今年はお酒作りにチャレンジしてみようと思っています。家で飲む分には問題ないと聞いたのですが、他にルールはあるでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年10月3日 4時30分
フルーツ漬けのブランデーや梅酒といったリキュール類は、自宅でも簡単に作れます。お酒好きの方なら、いつかは自作にチャレンジしてみたいと考えるものです。ただし、お酒の製造には「酒税法」と呼ばれる法律が関与しており、作るうえではいくつかの制限を課されます。 なかにはお酒を作るだけで違法とされるケースもあるため、お酒を自作する際は酒税法に気をつけなければなりません。今回は、お酒を自作する際の注意点について解説します。
お酒を自作する際の注意点
お酒の自作は「自分や家族で飲む分には問題ない」といわれますが、お酒のアルコール度数や内容物によっては、自作が違法になります。こちらでは、お酒を自作する際の注意点を3点紹介します。
新たにアルコールを発生させると違法
酒税法第7条および第54条では、製造された飲料物にアルコールが1%以上含まれるものを作る場合には、酒類製造免許が必要とされています。例えば、麦とホップを使ってビールを作る際、アルコールが1%未満なら合法、1%以上なら違法です。
世の中にはビールを自作するための「ビールキット」という商品が存在します。酒税法に抵触しているように思われますが、キットの仕様上、手順通りに製造すればアルコールが1%未満に収まるように作られています。そのため、違法ではありません。
お酒を使う場合はアルコール度数20%以上
酒税法では、製造するものにアルコールが1%以上含まれると違法ですが、例外としてアルコール20%以上の酒類を使って果実類を漬ける場合には、製造が許されています。代表的なものでいうと「梅酒」です。梅酒はアルコール20%以上のホワイトリカーに梅と氷砂糖を漬けて作るため、酒税法による例外規定をクリアしています。
一方で、ワインに果実を漬けて作る「サングリア」は、酒税法上は違法です。サングリアに使うワインはアルコールが20%以下のため、酒税法における例外規定をクリアしていません。
また、ホワイトリカーの代わりに焼酎を使って梅酒を作るケースもあります。焼酎にはアルコールが20%を下回る種類もあるため注意が必要です。
ぶどうや穀物類を入れない
果実酒を作る際に、ぶどうや穀物類を使用することは禁止されています。具体的には、以下の食材です。
・米
・麦
・あわ
・とうもろこし
・こうりゃん
・きび
・ひえ
・デンプン
・麹
・ぶどう(やまぶどう含む)
これらのものは、発酵によって新たにアルコールを生成する可能性があるため、使用が禁止されています。
カクテルは直前かつ家族までならOK
カクテルを自分用や家族用に作ることは合法です。しかし、友人に作ったり、作り置きしたりすれば違法になります。一般的なカクテルに限らず、焼酎の水割りや炭酸割りといったお酒にも同様のことがいえます。
自家製酒のルールを破るとどうなる?
酒税法に違反するお酒を「密造酒」と呼び、摘発されれば厳しい罰則が科されます。酒税法第五十四条による罰則規定では、10年の懲役または100万円以下の罰金です。また、酒類を許可なく販売した場合、酒税法第五十八条により1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。
なお、自宅のウイスキーやジンといったお酒を売却する場合、不用品の処分か営利目的かによって判断は異なります。自宅の不用品を処分するための売却であれば税務署の許可は要らず、違法ではありません。一方で、最初から転売目的で酒類を購入し、売却した場合には違法になります。
密造酒でも必ず摘発されるとは限らない
酒税法上では、サングリアを製造したり、焼酎の水割りや炭酸割りを友人に作ったりする行為は違法にあたります。しかし、悪質な行為とみなされない限りは、実際に摘発される可能性は低いでしょう。
法に反した行為を行っていても、摘発するかどうかは警察側の判断に委ねられます。ただし、自作したお酒の販売は悪質な行為とみなされます。お酒を造る際は、「販売しない」「新しくアルコールを生成しない」などの注意点を忘れないようにしましょう。
出典
国税庁 【自家醸造】
国税庁 第43条 みなし製造
国税庁 【自家醸造】
e-Gov法令検索 酒税法
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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