近所のカフェで「大きな桃が乗ったパフェ」を注文!→実際は「桃が3切れ」しか乗ってなかった!? メニュー写真と“別物”でもお金を払う必要はある? 料金の支払い義務について解説
ファイナンシャルフィールド / 2024年9月19日 4時30分
レストランやカフェで、メニュー表に掲載されたおいしそうな写真を見て、つい注文してしまったという経験のある人もいるのではないでしょうか。ところが実際に提供されたら写真とはボリュームが異なり、がっかりしたということも少なくないかもしれません。 クリームやソースの量が多少違う程度ならともかく、たっぷりのフルーツが売りのパフェなのに写真よりも明らかに少ない量で提供された「写真詐欺」のような場合、提供された料理に代金を支払わないといけないのでしょうか。 本記事ではメニュー表の写真と全く異なる料理を提供された場合の対応と料金の支払い義務について解説します。
「写真詐欺」は詐欺になる?
実物の料理とは明らかに異なる写真をメニューに掲載することは、景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)で禁止されている「優良誤認表示」に該当する可能性があります。
そして客に誤認させるような写真で商品を注文させたうえで、明らかに写真と違う商品を提供した場合、店側には「客をだまして契約を締結させた」という民法上の詐欺が成立する可能性があります。
このような場合、だまされた側は契約を取り消すことが可能です。つまり店が「詐欺」で客をだましているため、客は代金を支払う必要はないといえます。
写真詐欺の料理にお金を払わないといけない?
店の義務についてもみていきましょう。店での商品の注文では、客はメニュー表の写真と同等のものが来ると思って、その商品にお金を払うと約束します。それに対して店はお金をもらう代わりに、写真と同等の料理を提供するという、客と店との契約が成立しているのです。
にもかかわらず、店側がメニューとは別物の料理を提供した場合には、店側の「債務不履行」となります。「債務不履行」とは、契約で定められた約束に対して十分な履行をしないことを意味します。
この場合、客は店側に契約通りメニューの写真と同じ料理を提供し直すように請求することが可能です。これに店側が応じて契約通りの商品を提供し直せば店側の債務は履行されたことになるので、客は料金を支払うことになります。
しかし、料理の提供を店側が拒否した場合には、客は注文の契約を解除でき、料金を支払う必要はありません。食券など先払いで料金を支払っていた場合には、返金を請求できます。
食べてしまったらどうなる?
もしメニューと明らかに異なる料理が提供されていて、客がそのことに気付いていたにもかかわらず、その旨を申し出ないで提供された料理を食べてしまったら、客は「その料理に納得」していたとみなされます。
つまり、食べてしまった以上、客は店側の債務の履行を承認したことになるため、代金を支払わなければいけないのです。食べ終わってから「写真と異なっていたから債務不履行だ」と主張することはできません。
ただし、一見しただけで写真と異なっているか判別がつかず、ある程度食べ進めなければ、メニュー表の写真と異なっているとわからないようなケースもあるかもしれません。
例えば、メニュー表には「パフェの中央部にフレッシュな桃がゴロっと入っている」と記載があるのに、実際は缶詰の桃が少量だけだったような場合です。
表面に出ているフルーツと違い、パフェの中央部に入っている場合はクリームやソースによって判別しにくくなっていることもあります。このような場合は、相違に気づいた段階で直ちに店側に申し出るようにしてください。
メニューの写真は「盛る」もの
あまりにも写真と異なる商品を提供するのは、店側の「詐欺」あるいは「債務不履行」となる可能性があります。ただし、メニュー表の写真は客に「注文したい」と思ってもらえるよう、実物よりもきれいに、そしてボリュームがあるように盛り付けされているケースも考えられます。
あまりにもかけ離れた料理を提供された場合は店に申し出る必要がありますが、ある程度の「誇張」であれば常識の範囲内として受け入れるようにすべきかもしれません。
出典
e-Gov法令検索 民法
e-Gov法令検索 不当景品類及び不当表示防止法
執筆者:渡辺あい
ファイナンシャルプランナー2級
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