65歳で定年し、現在は「再雇用」で働いています。年金を受給しながら「厚生年金」の保険料を払っているのですが、無駄になっていませんか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年9月26日 4時30分
定年退職後も老後の資金のためや趣味のためなど、さまざまな理由で再び働く方がいます。基本的に年金は65歳から受給できますが、再雇用で勤務しながらの受給も可能です。 しかし、年金を受給しつつ再雇用で働いていると、今支払っている厚生年金保険料が反映されるのか気になる方もいるでしょう。今回は、勤務と年金受給を同時期に行った場合の扱いや、定年退職をした場合と年金を受け取りながら働いたときの年金額についてご紹介します。
再雇用で勤務しながら年金受給をするとどうなる?
勤務しつつ受給する老齢厚生年金は「在職老齢年金」と呼ばれ、年金受給額の改定が毎年行われます。「在職定時改定」と呼ばれ、9月1日を基準に1年間の厚生年金保険加入期間が年金額に反映され、10月分から改定される制度です。
働きながら年金を受け取っていても、加入中の厚生年金が毎年反映されていくため、厚生年金保険料は無駄にはなりません。もし70歳まで継続して働くと、最終的に厚生年金保険に5年加入した分を上乗せして受給できることになります。
ただし、日本年金機構によると、受け取っている賞与を含む給与と老齢厚生年金の合計金額が50万円(令和6年度の支給停止調整額)を超えていると老齢厚生年金の一部もしくは全額が支給停止されるため、注意が必要です。
なお、いずれの場合でも老齢基礎年金額は変わりません。支給停止されるのも、老齢厚生年金額のみとなります。
65歳で定年退職したときと再雇用で働いたときの年金額は?
今回は、以下の条件を基に65歳で定年退職したときと65歳以降も再雇用で働いたときの年金額の差を比較しましょう。
・厚生年金保険には平成15年4月以降に加入
・加入開始したのは20歳から
・老齢厚生年金額は報酬比例部分と同額
・老齢基礎年金は令和6年度の金額(日本年金機構より、月額6万8000円、年間81万6000円)
・65歳まで働いた分の平均年収および65歳以降の年収は300万円で賞与は考慮しない
報酬比例部分とは、老齢厚生年金額を計算するときに基礎として使われる部分です。
日本年金機構によれば、「平均標準報酬額×0.005481×加入月数」で求められます。平均標準報酬額は収入を基に決められる標準報酬額の平均値で、日本年金機構「厚生年金保険料額表」より、上記のケースの場合26万円です。
65歳で定年退職したとき
65歳で定年退職したときの厚生年金加入期間は45年間、540ヶ月です。報酬比例部分の計算式に当てはめると「26万円×0.005481×540ヶ月」となるため、老齢厚生年金額は約76万9532円、月額約6万4128円を受け取れます。
老齢基礎年金額を加算すると、年金は年間で合計約158万5532円、月額約13万2128円を受給可能です。
65歳以降も働いたとき
65歳以降も働く場合は、加入月数が増えていくため毎年在職老齢年金額が変動します。条件を基にした70歳までの在職老齢年金額と、老齢基礎年金との合計年金受給額は表1の通りです。
表1
年齢 | 在職老齢年金額 | 老齢基礎年金との合計年金受給額 |
---|---|---|
66歳 | 約78万6633円 | 約160万2633円 |
67歳 | 約80万3734円 | 約161万9734円 |
68歳 | 約82万835円 | 約163万6835円 |
69歳 | 約83万7935円 | 約165万3935円 |
70歳 | 85万5036円 | 約167万1036円 |
※筆者作成
70歳まで働くと、65歳で定年退職したときと比べて受給額は年間8万5504円の差があります。少しでも多く老後の資金を獲得したい方には、年金を受け取りながらも働くことが有効な方法のひとつといえるでしょう。
年金を受給しながら働くと年金額が毎年改定される
定年退職したあとも再雇用で働くと、厚生年金の加入月数に応じて毎年受給できる金額が改定されます。そのため、年金を受け取りながら厚生年金保険料を払っても無駄にはなりません。
今回のケースだと、65歳で定年退職した場合と70歳まで働いた場合では、年金額に8万円以上の差がありました。ただし、給与によっては在職老齢年金の一部か全額が支給停止されるケースもあるため、注意しましょう。
出典
日本年金機構 働きながら年金を受給する方へ
日本年金機構 年金用語集 は行 報酬比例部分
日本年金機構 令和6年4月分からの年金額等について
日本年金機構 令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和6年度版)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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