると、年金額はいま65歳の人がもらっている額よりも、いま30歳の人が将来もらう額のほうが多くなる見込みです。少子高齢化で「将来の年金額は減る」と思っている人には意外な結果ですが、それには理由があります。 本記事では2024年の財政検証について解説し、現時点での将来の年金額の見通しについて解説します。
2024年の所得代替率は61.2%と50%を大きく超える
財政検証の結果、「次の財政検証までに所得代替率が50%を下回ると見込まれる場合には給付および負担のあり方について検討し、所要の措置を講じる」ことになっています。
所得代替率とは公的年金の給付水準を示す指標で現役男子の平均手取り収入額に対する年金額の比率により表され、2024年度は以下のようになっています。
所得代替率61.2%=(夫婦2人の基礎年金13万4000円+ 夫の厚生年金9万2000円)/ 現役男子の平均手取り収入額37万円
2024年度は所得代替率が61.2%と50%を大きく上回っていますので、次の財政検証までに保険料の値上げや給付の削減はないと考えて良いでしょう。また、財政検証では複数の経済成長のケースを想定し、各ケースで将来の所得代替率がどの程度になるかを検証しています。
モデル年金の将来見通し
所得代替率の算出には、夫婦2人の基礎年金+夫の厚生年金の合計額が使われています。つまり会社員や公務員の夫(妻)と専業主婦(夫)、または扶養内パートの妻(夫)という世帯がモデル世帯です。そのモデル世帯年金の将来予測はどうなっているのでしょうか?
成長型経済移行・継続ケースでは2040年度には25万1000円、2060年度には33万8000円となっており、2024年度の金額22万6000円を大きく上回っています。
一方、過去30年の経済成長を反映した低成長のケースでは2040年度は21万6000円、2060年度は21万4000円と予測されており、2024年度と比較して年金額も所得代替率も低下しています。
将来の1人当たり年金額の見通し
次にモデル年金ではなく、男女の1人当たりの平均年金額の予測を見てみましょう。成長型経済移行・継続ケースにおける1人当たりの平均年金額は次のような試算結果となっています。
・2024年度:男性14万9000円、女性9万3000円
・2039年度:男性15万6000円、女性10万9000円
・2049年度:男性18万円、女性13万2000円
・2059年度:男性21万6000円、女性16万4000円
次に過去30年と同じような成長だった場合の年金額を見てみましょう。
・2024年度:男性14万9000円、女性9万3000円
・2039年度:男性14万1000円、女性9万8000円
・2049年度:男性14万1000円、女性9万9000円
・2059年度:男性14万7000円、女性10万7000円
女性は若年層のほうが年金額は多くなっています。これは女性の労働参加が拡大し、厚生年金加入期間も延長するとみられているためで、年金額も物価の伸びを上回って上昇します。一方、男性は過去30年と同じ成長だと年金額は減額すると予想されています。
それでも男女の平均年金額の合計は2059年度(現在の30歳が65歳になる年度)が最も高くなっています。
このように、経済が順調に成長しても、過去30年と同じような低成長でも今の30代のほうが年金額は多くなります。ただし、その分賃金も上昇するので、所得代替率は2024年度より低い可能性もあります。
まとめ
将来の年金額は、過去30年と同じような低成長でも2059年度の男女の平均年金額が最も高くなると予想されており、その金額は2024年度よりも高くなっています。老後の年金について今の30代は「今よりも年金額は少なくなる」と考えている人が多いと思いますが、意外な結果といえるのではないでしょうか?
出典
厚生労働省 令和6(2024)年財政検証結果の概要
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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