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住宅ローンの繰り上げ返済をしようと思ったら、妻から「団信保険に入っているからもったいない」といわれました。繰り上げ返済はしない方がいいのでしょうか?

ファイナンシャルフィールド / 2024年9月30日 4時40分

住宅ローンの繰り上げ返済をしようと思ったら、妻から「団信保険に入っているからもったいない」といわれました。繰り上げ返済はしない方がいいのでしょうか?

ボーナスや臨時収入で繰り上げ返済をして、住宅ローンの早期完済を目指そうと考える方もいるでしょう。住宅ローンは借入金額が多い分、利息の負担が大きいものです。メリットしかないように思われる繰り上げ返済ですが、落とし穴もあります。そのなかの一つが「団体信用生命保険(以下、団信保険)」です。   今回は、住宅ローンにおける団信保険の概要と、繰り上げ返済の注意点について解説します。

団信保険とは

団信保険とは、住宅ローンを借りた人に万が一のことがあった場合に、残りのローンが全額補償される保険商品です。団信保険により、契約者の死亡でのこされた家族はローンの返済に苦しむことなく、居住を続けられます。
 
なお、団信保険は住宅ローンの一部として組み込まれているため、とくに意識することなく加入している方が多いかもしれませんが、万が一に備えるものとして重要視されているのです。
 
保障範囲は、基本的には死亡または高度障害状態ですが、金融機関によっては特約の付帯で保障範囲を広げられます。特約で追加できる条件は、主に以下の3つです。

●要介護状態
●特定の身体障害(人工透析やペースメーカーなど)
●3大疾病(がん、脳卒中、急性心筋梗塞)

生命保険に限らず、保険の適用に関するトラブルは後を絶たないようです。病気やけがが原因で働けなくなるケースは多くあるため、十分に備えるなら特約の追加を検討してもいいでしょう。
 
なお、多くの場合、団信保険の保険料は住宅ローンの金利に含まれています。具体的な金額は金融機関によって異なりますが、一般的には元本に対して年0%~0.3%のようです。ただし、特約を追加すると金利が上乗せされます。
 
また、金融機関によっては、指定の団信保険に加入すれば住宅ローンの金利が優遇されるところもあるようです。
 

住宅ローンを繰り上げ返済するときの注意点

繰り上げ返済には利息の軽減やローン期間の短縮といったメリットがあります。ただし、デメリットもある点にご注意ください。ここからは、繰り上げ返済の注意点について解説します。
 

団信保険の保障範囲が下がる

繰り上げ返済を行うと住宅ローンの借り入れ元本が減少するため、団信保険が適用されたときの保障額も減少します。例えば、ローン残高が3000万円から2000万円に減った場合、保険の保障額も2000万円になります。ローン残高が全額補償される点は変わりませんが、繰り上げ返済をするほど保障の効果は小さくなるといえるでしょう。
 

返済期間が10年を下回ると住宅ローン控除が受けられない

国土交通省は住宅ローン控除について「住宅の取得を支援し、その促進を図るため、住宅及びその敷地となる土地の取得に係る毎年の住宅ローン残高の0.7%を最大13年間、所得税から控除する制度」と記載しています。毎年の所得税を減らして手取り額を増やせるため、本制度を利用している人も珍しくないでしょう。
 
住宅ローン減税を適用できる主な要件は以下の通りです。

●自らが居住するための住居
●合計所得金額が2000万円以下
●住宅ローンの借入期間が10年以上 など

上記より、繰り上げ返済により返済期間が短縮され、10年を下回ると控除の恩恵を受けられなくなると考えられます。
 

緊急時の備えが減る

まとまったお金を繰り上げ返済に充てると、緊急事態や大きなライフイベントの際にお金を工面できない可能性があります。予期せぬ出費や収入の減少に対して十分な余裕がない場合、住宅ローンの滞納や生活の圧迫といった問題が起きるでしょう。
 

繰り上げ返済は無理のない範囲で行おう

住宅ローンの繰り上げ返済は、タイミングや金額を慎重に判断することが重要です。団信保険の保障範囲や住宅ローン控除、手元資金の余裕を考慮し、ライフスタイルや将来計画に合わせて繰り上げ返済をしてください。繰り上げ返済で得られるメリットと、失われる可能性のある保障や税制優遇とのバランスを調整すれば、最適な選択ができるでしょう。
 

出典

国土交通省 住宅ローン減税
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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