「改正道路交通法」の施行からしばらくたちましたが「あおり運転」は減っているのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年9月26日 4時50分
「あおり運転」によるトラブルや被害を、ニュースやインターネットなどで見かける機会が増えています。そのような中で改正道路交通法が施行され、「あおり運転」に対する罰則が強化されました。法改正後に「あおり運転」の件数や意識がどう変わったのか気になる人もいるでしょう。 今回は改正道路交通法による変更点や罰則、実際に変化を感じている人の割合についてご紹介します。
改正道路交通法の施行後に変化を感じている人の割合
改正道路交通法が施行されてから、どのような変化があったのか、そもそも変化を感じられるのかが気になる人もいるでしょう。ナイル株式会社が実施した調査によると、変化を感じられた人、感じられなかった人の割合は、以下の通りです。
●変化を感じない:74.7%
●変化を感じる:25.3%
実際に変化を感じている人は4人に1人の割合となっており、それほど多い割合とはいえないでしょう。改正道路交通法が施行されてからも「あおり運転」を見た人の割合が約4割になっていることを考えると、まだ改正道路交通法は普及しきっていないと考えられます。
改正道路交通法による変更点は?
2020年6月30日、改正道路交通法が施行されました。妨害運転罪が新たに創設され、以下のような運転違反行為は「あおり運転」に該当し、罰則の対象となる可能性があります。
●通行区分違反
●急ブレーキ禁止違反
●車間距離不保持違反
●進路変更禁止違反
●警音器使用制限違反
●減光等義務違反
●安全運転義務違反
●追い越し違反
●高速自動車国道等駐停車違反
●最低速度違反(高速自動車国道)
上記に該当する場合、意図していなくても「あおり運転」と判断されてしまう可能性があるため、運転時は特に注意が必要です。また、仮に自身が上記に該当する行為を受けた場合は、安全な場所に避難したうえでの110番通報が推奨されています。ドライブレコーダーを設置していれば証拠にもなるため、なおよいでしょう。
総務省統計局の調査によると、2022年と2023年では、車間距離不保持は300件ほど増加しています。対して通行区分違反は650件ほど、通行帯違反は1万件ほど減少しており、全体的にあおり運転の数は減っている傾向があるといえるでしょう。ただし、ここで紹介したデータは高速道路上でのデータとなっており、一般道は例外となります。
さらに改正道路交通法の施行によって、自転車運転者講習制度にも変更が加わっています。具体的には危険行為に「妨害運転」の項目が追加されているため、受講の際は本項目がある点も覚えておきましょう。
妨害運転罪の罰則
妨害運転剤の罰則は「あおり運転をした場合」と「あおり運転のせいで危険が生じた場合」で異なります。それぞれの罰則や違反点数については、表1の通りです。
表1
あおり運転をした場合 | あおり運転のせいで危険が生じた場合 | |
---|---|---|
罰則 | 3年以下の懲役または50万円以下の罰金 | 5年以下の懲役または100万円以下の罰金 |
違反点数 | 免許取り消し(違反点数25点) 欠格期間2年間 |
免許取り消し(違反点数35点) 欠格期間3年間 |
※警察庁「STOP!あおり運転!!」を基に筆者作成
罰則は表1のように定められており、決して軽いものとはいえません。前歴や累積点数がある人は、あおり運転をした場合最大5年間、あおり運転のせいで危険が生じた場合は最大10年間の欠格期間になる可能性もあるため、注意が必要です。
改正道路交通法が施行されてから件数は減少傾向にあるが、いまだに変化を感じていない方の割合も多い
改正道路交通法は2020年6月に施行され、おもに「あおり運転」に対する罰則が強化されました。2022年から2023年にかけて、高速道路においては車間距離不保持は増加傾向、通行区分違反や通行帯違反は減少傾向にあります。しかし、施行後も「あおり運転」をいまだに見かけるといった意見も多く、変化していないと感じている方も多いようです。
「あおり運転」は危険な行為であり、場合によっては重大な事故につながるかもしれません。罰則については「あおり運転」をした場合と危険が生じた場合で分けられており、どちらも厳しい内容が定められています。
改正道路交通法が普及して「あおり運転」の数が減少することに期待し、自身が「あおり運転」に該当する行為をしないように注意しながら、日々の運転を行いましょう。
出典
ナイル株式会社 「あおり運転」などについての意識調査
e-Stat 政府統計の総合窓口 道路の交通に関する統計 5-3 高速道路における道路交通法違反取締り状況
警察庁 STOP!あおり運転!!
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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