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離婚の際、「夫の年金」を分割してもらえると聞き「熟年離婚」したいと思っています。何かデメリットや複雑な手続きはありますか?

ファイナンシャルフィールド / 2024年9月21日 9時0分

離婚の際、「夫の年金」を分割してもらえると聞き「熟年離婚」したいと思っています。何かデメリットや複雑な手続きはありますか?

一般に離婚後、女性の年金額は低額になるという問題がありました。そこで、2004年の法改正により、離婚時の年金分割制度が導入されました。   この分割制度には2007年4月から実施された「合意分割」と2008年4月から「3号分割」の2種類があります。

年金分割とは

年金分割は,離婚した場合に,夫婦の婚姻期間中の保険料は共同で納めたものとみなして、保険料納付額に対応する厚生年金を分割して、それぞれ自分の年金を計算する制度です。
 
具体的には、婚姻期間中について、厚生年金の支給額の計算の基となる報酬額(標準報酬)の記録が分割されます。年金分割の方法は、「合意分割」と「3号分割」の2種類あります。
 
【合意分割】
2007年4月1日以降に離婚した場合、婚姻中の夫婦の厚生年金を合計し、話し合いにより分割割合を決めます。なお、分割対象となる期間は2007年4月1日前の婚姻期間も含まれます。
 
話し合いにあたって、事前に「年金分割情報通知書」を日本年金機構から入手しましょう。この通知書には、分割の対象になる婚姻期間や厚生年金の報酬額(標準報酬)など年金分割に必要な情報が記載されています。請求は当事者が一緒に、または一方(相手の同意は不要)からすることができます。
 
分割割合は自由に決められます。厚生年金の報酬額(標準報酬)を最大2分の1まで分割できます。話し合いがまとまらない場合は家庭裁判所の調停や審判で決めます。
 
【3号分割】
会社員の妻である専業主婦(国民年金第3号被保険者)であった方からの請求により、年金を分割する方法です。2008年4月以降の第3号被保険者(事実婚含む)であった期間の夫の厚生年金の報酬額(標準報酬)の2分の1を、合意によらず自動的に受け取ることができます。
 
なお、2008年3月までの期間については3号分割の対象とならないので合意分割により割合をきめます。
 
年金分割をする場合、年金事務所に「標準報酬改定請求書(離婚時の年金分割の請求書)」を提出する必要があります。分割の割合が決まっていても請求の手続きをしないと年金は分割されません。
 
年金分割の手続きは、原則として、離婚をした日の翌日から2年を経過すると請求できなくなります。また、すでに離婚等が成立し、相手方が死亡した日から起算して1ヶ月を経過すると請求できなくなります。
 

年金分割の留意点

年金分割の主な留意点について確認しておきましょう。
 

1.分割の対象は厚生年金の報酬額(標準報酬)に限られる

老齢基礎年金、厚生年金基金の上乗せ部分、確定給付企業年金等は対象となりません。例えば、夫婦ともに自営業などで国民年金にしか加入していない場合は分割できません。
 

2.分割でもらった年金の期間は年金の受給資格期間(10年)に含めることができない

自分自身が年金の受給資格期間を満たしていないと年金を受け取れません。
 

3.年金をもらえるのは年金支給開始の年齢(原則65歳)がきたときから

年金分割が成立してもすぐに年金が受け取れるわけではありません。
 

4.年金分割は妻に有利とは限らない

共働きで夫より妻の厚生年金のほうが多い場合、妻の年金の一部を夫に分割することになります。
 

まとめ

年金分割できるのは厚生年金のみが対象ですし、婚姻期間の最大2分の1です。しかも実際に年金がもらえるのは原則65歳からです。
 
離婚しないでいれば、夫婦合算の年金で暮らせますし、遺族厚生年金も受給できる可能性がありますので、金銭的なことだけ考えれば離婚は不利です。しかし、さまざまな事情があるでしょうから、より良い選択ができるよう、制度の仕組みを理解しておくといいでしょう。
 

出典

日本年金機構 離婚時の年金分割
 
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。

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