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年金暮らしの母に「扶養に入れてほしい」と言われたのですが…扶養するメリットはありますか?

ファイナンシャルフィールド / 2024年10月7日 5時0分

年金暮らしの母に「扶養に入れてほしい」と言われたのですが…扶養するメリットはありますか?

親が高齢になってくると、扶養に入れることを検討されるタイミングがくることもあるでしょう。「扶養家族」と聞くと配偶者や子どもが対象になるイメージがあるかもしれませんが、条件を満たしていれば親を扶養に入れることも可能です。   ただし、税法上における扶養と社会保険上における扶養の2種類があるため、それぞれの違いや条件を確認しておく必要があります。   本記事では、扶養の意味合いとともに、親を扶養することのメリット・デメリットをご紹介します。

「税法上の扶養」と「社会保険上の扶養」とは?

親を所得税法上の扶養に入れた場合、一定の金額の所得控除を受けられるようになります。
 
控除額は親の年齢や同居の有無などによって異なりますが、国税庁によると、一般の控除対象扶養親族の場合は38万円です。ただし、その年の12月31日時点の親の年齢が70歳以上の場合は老人扶養親族に該当するため、同居している場合は控除額が58万円、同居していない場合は48万円となります。
 
一方、親を社会保険上の扶養に入れた場合は親も自分と同じ健康保険に加入することになり、親は自身で保険料を納めなくても保険給付を受けられるようになります。
 
税法上の扶養と社会保険上の扶養ではそれぞれ対象となる条件に違いがあるため、どちらか一方だけが該当することもあるでしょう。
 

親を扶養に入れる際の条件

親を扶養に入れる際の条件について、それぞれ確認しておきましょう。

【税法上の扶養】※その年の12月31日時点で以下の要件すべてに該当

●納税者と同一生計であること
●年間の合計所得金額が48万円以下であること(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
●青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与を受け取っていないこと、または白色申告者の事業専従者でないこと

【社会保険上の扶養】

●被保険者に生計を維持されていること
●同一世帯に属している場合は、年間収入が130万円未満(60歳以上または障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は、年間収入が180万円未満)で、かつ被保険者の年間収入の2分の1未満であること。
●同一世帯に属していない場合は、年間収入が130万円未満(60歳以上または障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は、年間収入が180万円未満)で、かつ被保険者からの援助額より少ないこと
●75歳未満であること

親を扶養に入れるメリットとデメリット

親を扶養に入れることで、扶養する人の税負担が減るというメリットがあります。例えば、所得税率20%の人が70歳以上で同居していない親を扶養に入れる場合には、控除額48万円に20%の所得税率を乗じて、9万6000円の節税効果が見込めるでしょう。
 
さらに、扶養に入る側である親にとっても、健康保険料の負担を減らせるというメリットがあるため、条件をクリアしているのであれば扶養に入った方がお得なイメージがあるかもしれません。
 
ただし、扶養に入ることで65歳以上の親が支払う介護保険料が高くなると考えられるため、注意が必要です。65歳以上の介護保険料は本人の所得や世帯の住民税課税状況に応じて計算されます。
 
今回の事例では「年金暮らしの母に扶養に入れてほしいと言われた」ということですが、仮に母親が住民税非課税で住民税課税者(子ども)と同一世帯になることで介護保険料が上がってしまう可能性があります。
 
さらに、高額療養費の自己負担限度額についても被保険者の年齢や所得に応じて決まるため、親が子の扶養に入ることで自己負担が増えてしまうおそれがあるでしょう。
 
こうしたデメリットがあることも踏まえたうえで、親を扶養に入れるかどうか慎重に検討した方がよいでしょう。
 

税金や親の健康保険料の負担は減らせるが、親の介護保険料や高額療養費の自己負担額が高くなる可能性がある

親が高齢になり「扶養に入れてほしい」と相談された場合、扶養に入れることでどのようなメリットとデメリットがあるのか事前に確認しておくことが大切です。
 
まず、扶養には「税法上の扶養」と「社会保険上の扶養」の2種類があるため、それぞれの意味合いや対象条件もチェックしておきましょう。
 
親を扶養に入れた場合、税金や親の健康保険料の負担を減らせる可能性はありますが、親の介護保険料や高額療養費の自己負担が大きくなることも考えられます。その点も確認したうえで、親に対してどのように返答すべきか考えてみることをおすすめします。
 

出典

国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.1180 扶養控除
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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