夫は32歳で「手取り30万円」です。子どもが生まれ、家族との時間のため「市役所職員を目指す」と言っていますが、今からでも目指せますか？ 収入は下がってしまうでしょうか…？

地方公務員は、民間企業と比べて「土日に休めて家族との時間を作りやすい」「解雇される可能性が非常に低く、収入も安定している」といったイメージを持つ人はまだまだ多いのではないでしょうか？   そのため、例えば飲食業や観光業、サービス業など、勤務日時が不規則で土日に休みにくい人ほど、子どもが生まれたり家族の介護が必要になったりすると、地方公務員への転職を検討する人もいるかもしれません。   本記事では、32歳で土日もシフト制の仕事をしている人が、地元の市役所職員を目指す場合、そもそも年齢的に転職可能なのか、もし転職できたら収入は下がるのか解説します。

32歳から市役所職員を目指せる？

「地元の市役所職員になる」と意気込んでも、そもそも受験資格がなければ意味がありません。新卒の頃は正直意識しなくても問題ありませんが、30歳を過ぎると転職したくても年齢制限に引っかかり受験資格を満たさないケースもあるので要注意です。本格的に公務員試験対策を始める前に、必ず自治体の採用ページで最新情報を確認しましょう。
 
本記事では、首都圏に近く、2023年版「共働き子育てしやすい街ランキング」総合編1位にも輝いた千葉県松戸市を例に説明します。
 
職員採用情報ページをみると、2024年度の職員採用試験は終了していますが、基本的には毎年採用試験があるため、2025年度も実施される可能性は高いでしょう。「民間企業等職務経験者」向けの採用試験があり、民間企業などで働いている人で市役所職員に挑戦したい場合に応募を検討してはどうでしょう。
 
複数の試験区分や受験資格がありますが、2024年度第2回実施の募集要項によると、年齢制限は「昭和40年4月2日から平成6年4月1日までに生まれた人」となっており、幅広い世代が対象となっています。今回のケースでは32歳時点で求められる相応の勤務経験があり、犯罪歴や反社会的勢力などがなければ受験資格を満たすといえるでしょう。
 
すべての自治体が松戸市のように年齢制限を幅広く設けているわけではないので、自身が目指したい場所は32歳でも受験できるのか、新卒者と同じ立場で試験を受けるのか、それとも社会人経験者向けの試験があるのかなど確認しましょう。
 

市役所職員になると収入はどうなる？

結論からいえば、平均給与も自治体によって大きく異なるため「地元の市役所職員になれば給料が上がる／下がる」とは断定しにくいのが現状です。転職後の初任給も「最終学歴・経歴（職務内容・期間等）に応じて、一定の基準により決定」されるケースが多いでしょう。
 
前記の松戸市の募集要項の給与に関する記載では、「職務経験9年（31歳）」で事務職だと28万1820円となっています。これはあくまで基本給のため、実際には通勤手当や扶養手当、住居手当、賞与（ボーナス）などが支給されます。
 
総務省統計局が2024年4月に発表した「地方公共団体別給与等の比較」によると、千葉県松戸市の諸手当も含めた平均給与月額は42万5847円（平均年齢41.7歳）となっています。これらの数字についての判断は人それぞれ分かれるところでしょうが、「手取り月収30万円」と比較すると収入が激減するわけではないと思われます。
 

公務員になると家族の時間を作れる？

今回の転職目的は「家族との時間を作るため」ですが、仕事と家庭の両立は可能なのでしょうか。
 
総務省が公表している「地方公務員における働き方改革に係る状況」によると、2022年の市区町村の年次有給休暇の平均取得日数は12日（民間企業の場合は10.9日）となっています。男性職員の育児休業取得率は36.4％で、民間企業の場合の17.13％に比べると高い数字です。これらの数字からみると、一般的には男女問わず休暇を取得しやすい環境が多いといえるでしょう。
 

まとめ

本記事では、32歳会社員がこれから「地元の市役所」への転職を目指すのは厳しいのか、仮に転職できたら収入は下がってしまうのか解説しました。職場環境や給与、福利厚生などの待遇面は各自治体によって異なるのが実情です。「自身の地元自治体」はもちろん、近隣も含めて確認してみましょう。
 

出典

株式会社日経BP 2023年版「共働き子育てしやすい街ランキング」総合編1位は千葉県松戸市に
松戸市 職員採用情報
松戸市 令和6年度（第2回）松戸市職員採用試験受験案内〔民間企業等職務経験者〕
総務省統計局 地方公務員給与実態調査 令和5年 地方公共団体別給与等の比較
総務省 地方公務員における働き方改革に係る状況～令和4年度地方公共団体の勤務条件等に関する調査結果の概要～
 
執筆者：FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー