老後はほとんど働きたくないです。いつまで働けばゆっくりできるのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年10月1日 4時50分
老後はできるだけゆっくり過ごしたいという思いを抱く方もいるでしょう。年金だけでは十分な生活が難しいと感じる人が増えているなか、何歳まで働けば安心して引退できるのでしょうか。 この記事では、老後にゆとりのある生活を送るために必要な資金や、働く期間の目安について解説します。
世界的に高齢化へ進んでいる
内閣府が公表した「令和5年版 高齢社会白書」によると、令和2年の世界総人口は約78億人でしたが、令和42年には約100億6773万人になることが予測されています。
高齢化率つまり65歳以上の人口比率は、昭和25年には5.1%でしたが、令和2年には9.4%に上昇しました。さらに、令和42年には18.7%に達する見込みで、今後40年間で急激に高齢化が進むとされています。
特に日本は、高齢化率が非常に高い国の一つであり、先進国のなかでも突出しているようです。
「人生100年時代」と呼ばれる超高齢社会を迎えつつあります。現役時代を引退した後、老後の生活資金は、現役時代の収入や貯蓄や退職金、そして公的年金から賄うことになるでしょう。
老後にゆっくり過ごすため必要な生活費の金額
老後の生活費を考えると、65歳から年金を受け取るだけでは生活費が足りない場合、貯蓄や収入で補う必要があります。日本の年金制度は、基本的に65歳から受給を開始しますが、支給額だけでは夫婦での生活費や一人暮らしの生活費を賄えない可能性があるようです。
例として、総務省が公表している「家計調査報告[家計収支編]2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯において、実収入が24万4580円であるのに対し、支出額は28万2497円です。
なお、65歳以上の単身無職世帯の場合、実収入は12万6905円に対し、支出額は15万7673円です。それぞれ不足額が3~4万円発生することが分かります。
よって、可能であれば今のうちから貯蓄を増やしたり、必要に応じて再雇用やパートタイムなどで働き続けたりすることで、老後の生活に余裕を持つことが考えられます。
老後に「ゆっくり過ごしたい」という願いをかなえるためには、生活費の不足分をどう補うかを事前に計画し、資産形成や退職後の働き方についても検討することが大切です。
何歳くらいまで働きたいのか
内閣府が全国の60歳以上の男女を対象に実施した「令和元年度 高齢者の経済生活に関する調査結果」では、「何歳頃まで収入を伴う仕事をしたいか(又はしたかったか)」という質問に対し、「65歳くらいまで」と回答した人が最も多く、25.6%にのぼりました。
次いで「70歳くらいまで」が21.7%、「働けるうちはいつまでも」と答えた人は20.6%となっています。
60歳以上の就業形態
上記の調査による60歳以上の就業形態は表1の通りでした。
表1
就業形態 | |
---|---|
パート・アルバイト | 34.3% |
自営業主・個人事業主・フリーランス | 33.0% |
正規の社員・職員・従業員 | 13.9% |
契約社員・嘱託社員 | 10.6% |
会社または団体の役員 | 5.7% |
労働者派遣事業所の派遣社員 | 1.2% |
その他 | 1.4% |
出典:内閣府「令和元年度 高齢者の経済生活に関する調査結果」を基に筆者作成
60歳以上の就業者の多くが、パート・アルバイト(34.3%)や自営業主・個人事業主・フリーランス(33.0%)として働いていることから、高齢者の働き方が多様化していることが分かります。
老後にゆっくり過ごすためには、現役時代にどれだけ資金を準備できるかが鍵
現在65歳まで働くことが一般的になりつつありますが、老後にゆっくり過ごしたい場合は、それまでに必要な資金を準備し働き方や資産運用について計画的に考えることが重要です。
65歳から年金を受け取るだけでは生活費が不足する可能性が高いため、現役時代にしっかりと貯蓄や資産形成を行う必要があります。また、働く年齢や形態についても柔軟に考えましょう。
出典
総務省 家計調査報告[家計収支編]2023 年(令和5年)平均結果の概要(18ページ)
内閣府 令和5年版高齢社会白書(全体版)(PDF版) 第1章 第1節 2(6ページ)
内閣府 令和元年度 高齢者の経済生活に関する調査結果(全体版) 第2章(22、26ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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