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親が認知症になった場合、「 成年後見制度」と「家族信託」はどちらが最適でしょうか?

ファイナンシャルフィールド / 2024年9月30日 10時0分

親が認知症になった場合、「 成年後見制度」と「家族信託」はどちらが最適でしょうか?

将来、認知症になるリスクに備えるためには、「家族信託」と「成年後見制度」の活用が考えられます。しかし、これら2つの制度の違いや適用範囲について、理解が十分でない方も多いのではないでしょうか。   本記事では、成年後見制度の「法定後見」と「任意後見」の違いに焦点を当て、家族信託が必要とされるケースについて詳しく解説します。

「法定後見制度」とは?

「法定後見制度」は、親の判断能力が低下または喪失した場合に、家庭裁判所に申し立てを行い、後見人を選任する制度です。後見人は親に代わって財産管理や法律行為をしますが、その権限には制約があります。例えば、親の財産を減らすような行為(生前贈与や子や孫への住宅取得資金の援助など)は後見人の権限外となります。
 
このような制約があるため、親が判断能力を失う前に、財産管理や処分の権限を家族に託すことができる「家族信託」が注目されています。家族信託を利用することで、成年後見制度では難しいとされる財産管理や処分が可能になります。
 

「任意後見制度」とは?

「任意後見制度」は親が元気なうちに、将来判断能力が衰えた場合に備えて、財産管理や身上監護(生活や療養看護に関する事務)に関する法律行為を信頼できる者に委任する制度です。「法定後見制度」と異なり、親が選んだ相手が後見人となるため、信頼関係に基づいた柔軟な対応が可能です。
 
任意後見制度は、「親が元気なうちに将来の準備をする」という点で家族信託と類似していますが、いくつかの重要な違いがあります。
 

任意後見制度と家族信託の違い

任意後見制度と家族信託には、以下のような3つの違いがあります。
 

1. 任意後見監督人の設置が必要

任意後見制度では、任意後見監督人を設置することが義務付けられています。任意後見監督人は、任意後見人の行動を監督し、財産管理の状況を定期的に確認します。このため、任意後見人は監督人への報告義務があり、透明性が確保されていますが、その分手間がかかります。
 

2. 維持費用が発生する

任意後見監督人の報酬が発生するため、任意後見制度には維持費用が伴います。これにより、親が亡くなるまでの間、費用が継続的に発生することになります。家族信託と比較して、コスト面での負担が大きくなる可能性があります。
 

3. 後見人の権限に制限がある

任意後見制度も成年後見制度の一部であるため、後見人が行える行為には制限があります。例えば、法定後見制度と同様、親のために必要な範囲での財産管理や処分しか行えません。これに対し、家族信託では、契約内容に基づいて、より広範な権限を委任することが可能です。
 

親が認知症になった場合、成年後見制度は必要か?

親が認知症になった場合、財産管理や生活支援が必要となります。成年後見制度を利用することで、資産凍結を防ぎ、適切な管理を行うことができますが、すでに家族信託を活用している場合、その必要性は減少するかもしれません。
 
家族信託では、信託契約に基づき受託者が財産管理を行いますが、身上監護の権限は含まれません。そのため、親の医療や介護に関して家族間で意見が対立する場合は、成年後見制度の利用が推奨されます。
 
一方、家族関係が良好であり、身上監護の権限を持つ家族がいる場合、成年後見制度の利用が必須とはかぎりません。親の入院や施設入所手続き、介護認定申請、ケアプランの策定は、子や孫、甥・姪といった家族の立場で対応することが可能です。
 
そのため、円満な家族の場合は成年後見制度を利用せずとも、家族信託を通じて親の財産管理や生活支援を行うことができ、必要な医療・介護対応も家族が行うことが可能です。
 

まとめ

家族信託と成年後見制度の違いについて解説しましたが、結論としては、家族の状況や親の希望に応じた選択をするかが重要です。成年後見制度は信頼できる監督体制を持ち、家族信託は柔軟な財産管理を可能にします。家族関係や費用面を考慮し、事前に家族間でしっかりと話し合いを行い、最適な対策を講じることをお勧めします。
 

出典

厚生労働省 成年後見はやわかり
 
執筆者:廣重啓二郎
佐賀FPオフィス 代表、ファイナンシャルプランナー、一般社団法人日本相続支援士会理事、佐賀県金融広報アドバイザー、DCアドバイザー

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