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独身で子どもがいない叔母が危篤状態です。相続人のなかに生存しているが所在が分からない人がいるのですが、どうしたらよいですか?

ファイナンシャルフィールド / 2024年10月6日 23時0分

独身で子どもがいない叔母が危篤状態です。相続人のなかに生存しているが所在が分からない人がいるのですが、どうしたらよいですか?

大切な方が亡くなったとき、その相続手続きが遺された方にとって大きな負担となることは珍しいことではありません。特に、何らかの理由で疎遠になった家族や親族がおり、生存しているのは分かっているが連絡先が分からない場合は、どうすればよいのか、途方に暮れてしまうことでしょう。   そこで本記事では、所在が分からず連絡が取れない相続人がいる場合、どうすればよいのかについて解説します。

まず、所在不明の方が法定相続人に当たるのかを調べる

所在不明の家族や親族がいて慌てる前に、まずはその方が法定相続人に該当するのかを調べましょう。法定相続人とは、亡くなった方(被相続人)の財産を受け取る法的な権利を持つ方のことです。
 
本記事では法定相続人についての詳しい解説は省きますが、所在不明の方が法定相続人でないことが分かれば、その方には遺産を相続する権利もないため、所在を突き止める必要もなくなります。
 
ただし、遺言書があり、所在不明の方が遺産の相続人として指定されている場合は、その方が法定相続人であるか否かに関わらず、相続人となるので注意が必要です。
 
どなたが法定相続人になるかについては、配偶者、兄弟姉妹、親、子などがいるかいないか、また、そのなかに亡くなった方がいて子や孫などがいるか、などによって変わってくるため、複雑なケースの場合は、専門家に相談するとよいでしょう。
 

戸籍の附票から住所を特定する

所在不明の方が相続人であることが確定したら、まずは住所を確認して連絡を試みてみましょう。その手段の一つに、戸籍の附票があります。
 
戸籍の附票とは、本籍地の市町村において戸籍の原本と一緒に保管されている書類です(※1)。この書類には、主に以下の4つの項目が記載されています。
 

・戸籍の表示(本籍および筆頭者の氏名)
・氏名
・住所
・住所を定めた年月日

 
ご自身や家族の本籍地で入手した戸籍謄本を手掛かりに、所在不明の方の本籍地を調べましょう。その本籍地が分かれば、そこにひもづく戸籍の附票を取得します。そのうえで、所在不明の方の現在の住所が分かれば、手紙などを送り、コンタクトを試みます。
 

戸籍の附票でも住所を特定できないことがある

しかし、戸籍の附票を入手すれば必ず住所が分かるわけではありません。
 
例えば、本籍地を何度も変えている場合です。戸籍の附票は、その本籍地における一連の住所を記したものですので、変わった後の本籍地が分からなければ、住所が判明しません。
 
また、日本以外の海外へ引っ越してしまった場合も同様です。「〇〇国」とだけ記され、具体的な海外の住所が判明しないことは少なくありません。
 
では、そんな場合はどうすればよいのでしょうか? 次に説明する、公的な制度の利用を検討してみましょう。
 

裁判所の「不在者財産管理制度」を利用する

「不在者財産管理制度」とは、家庭裁判所の監督の下で不在者の財産を管理する制度です(※2)。
 
この制度では、家庭裁判所は所在不明の方に代わってその方名義の財産を管理したり、一定の許可の元、遺産分割や不動産の売却などを行ったりすることができる「不在者財産管理人」を選任します。
 
つまり、所在不明の相続人の代わりに、不在者財産管理人が遺産分割協議に参加したり、相続手続きを進めたりすることができるようになります。
 
ただし、この方法にも注意点があります。例えば、この制度の対象となる「不在者」とは、次のような方とされています。
 
「(前略)この制度で対象となる不在者は、従来の住所又は居所を去り、容易に戻る見込みのない者とされ、例えば、長期の家出人や音信不通となった者で、親戚、友人等に照会して行方を捜したものの、その所在が判明しない者などが挙げられます。(後略)」
(出典:内閣府「不在者財産管理人制度」)
 
手は尽くしたがどうしても居場所が分からない。自力ではどうにもならない。そのようなときに、この制度を利用できるのです。
 

不在者が外国にいる場合は、外務省の「所在調査」を検討する

もし、所在不明者が外国にいることが分かった場合、どうやって住所を調べればよいのでしょうか。
 
その方法の一つとして、外務省の「所在調査」があります。これは、「海外に在留している可能性が高く、長期にわたってその所在が確認されていない日本人の連絡先等を確認する行政サービス(※3)」です。
 
この制度を利用すると、海外に在住する日本国籍を有する邦人の所在について、特定の国を管轄する在外公館が把握できる資料を中心に調査が行われます。もしこの手段で住所を特定することができれば、所在不明の相続人とコンタクトが取れる大きな手掛かりとなります。
 
一方、注意点があります。まず、所在不明の方がどの国や地域にいるのかを特定する資料が必要です。また、外務省がその国で不在者を追跡調査して探してくれるわけではありません。
 
この方法も、前述の裁判所「不在者財産管理制度」と同様に、あらゆる連絡可能な手段をすべて取ったうえで、それでも所在が分からない、連絡が取れない、という場合に利用できる制度といえます。
 

まずは、相続人の所在を突き止めるために、あらゆる手段を用いて努力する

ここまで、どこにいるのか分からない相続人がいる場合の対処法について解説しました。
 
戸籍の附票による住所の確認に加え、裁判所の不在者管理人制度、外務省の所在調査など、公的な機関を通じて探す方法があります。相続人が所在不明だからといって、相続を諦める必要はありません。
 
ただし、こうした方法には一定の要件があり、かつ戸籍謄本など必要な書類を集めなければならず、手続きに多くの時間を要します。相続人全員の所在が分かっている場合と比べて、遺された方への負担が大きいことに変わりありません。
 
まだ相続は発生していないが、将来所在不明の相続人が見込まれる場合は、遺言書を準備しておく、または、親戚や友人などあらゆる手段を用いて相続人の所在を明らかにしておくなど、あらかじめ入念な準備をしておくことをおすすめします。
 

出典

(※1)郡上市 戸籍の附票とはどういうものですか
(※2)内閣府 沖縄総合事務局 不在者財産管理人制度
(※3)外務省 所在調査(三親等内の親族からの依頼)
 
執筆者:酒井 乙
CFP認定者、米国公認会計士、MBA、米国Institute of Divorce FinancialAnalyst会員。

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