10月から高校生も「児童手当」をもらえる! と喜んでいたら、「扶養控除」が縮小すると聞きました。結局“損”してしまうのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年9月29日 5時10分
子育て支援の一環として「児童手当」が児童を養育する保護者に支給されています。そして、2024年10月からは支給期間が延長され、高校生まで支給されるようになります。 一方で、2026年からは高校生(16歳~18歳)の「扶養控除」は縮小予定です。「児童手当」が増えて、「扶養控除」が減ると、結局手元に残るお金が増えるのか減るのかよく分からない人も多いでしょう。 本記事では、児童手当の拡充と、扶養控除の縮小について解説します。
2024年10月から児童手当が拡充される
2024年10月から拡充される児童手当ですが、変更のポイントは次の4点です。
1. 所得制限の撤廃
2. 支給期間を高校生年代まで延長
3. 第3子以降の支給額を増額
4. 支払回数を年6回に増加
1の所得制限の撤廃ですが、これまでの制度では生計者の所得水準によっては支給に制限がありました。しかし、今回の改正で、所得に関わらず全員に全額が支給されるようになります。
4の支払回数を年6回に増加については、これまでは4ヶ月分ずつを年3回のタイミングで支払われていたものが、2ヶ月分ずつを年6回のタイミングで支払われるようになりました。支給のタイミングが増えることで、保護者が使いやすくなることがねらいです。
2の支給期間を高校生年代まで延長、3の第3子以降の支給額を増額については、図表1の通りです。
図表1
児童の年齢 | 支給金額 (現状) |
支給金額 (2024年10月~) |
---|---|---|
3歳未満 | 1万5000円 | 1万5000円 (第3子以降は3万円) |
3歳以上小学校修了前 | 1万円 (第3子以降は1万5000円) |
1万円 (第3子以降は3万円) |
中学生 | 1万円 | 1万円 (第3子以降は3万円) |
高校生 | なし | 1万円 (第3子以降は3万円) |
こども家庭庁 児童手当制度のご案内、こども家庭庁 子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案の概要を基に作成
例えば、子が一人で2024年10月以降に高校生になる家庭のケースだと、年間で12万円が支給されます。対象の家庭にとってはうれしい変更と言えるでしょう。
2026年以降高校生の扶養控除は縮小予定
児童手当の見直しをふまえ、16歳から18歳までの扶養控除については、2026年以降見直されることが2023年12月に閣議決定しています。
具体的には、扶養控除について、所得税は38万円から25万円へ、住民税は33万円から12万円に変更されます。
結局損なの? 得なの?
高校生を養育する家庭にとって、毎月1万円の児童手当が支給されるようになったとしても、扶養控除が縮小されるとその分支払う税金が増えます。児童手当の増加分である年間12万円よりも、扶養控除の縮小に伴い増えた税金の金額のほうが大きい場合、結局手取りが減って損をしてしまうと言えるでしょう。
今回、扶養控除が所得税は13万円、住民税は21万円減りますので、「児童手当でプラスされる12万円よりも大きくて損だ」と思うかもしれません。
ただ、一般的な会社員の年収(400~500万円程度)の場合であれば、損をしてしまうことはありません。扶養控除は所得控除の一種です。所得控除は、収入から経費を引いた後の所得額から差し引かれるものです。
そして、差し引かれた金額に税率をかけた金額を、所得税や住民税として支払います。つまり、扶養控除の金額そのものが支払う税金から減るわけではないということです。
課税される所得金額が500万円の場合の所得税率は20%、住民税は10%ですので、一般的な収入の会社員の場合、今回の制度変更で損をすることはないと言えるでしょう。
まとめ
2024年10月からは児童手当が拡充され、子育て世代にとってはうれしい制度改正と言えるでしょう。2026年以降、扶養控除は縮小される予定ですが、一般的な会社員世帯の場合、トータルで考えると基本的には得をする制度設計になっています。
今後も児童手当含め、自身に関わりのある制度については注目しておきましょう。
出典
こども家庭庁 児童手当制度のご案内
こども家庭庁 子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案の概要
財務省 令和6年度税制改正の大綱の概要
国税庁 No.2260 所得税の税率
総務省 地方税制度 個人住民税
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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