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パート勤務で「年収120万円」の妻が、10月から“社会保険”に加入。手取りが「月1万5000円」減るそうですが、収入を減らすほうがお得ですか? 長生きすれば元は取れるのでしょうか?

ファイナンシャルフィールド / 2024年9月28日 6時0分

パート勤務で「年収120万円」の妻が、10月から“社会保険”に加入。手取りが「月1万5000円」減るそうですが、収入を減らすほうがお得ですか? 長生きすれば元は取れるのでしょうか?

2024年10月から、社会保険に加入する対象となるパート・アルバイト従業員の範囲が拡大されます。これまで配偶者の扶養に入っていた人でも、社会保険に加入しなければならない人が増えるわけです。   こういった人の中には、働く時間を減らして、社会保険の扶養内で働いたほうが良いのか、それとも扶養から抜けてしまったほうが良いのか悩む人も多いはず。社会保険に入ることにより手取りは減るものの、将来の年金は増えるという話を聞いて、どうしようか悩む人も多いでしょう。   本記事では、年収120万円の人が社会保険に入る場合、手取りがどれくらい減るのか、また加入することで将来増える年金額について考えます。

社会保険料の負担はおおむね賃金の15%

社会保険料に加入することで、健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料の支払い義務が生じるわけですが、このうち健康保険料は加入する健康保険組合によって異なります。例えば、東京都の全国健康保険協会に加入する人が負担する社会保険料は以下の通りです。
 

・健康保険料 標準報酬月額の4.99%(40歳以上は介護保険料を含む5.79%)
・厚生年金保険料 標準報酬月額の9.15%
・雇用保険料 給与額の0.06%

 
合計するとおおむね賃金の14~15%ほど社会保険料を負担することとなるのです。
 
したがって年収120万円、つまり月収10万円のパート・アルバイト従業員は、多い人で毎月約1万5000円社会保険料を負担することとなり、その分手取りが減るのです。
 

年収120万円の人なら月に約1万2000円収入を減らしたほうが良い?

パート・アルバイトが社会保険の加入対象となる条件の1つに、「所定内賃金が月に8万8000円以上」というものがあります。つまり、月収を10万円から約1万2000円減らし8万8000円未満とすることで社会保険には入らず、配偶者の扶養のままでいたほうがお得と感じるかもしれません。
 
ただし、社会保険に入ることで将来の年金が増える、病気や出産の際に各種手当がもらえるなどメリットもあるので、総合的に考えることも大切です。
 

社会保険料に加入するといくら年金が増える?

厚生労働省によると、年収120万円の人が厚生年金に1年間加入することで、65歳以降にもらえる年金額が年6000円増えると試算されています。社会保険料率を15%とすると、年収120万円の人の社会保険料負担は年間18万円です。
 
つまり65歳から94歳まで30年間年金をもらい続ければ、年金だけで負担した社会保険料の元が取れることになります。
 
なお、令和5年簡易生命表によると、40歳女性の平均余命は47.85年、つまり平均すると87.85歳までしか生きられないということです。年金だけで元を取るためには平均より約7年長生きする必要があるのです。
 

社会保険に入ることのメリットは?

社会保険に入るメリットは、年金が増えることだけではありません。以下の手当を受け取れることも大きなメリットです。
 

・傷病手当(業務外の病気やけがで仕事を休んだ場合、給与の3分の2の金額を4日目から最大1年6ヶ月間受け取れる)
・出産手当(出産のため会社を休んだ場合、給与の3分の2の金額を出産の日以前42日から出産の日後56日までの期間受け取れる)

 
これらは病気・けががある人、出産する人が受け取れるものであって、年金のように誰もが確実に受け取れるものではありません。しかし、もし実際に受給することになった場合は、「社会保険に加入して良かった」となるのではないでしょうか。
 
また、社会保険に入れば、「賃金の調整を考えずに働ける」というメリットもあります。「月に○時間しか働けない……」と選択肢を狭めるよりは、会社の状況や個人・家族の状況に応じて給与を増やせる余地を残しておいたほうが、結果的に得となるかもしれません。
 

社会保険料加入で手取りが減るが、悪いことばかりではない

社会保険に加入することで、例えば、社会保険料率15%で年収120万円の人は、年間18万円手取りが減ってしまいます。年金の増額だけで元を取ろうとすると、95歳まで生きる必要があり、平均余命を考えると損してしまう可能性のほうが高いのです。
 
しかし、傷病手当や出産手当、月収を気にせず働けるメリットは決して小さくありません。手取りが減るデメリットとのバランスを考えながら、社会保険に加入するか、月収を減らすか考えると良いでしょう。
 

出典

厚生労働省 社会保険適用拡大特設サイト 社会保険適用拡大対象となる事業所・従業員について
 
執筆者:浜崎遥翔
2級ファイナンシャル・プランニング技能士

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