1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

相続した「田舎の土地」、売却しても大した金額になりません。早く「処分」したいのですが、どうしたらいいですか?あまり費用をかけたくありません

ファイナンシャルフィールド / 2024年9月22日 9時0分

相続した「田舎の土地」、売却しても大した金額になりません。早く「処分」したいのですが、どうしたらいいですか?あまり費用をかけたくありません

Aさんは親から山奥の土地を相続しました。しかしその土地は、斜面が多く整備されておらず、店だけでなく人通りもないため、持て余している状況だそうです。   売却も考えましたが、査定の結果大した金額にならなかったそうで、あまり費用をかけずに処分する方法が知りたいとのご相談です。

所有者不明土地

相続のときに土地の登記が行われないなどの理由により、不動産登記簿を確認しても所有者が分からない土地、または所有者は分かっていてもその所在が不明で所有者に連絡がつかない土地のことを所有者不明土地といいます。
 
このような土地が日本各地で増加しており、2022年度に地方公共団体が実施した調査では、全国で24%の土地が所在者不明土地で、今後さらに増えていくと予想されています。
 
所在者不明土地が増えている原因として、使い道がなかったり、手放したいけれど売却ができなかったりするということがあります。そこで、所有者不明土地の発生を予防するために、創設されたのが、「相続土地国庫帰属制度」 (2023年4月27日施行)です。
 

相続土地国庫帰属制度

「相続土地国庫帰属制度」は、相続または遺贈((注1)によって宅地や田畑、森林など、土地の所有権を相続した人が、一定の要件を満たした場合に、費用を払うことにより土地を手放して国に引き渡す(国庫に帰属させる)ことができる新しい制度です。詳しく見てきましょう。
 

1. 申請権者

基本的には、相続や遺贈によって土地の所有権を取得した相続人であれば、誰でも申請できます(本制度の開始前に相続した土地でも申請できます)。また、兄弟姉妹など複数の人たちで相続した共同所有の土地でも申請ができます。
 
ただし、このケースでは、所有者(共有者)全員で申請する必要があります。なお、生前贈与を受けた相続人、売買などにより自ら土地を得た人、法人などについては、相続や遺贈で土地を取得した相続人とならないため、申請ができません。
 

2. 土地の要件

(1)申請の段階で却下となる土地(注2)と、(2)該当すると判断された場合に不承認となる土地があります(注3)。
 

(1)申請の段階で却下となる土地

A 建物がある土地
B 担保権や使用収益権が設定されている土地
C 他人の利用が予定されている土地
D 特定の有害物質によって土壌汚染されている土地
E 境界が明らかでない土地・所有権の存否や範囲について争いがある土地

 

(2)該当すると判断された場合に不承認となる土地

A 一定の勾配・高さの崖があって、管理に過分な費用・労力がかかる土地
B 土地の管理・処分を阻害する有体物が地上にある土地
C 土地の管理・処分のために、除去しなければいけない有体物が地下にある土地
D 隣接する土地の所有者等との争訟によらなければ管理・処分ができない土地
E その他、通常の管理・処分に当たって過分な費用・労力がかかる土地

 

3. 費用

申請する際には、1筆(注4)の土地当たり1万4000円の審査手数料を納付する必要があります。さらに、法務局による審査を経て承認されると負担金(注5)を納付します。負担金は、1筆ごとに20万円が基本となります(注6)。
 


 
以上見てきた要件に合っていれば、承認申請をする土地が所在している都道府県の法務局・地方法務局(本局)の不動産登記部門(登記部門)で相談することになります。

注1: 遺贈とは、自身の財産を遺言によって指定した人へ贈ることをいいます。
注2: その事由があれば、ただちに管理・処分をするにあたり、過分の費用・労力を要すると扱われるもの
注3: 費用・労力の過分性について個別の判断を要するもの
注4: 筆とは、登記上の土地の個数を表す単位
注5: 負担金は、土地の性質に応じた標準的な管理費用を考慮のうえ算出した10年分の土地管理費相当額
注6: 同じ種目の土地が隣接していれば、負担金の合算の申出をすることができ、2筆以上でも負担金は基本として20万円となります。
注7: 引き渡したい土地が自宅から遠方にある場合など、承認申請をする土地が所在する法務局・地方法務局(本局)での相談が難しい場合は、近くの法務局・地方法務局(本局)でも相談できます。

 

まとめ

使い道がない土地を相続しても、固定資産税、維持費、管理費などの費用がかかるだけです。後の世代に負動産を残さないためにも、自分たちの世代で処分をするようにしましょう。
 

出典

政府広報オンライン なくそう、所有者不明土地! 所有者不明土地の解消に向けて、 不動産に関するルールが大きく変わります!
法務省 相続土地国庫帰属制度1(概要)
 
執筆者:篠原まなみ
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP認定者、宅地建物取引士、管理業務主任者、第一種証券外務員、内部管理責任者、行政書士

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください