10月以降は「ジェネリック」を選ばないと、薬の自己負担が「25%」増える!? 2024年10月から導入される“新医療制度”を解説
ファイナンシャルフィールド / 2024年9月29日 4時30分
薬局で薬を処方される際、ジェネリック医薬品にするかどうか聞かれたことはありませんか? 値段が安いという理由で特に気にせずジェネリックを選んでいる人もいれば、「なんとなく不安だから避けている」という人も多いでしょう。ただ、2024年10月以降については、ジェネリックを選ばない場合は「特別の料金」を徴収され、自己負担が増える可能性があります。 本記事では、2024年10月から始まる「長期収載品の選定療養」について解説します。
ジェネリック医薬品とは
ジェネリック医薬品(後発医薬品)は、新薬(先発医薬品)の特許が切れた後に製造販売される医薬品のことで、新薬と同じ有効成分を同じ量含み、同等の効き目があるとされています。
開発費用を抑えられるため、先発医薬品より価格が安く設定されており、ジェネリック医薬品を選ぶことで経済的負担を軽減できます。
2024年10月からの新制度とは
2024年10月から「長期収載品の選定療養」という新しい制度が始まります。これにより、ジェネリック医薬品がある薬において、先発医薬品を選ぶ場合、追加の「特別の料金」を支払うことになります。
新制度での「特別の料金」とは、「先発医薬品と後発医薬品の価格差の4分の1相当の料金」のことです。例えば、医療費の自己負担割合が3割で、先発医薬品の価格が2000円、ジェネリック医薬品の価格が1000円だとしましょう。この場合、「特別の料金」は次のように計算されます。
●先発医薬品とジェネリック医薬品の価格差:2000円-1000円=1000円
●特別の料金:1000円÷4=250円
●消費税込み料金:250円×110%=275円
先発医薬品を選択した場合、自己負担は次のとおりになります。
●従来の制度:2000円×0.3=600円
●新制度:(2000円-250円)×0.3+275円=800円
このように、今までは先発医薬品を選択すると600円だった自己負担額が800円に増えます。
一方で、ジェネリック医薬品を選択した場合の自己負担は300円です。薬の長期服用が必要な場合などは、どちらの医薬品を選択するかで、自己負担の差がさらに大きくなるでしょう。
ただし、この料金が徴収されるのは、患者が薬の「味」や「使用感」などを理由に先発医薬品を希望するときです。医療上の必要性があり先発医薬品を使用する必要があると医師に判断された場合は、「特別の料金」は徴収されません。
新制度が導入される理由
このような新しい制度が導入された理由は、医療費を減らしてより有効に医薬品を使うためです。
国は先発医薬品に特別の料金を設けることで、ジェネリック医薬品の使用を進めようとしています。ジェネリック医薬品を使うと、個人の医療費負担が減るだけでなく、国全体の医療費を抑えることにもつながるのです。
日本では毎年医療費が増え続けていますが、その原因の一つが値段の高い先発医薬品です。ジェネリック医薬品への切り替えを進めることで、浮いたお金を新しい医療技術や先発医薬品の開発に回すことができます。新しい制度には、このように安心して必要な医療を受けやすくしていくというねらいがあるようです。
ジェネリックへの切り替えを検討しよう
新制度により、先発医薬品を選ぶと今後さらに自己負担額が増える可能性があります。一方で、ジェネリック医薬品を選ぶことで、薬の費用負担を軽減できます。自己負担が減ることはもちろん、国の医療費を有効に使えるようにもなり、未来の医療制度がより良いものになることが期待できます。
ジェネリック医薬品は、国の厳しい審査をクリアしたものだけが承認されています。「なんとなく不安」という理由で先発医薬品を使用していた人は、主治医や薬剤師とも相談して、ジェネリック医薬品への切り替えを前向きに検討してみてはいかがでしょうか。
出典
厚生労働省 後発医薬品のある先発医薬品(長期収載品)の選定療養について
厚生労働省 長期収載品の処方等又は調剤に係る選定療養における費用の計算方法について
執筆者:山田麻耶
FP2級
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