50歳時点で年金見込み額が「月12万円」なら、繰下げ受給すべき?それとも定年後も働くべき?
ファイナンシャルフィールド / 2024年10月1日 6時0分
50歳を過ぎると、老後の生活設計を真剣に考える時期に差し掛かります。年金見込み額が月額12万円という数字を目にしたとき、「本当に足りるのだろうか?」と不安に感じる方も多いでしょう。 今回は、年金の繰下げ受給や定年後も働くことの選択肢を整理し、それぞれのメリットとデメリットを分かりやすく解説します。ご自身の将来設計に役立つ情報を提供しますので、ぜひ参考ください。
年金見込み額「月額12万円」は十分か?
50歳時点で年金見込み額が月額12万円と聞くと、老後の生活が少し不安になるかもしれません。
実際、老後にどれくらいの生活費がかかるかは人によって異なりますが、総務省統計局の「家計調査年報(家計収支編)2023年(令和5年)結果の概要」によると、住宅費、食費、医療費などを含む消費支出は、65歳以上夫婦のみの無職世帯では25万959円、65歳以上の単身無職世帯では14万5430円が平均月額となっています。
特に都市部に住む場合や、趣味や旅行、交際費にある程度のお金をかけたい場合、12万円では生活が厳しい可能性が高いです。
そのため、年金だけではなく、退職金や貯蓄、投資などほかの収入源も視野に入れる必要があるかもしれません。また、どれだけの生活水準を維持したいのかしっかりと考え、必要な資金計画を立てることが重要です。
繰下げ受給のメリットとデメリット
年金の繰下げ受給は、受給開始年齢を65歳ではなく、66歳以降75歳までの間で繰り下げることで年金額を増やす制度です。
日本年金機構によれば、1ヶ月繰り下げるごとに年金額が0.7%増加し、75歳まで繰り下げた場合、最大84%の増額が可能です。例えば、65歳からの年金受給額が月額12万円であった場合、75歳まで繰り下げると月額22万円以上を受け取ることができます。
繰下げ受給の最大のメリットは、長期的に見て受け取る年金総額が増えることです。特に、健康で長生きする自信がある場合、年金の繰り下げは有力な選択肢です。
一方で、デメリットも存在します。まず、繰り下げる間は年金を受け取れないため、生活費をほかの手段で賄う必要があります。また、将来の健康状態や寿命を正確に予測することは困難であり、繰り下げを選んでも思ったより早く亡くなれば、受給総額が減るリスクもあります。
定年後も働くことの選択肢
年金見込み額が少ないと感じる場合、定年後も働くことを検討するのは合理的な選択です。特に、最近では高齢者の再雇用や、シニア向けのパートタイムの仕事が増加しています。定年後も働き続けることで、年金にプラスして生活費を賄え、経済的な不安を軽減することが可能でしょう。
また、働くことには経済的なメリットだけでなく、社会的なつながりを維持し、心身の健康を保つという利点もあります。特にフルタイムではなく、パートタイムや在宅勤務など柔軟な働き方を選ぶと、無理なく収入を得ながら生活のリズムを保つことができるでしょう。
しかし、年齢や健康状態によっては働き続けることが難しい場合があります。そのため、働くかどうかは個々の体力やライフスタイルに応じて慎重に判断する必要があります。
繰下げ受給と働くことを組み合わせる方法
繰下げ受給と定年後の就労は、どちらか一方にこだわる必要はありません。むしろ、両方を組み合わせることで、老後の経済的安定をより確実なものにできる可能性があります。例えば、定年後にパートタイムで働きながら年金の受給を繰り下げ、増額された年金を受け取るという方法があります。
この場合、年金を受け取るまでの間は労働収入で生活費を賄い、その後は増額された年金で生活を支えることができるでしょう。
どちらを選ぶべきか?
最終的な選択は、個々の経済状況や健康状態、ライフスタイルによって異なります。貯蓄が十分にあり、定年退職後の生活費をある程度確保できる場合は、繰下げ受給を選んで年金額を増やすことが良いかもしれません。一方で、貯蓄が少なく、すぐに収入を得たい場合は、定年後も働き続ける選択が現実的でしょう。
また、家族のサポートや、住居の状況なども重要な要素です。例えば、住宅ローンが完済しているかどうか、家族がどれだけサポートしてくれるかによって、必要な生活費は大きく変わってきます。
自分に合った選択肢を見つけよう
50歳時点での年金見込み額が月額12万円という場合、繰下げ受給や定年後の働き方をどう組み合わせるかは非常に重要です。年金の繰り下げによって受給額を増やすことは長期的に見て有効ですが、生活費をどう補うかを事前に考えておく必要があります。また、定年後も働き続けることで、年金に頼らずに生活の安定を図れるでしょう。
最終的には、自分の状況やライフプランに合わせた選択をすることが、老後を豊かに過ごすための鍵となります。しっかりと計画を立て、自分にとって最適な選択肢を見つけることが大切です。
出典
総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2023年(令和5年)結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支 <参考4> 65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯)
日本年金機構 年金の繰下げ受給
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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