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妻に「生命保険に複数加入してほしい」と言われました。「遺族年金の廃止」が不安とのことですが、50代で貯蓄「2000万円」あれば大丈夫ですよね? 住宅ローンも完済しています

ファイナンシャルフィールド / 2024年10月5日 4時30分

妻に「生命保険に複数加入してほしい」と言われました。「遺族年金の廃止」が不安とのことですが、50代で貯蓄「2000万円」あれば大丈夫ですよね? 住宅ローンも完済しています

遺族年金が5年になる可能性があるというニュースが話題となり、万一の時を想定して必要保障額について考えている人も多いでしょう。貯蓄が2000万円あって住宅ローンを完済していても、必要保障額によっては生命保険への加入も必要です。   本記事では、必要保障額の求め方や試算による目安をもとに、生命保険に複数加入すべきかを解説します。

貯蓄2000万円でも生命保険に加入すべき?

貯蓄が2000万円あるとしても、必要保障額が足りない場合は生命保険への加入も検討すべきでしょう。
 
必要保障額は収入から支出を差し引いて求められ、マイナスとなった場合は必要保障額が不足している状態なので、生命保険への加入や貯蓄を増やすなどの対策が必要です。
必要保障額の求め方や必要保障額の目安を以下で解説するので参考にしてください。
 

必要保障額の求め方

必要保障額とは、生計を維持していた人が亡くなった際に遺族に必要となるお金のことで、遺族の必要保障額は「遺族の支出-遺族の収入」で求められます。
 
遺族の収入や支出は、家族構成や家族の働き方などによって異なるため、必要保障額を求める際は将来的な収入や支出なども確認しておきましょう。
遺族の主な収入の例は次の通りです。

●遺族基礎年金
●遺族厚生年金
●老齢年金
●死亡退職金
●貯蓄

ただし、「18歳到達年度の3月31日までの子がいる世帯」が受け取れる遺族年金や、「65歳から」受け取れる老齢年金のように、要件が定められている収入もあるため注意してください。
また、遺族の主な支出の例は次の通りです。

●遺族の生活費
●住居費
●葬儀費やお墓代
●教育費

遺族の生活費は、現在の生活費から亡くなった人にかかる費用を差し引いて考えます。
 
必要保障額は貯蓄を含めた遺族の収入から考えるため、貯蓄額だけで判断はせず、家庭の必要保障額を把握して万一の時に備えておきましょう。
 

必要保障額の目安

複数の生命保険に加入すべきかを判断するために、まずは貯蓄2000万円の場合で妻の必要保障額の目安を確認してみましょう。
 
「会社員の夫と専業主婦の妻の2人世帯(子どもなし)」のケースで、次のように仮定して試算してみます。

●夫55歳(勤続30年)、妻50歳
●夫の年収600万円
●夫は厚生年金を平成14年3月以前に120月(10年)、平成14年4月以降に240月(20年)納付
●住宅ローン完済
●死亡退職金1000万円
●妻の生活費月15万円
●葬儀費等の諸費用200万円
●交際費や医療費などその他費用500万円
●妻は87歳(女性の平均寿命)まで生存

図表1

遺族の収入 遺族の支出
遺族厚生年金 3619万9375円
(年額97万8345円)
生活費 6660万円
中高齢寡婦加算 918万円(年額61万2000円) 葬儀費等 200万円
老齢年金 1795万2000円
(年額81万6000円)
その他 500万円
死亡退職金 1000万円
貯蓄 2000万円

日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)、は行 報酬比例部分、老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額 より筆者作成
 
図表1の金額を計算すると「9333万1375円(収入)-7360万円(支出)=1973万1375円」と、必要保障額に対して余裕があることが分かります。
 
つまり、今回仮定したケースなら貯蓄が2000万円あれば遺族が生きていくのにかかる費用は賄えるでしょう。
 
ただし、遺族厚生年金の受給期間が5年になるという話が出ており、もしこのケースで5年の給付となった場合、貯蓄2000万円だけでは1000万円以上の不足となります。
 
必要保障額に対して足りない分は、生命保険に加入したり支出を見直したりといった対策が必要です。万一の時に備えて余裕を持った資金準備をしておきましょう。
 

まとめ

50代で貯蓄が2000万円あるとしても、遺族の収入から支出を差し引いた遺族の必要保障額が不足している場合は、生命保険への加入も検討すべきです。
 
遺族の必要保障額は「遺族の支出-遺族の収入」で求められ、貯蓄2000万円を含む遺族の収入が支出を上回る場合は、必要保障額に対して資金に余裕があります。
 
ただし、遺族厚生年金の受給期間が5年に短縮されたり、中高齢寡婦加算が廃止されたりといった制度の見直しが検討されており、実際に制度が改定される可能性もあるため、余裕を持って資金を準備しておくことが大切です。
 
生命保険の種類によって保障範囲は異なるため、生命保険への加入を検討する際はいくつかの保険を比較し、場合によっては複数の保険への加入を検討してみましょう。
 

出典

日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 は行 報酬比例部分
 
執筆者:梅井沙也香
FP2級

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