今後、遺族年金は「5年」だけの給付になりますか? これまで「育児」や「介護」で職歴は空欄、いざというときに職に就けるか不安です…
ファイナンシャルフィールド / 2024年9月24日 4時30分
先日、遺族年金の給付を5年とする見直し案が報道され、これまで育児や介護で専業主婦をしていた妻は、夫にもしものことがあると、5年間の遺族年金支給中に生活していけるような職につけないと、収入が激減してしまう可能性があります。 本記事では、遺族年金の現行制度と遺族年金5年化の検討内容について解説し、夫の収入に頼る専業主婦が考えるべき対策について解説します。
現行の遺族年金制度について
現行の遺族基礎年金を受給できるのは、亡くなった人の子どもか子どものいる配偶者のみです。子どもとは18歳になった年度の3月31日までにある人、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある人をさします。
現行の遺族厚生年金は、30歳未満で子どものいない妻は5年間、30歳以上だと子どもの有無は関係なく要件を満たせば一生涯の給付となります。
遺族年金が5年に? どう変化するの?
今回、見直しが検討されているのは遺族厚生年金です。遺族厚生年金の給付が、60歳未満で子どものいない配偶者には5年間の有期給付となる案が検討されています。
現在受給中の人や高齢期で遺族年金が発生した人、子どもがいる配偶者は現行制度が維持されるようですが、中高齢寡婦加算は段階的な廃止が検討されているようです。
夫の扶養範囲内で働いている人はどうなるのか?
今回の見直し案が実現すれば、夫(年収500万円)の妻(専業主婦で子どもは1人)は夫が死亡した場合の遺族年金がどのように変わるのでしょうか?
現行制度では、妻が30歳以上であれば、子どもがいる間は遺族基礎年金が約105万円(令和6年度は遺族基礎年金額81万6000円+子の加算額23万4800円)、遺族厚生年金が約52万円(平均標準報酬額41万円、被保険者期間は300月と仮定して算出)で合計約157万円を受給できます。
また、子どもが大きくなって遺族基礎年金の支給が終了しても、中高齢の寡婦加算(令和6年度は年額約61万円)の要件を満たせば、遺族厚生年金と合わせると約113万円が65歳まで受給可能です。
見直し案では、子どもがいれば遺族基礎年金と遺族厚生年金を受給できますが、子どもが大きくなり要件から外れた場合は5年が経過すると遺族年金は給付終了となります。
そのため、夫の収入に頼って生活している専業主婦などの妻は、遺族年金が終了した後も生活できるような収入源を考える必要があります。
正社員登用制度のある企業で働くか生命保険の増額を検討
これまで育児や介護で仕事をしていなかった人が、いきなり正社員として採用されるのは難しいかもしれません。そのため、できる範囲でアルバイトやパートで職歴を作ったり、わずかでも収入を得たりすることを考えましょう。
パートやアルバイトで働く場合は、正社員登用制度がある会社だと、万一の時の備えにもなるのでおすすめです。育児や介護の合間に勉強して、資格取得などに励むのも良いでしょう。
パートやアルバイトなどの収入を、貯蓄や投資に回して資産を増やすことができれば良いですが、難しい場合は夫死亡時の保障を生命保険の増額で対応することを検討しましょう。
まとめ
遺族年金の見直しはまだ検討段階であり、変更される場合も長期の移行期間が設けられる予定ですが、30代や40代の夫婦は、今後の働き方や生命保険などの見直し、資産運用の開始を夫婦で話し合い、対策を考えておくのが良いでしょう。
出典
日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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