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「扶養」ってどういった背景から生まれた制度なの? 「年収の壁」のメリットとデメリットを教えて!

ファイナンシャルフィールド / 2024年10月3日 2時0分

「扶養」ってどういった背景から生まれた制度なの? 「年収の壁」のメリットとデメリットを教えて!

扶養制度は、家族の生活を支えるために生まれた社会保障の一環です。その仕組みや歴史、そして年収の壁に関して詳しく理解していない人もいるのではないでしょうか。   本記事では、扶養制度の背景と、年収の壁がもたらすメリットとデメリットについて詳しく解説します。

扶養とは

扶養制度は、主に税負担の軽減を目的として導入されました。特に、サラリーマンの税負担を軽減するために設けられた制度です。
 
1887年に日本で所得税が導入され、その後、経済成長とともに税制が改正されていきました。第一次世界大戦後の恐慌時には、社会政策的な配慮が大幅に取り入れられた税制へと改正され、1920年には扶養控除が導入されました。
 
高度経済成長期である1961年には、農業者・自営業者と給与所得者の税負担の差を小さくするために配偶者控除が導入されたのです。1987年に配偶者特別控除が導入されましたが、2003年には法人税の減税などを実施するための財源確保の一環として、配偶者控除制度が縮減されました。
 
このように、扶養制度は歴史的な経済状況や社会政策の変遷とともに発展してきました。
 

年収の壁とは

現在の社会保険制度では、会社員の配偶者などで収入が一定額に達しない人は被扶養者(第3号被保険者)として社会保険料の支払い義務がありません。しかし、パートやアルバイトで働いて収入が一定の金額を超えると、社会保険料を負担する必要が生じるため、手取り収入が減ってしまいます。
 
このような収入減を避けるために、年収をある程度に抑えようとする意識が働く収入の境界線が、いわゆる「年収の壁」と呼ばれるものです。社会保険の扶養に入ると、国民年金保険料や健康保険料の支払いが不要になります。
 
ただし、扶養に入るためには、一定の年収制限があります。年収による負担は表1の通りです。
 
表1

年収
100万円超 住民税発生
103万円超 所得税発生
106万円超(条件付き)・130万円超 社会保険料発生
150万円超 配偶者特別控除減少
201万円超 配偶者特別控除不適用

厚生労働省「年収の壁について知ろう あなたにベストな働き方とは」より筆者作成
 
現在、従業員101人以上の会社にお勤めで週の勤務時間が20時間以上、給与が月額8万8000円以上、2ヶ月を超えて働く予定がある方は社会保険の加入対象となります。令和6年10月からは、この適用範囲が拡大され、従業員51人以上の会社にお勤めの方も対象となります。
 

扶養範囲内で働くことのメリットとデメリット

次に、扶養範囲内で働くメリットとデメリットを見ていきましょう。
 

メリット

メリットは以下の通りです。


・税金や社会保険料の負担が軽減される
・老齢年金や遺族年金が受け取れる
・医療費が原則3割負担で済む

扶養範囲内で働くことで、税金や社会保険料の負担を軽減できるのが大きな利点です。また、配偶者の社会保険に加入することで、基本的な社会保障を享受できるのもメリットの一つです。
 
年金については、第3号被保険者として認められるため、自分で保険料を負担せずに老齢年金や遺族年金を受け取ることができます。また、医療費についても、原則3割負担で診療を受けられるというメリットがあります。
 

デメリット

デメリットは以下の通りです。


・将来受け取れる年金額が少なくなる可能性がある
・傷病手当金や出産手当金がもらえない
・世帯全体の収入が増えにくくなる

扶養に入ると国民年金に加入することになりますが、これは厚生年金に比べて将来受け取れる年金額が少なくなる傾向があります。将来の年金額は、支払った保険料や支払期間によって異なるため、具体的な金額を示すことは難しいですが、自分の年金額は日本年金機構の「ねんきんネット」で確認できます。
 
さらに、病気やケガで仕事を休む際の傷病手当金や、出産時の出産手当金などは、扶養に入っている場合は対象外となるため、これもデメリットといえるでしょう。また、扶養範囲内で収入を抑えることにより、世帯全体の収入を増やすことが難しくなる点も課題です。
 

扶養制度は、家族を経済的に支えるという概念に基づいて生まれた制度

扶養制度は、家族を経済的に支えるという概念に基づいて生まれた制度です。収入額に応じて扶養者の所得税や社会保険料を軽減できるのは大きなメリットです。ただ、扶養範囲内で収入を抑えると、世帯全体の収入を大幅に増やすことが難しいデメリットもあります。
 
扶養制度や年収の壁は、メリットもあればデメリットもあるため、自分や家族のライフプランに合わせて慎重に判断することが重要です。
 

出典

厚生労働省 年収の壁について知ろう あなたにベストな働き方とは?
日本年金機構 ねんきんネット
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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