子どもが突然「私立の中学に行きたい」と言い始めました。学費などで「年間145万円」はかかるのですが、“世帯年収450万円”のわが家でも通わせられるでしょうか…?
ファイナンシャルフィールド / 2024年9月23日 5時10分
子育ての中で、突然の出費に直面することは珍しくありません。 「私立中学に行きたい」 突然子どもからこんな言葉を聞いたら、親としては喜びつつも戸惑いも感じることでしょう。私立中学への進学は、教育の選択肢を広げる一方で、家計に大きな影響を与える可能性があります。本事例のように年間約145万円という支出は、多くの家庭にとって大きな負担となるでしょう。 世帯年収450万円の家庭で、この願いを叶えることはできるのでしょうか。本記事では、その可能性と課題について詳しく見ていきます。
私立中学進学にかかる費用
まずは、中学進学に年間どれぐらいの費用がかかるのか、公立と私立それぞれ確認しておきましょう。図表1「子供の学習費調査」は、「保護者が1年間に支出した子供一人当たりの経費を、学校教育費・学校給食費・学校外活動費に分け、世帯の年間収入の実態とともに調査」したものです。
私立中学に進学した場合、1年間に平均約145万円、月額約12万円かかります。
図表1
公立 | 私立 | |
---|---|---|
学校教育費 | 14万円 | 107万円 |
学校給食費 | 4万円 | 1万円 |
学校外活動費 | 37万円 | 37万円 |
1年間総額 | 55万円 | 145万円 |
文部科学省 学校種別の学習費 令和3年度より筆者作成
※千円単位は切り上げ
年収450万円の手取り収入
給与の手取り額は、額面額の75~85%といわれています。年収450万円の場合、手取り収入は約340万円、1ヶ月当たり29万円です。この中で、住居費、光熱費、食費、通信費、医療費、その他基本的な生活費を賄わなければなりません。これらの支出が月20万円と仮定すると、残りの9万円で学費やその他の費用を賄う必要があります。
私立中学進学が家計に与える影響は決して小さくなく、本事例の月9万円×12ヶ月=108万円では1年間の学費総額である145万円には届きません。しかし、家計の見直しや、奨学金・教育ローンの活用によって、支払いが可能になることもあります。続いて、その具体的な方法について詳しく見ていきましょう。
私立中学の費用を賄うための家計改善
私立中学への進学を実現するためには、現在の家計を見直し、無駄な支出を削減することが必要です。また、奨学金や教育ローンの活用も選択肢の一つとして考えましょう。
先ほどの図表1で見たように、私立中学にかかる費用は年額約145万円、月額約12万円です。年収450万円の家庭の可処分所得が月9万円だとすると、単純計算で毎月3万円の赤字となります。この状況を乗り越えるために、以下に具体的な対策を紹介します。
家計の見直し
家計の中で無駄な支出がないかを確認し、削減できる部分を見直しましょう。例えば、電力会社や通信会社のプランを変更することで光熱費や通信費を削減したり、外食時にはクーポンを利用して節約したりするなど、できることから始めることが大切です。
加えて生命保険や医療保険、損害保険の内容を再確認し、過剰な保障(補償)がないかをチェックしてみましょう。必要最低限に見直すことで、保険料を削減できる場合があります。
奨学金制度の活用
学業成績が優秀な生徒や、特定の分野で優れた能力を持つ生徒に対して、奨学金制度を設けている私立中学校もあります。これを活用すると、学費の一部または全額が免除される場合がありますので、早めに情報を収集し、申請を検討してみましょう。
民間の教育ローンの検討
民間の教育ローンは比較的低金利で提供されることが多く、返済期間も長いため、家計への負担を抑えつつ資金を確保できます。例えば、住信SBIネット銀行の教育ローンは、在学中は利息のみを返済する「元金据置期間」を設定することができ、返済期間も最長15年と長いため、返済計画を立てやすいのが特徴です。
無理なく実現するための進学資金計画
世帯年収450万円でも、家計の見直しや奨学金・教育ローンの活用を通じて、私立中学への進学を実現することは可能です。しかし、経済的な負担が大きくなることは避けられないため、家族全体でじゅうぶんに話し合い、最良の選択をすることが重要です。
また、公立中学や特待生制度の活用といった他の選択肢も視野に入れることで、子どもの将来にとって最適な進路を見つけることができます。家計管理をしっかり行い、計画的に進めることで、安心して子どもの教育に投資できる環境を整えましょう。
出典
文部科学省 学校種別の学習費 令和3年度
総務省統計局 家計調査 2023年度
執筆者:西村りえ
2級ファイナンシャルプランナー、AFP
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